当サイトでは過去に、「B型肝炎とHIV」と言う記事を載せたことがあります。今回はその続編とも言うべきC型肝炎とHIVの重複感染について掘り下げて記事にしてみたいと思います。

例によって私の甥っ子の陽介に調べたことを話します。あなたもいっしょにお聞き頂いて、あなたのHIV検査にお役立て下さい。

(甥っ子陽介)おじさん、今日のお話しは何ですか?
陽介
(私)陽介、今日はC型肝炎とHIVの重複感染についての話だよ。
私

(陽介)へぇ、C型肝炎ですか。以前にB型肝炎との重複について教えてもらいましたよね。確か、「B型肝炎とHIV」って話だったと思いますけど。

(私)そうだったね。どんな話だったか、覚えているかい?

(陽介)はい。B型肝炎はHIVと重複感染すると慢性化する確率が高くなり、また死亡率も上がってしまうという怖いお話でした。

(私)そうだったね。そこで今日は同じくウイルス性肝炎であるC型肝炎がHIVと重複するとどんなリスクがあるのか、それを話そうと思う。

(陽介)おじさん、ずっと前に「HIVと重複感染が怖い病気」ってお話しのときに少しだけC型肝炎も出てきましたね。

(私)そうだったね。C型肝炎はHIVと重複すると単独感染に比べて10年以内に肝硬変になる確率が6倍も高くなるって話だったね。

(陽介)はい、そうでした。

(私)では今回はもう少し詳しく説明しよう。まず、C型肝炎について簡単におさらいしておこうか。

●病原菌

C型肝炎ウイルス(HCV=Hepatitis C Virus)

●感染ルート

・血液感染
輸血、注射、ハリ治療、刺青などによって血液感染する。医療環境の整った現在ではこのルートからの新規感染はほとんどない。

・性行為感染
C型肝炎ウイルスは感染力が弱く、性行為感染はまれにしかない。ただし皆無ではないので他の性感染症予防と合わせてコンドーム使用などの注意は必要。

・母子感染
C型肝炎ウイルスは感染力が弱いため、母子感染はほとんどない。厚生労働省のホームページから調べてみると、過去の調査では母親がC型肝炎ウイルスのキャリアで生れてきた子供の感染率は、2.3%だった。また、出産後の母乳からの感染もない。

●症状

・全身の倦怠感

・食欲不振

・嘔吐・吐気

・頭痛

・発熱

・黄疸

・肝臓の腫大

こうした症状が出ないまま持続感染(キャリア)となる人もいる。また症状が出た人もそのまま完治する人もいれば、慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行する人もいる。

●検査方法

・血液検査
生化学的検査・血液学的検査・ウイルス学的検査がある。

・画像検査
腹部超音波検査・CT・MRIなどの方法がある。

・腹腔鏡・肝生検
腹腔鏡・肝生検など。

●治療法

・抗ウイルス療法
抗ウイルス療法では、直接C型肝炎ウイルスに働きかけてその増殖を抑えたり破壊する。代表的な抗ウイルス薬としては、インターフェロン、ラミブジンなどがある。

・肝庇護療法
この治療法は肝炎で弱くなった肝臓を守り、肝細胞がウイルスに破壊されるスピードを遅くする。ただ、直接ウイルスに働きかけて排除するような効果はない。

C型肝炎は慢性化すると10年から20年も大きな自覚症状なしに進行し、やがて肝硬変から肝がんへと悪化する。いったん悪化し始めると後はいっきに悪化の一途をたどるので、早期発見、早期治療が大事である。

C型肝炎についてはざっとこんな感じだな。

(陽介)なるほど。やはり怖い病気ですね。

(私)そうなんだ。そして今回の話のメインであるHIVとの重複感染なんだが、一言で言うならC型肝炎の病状を早めてしまう、進行が早くなることが分かっている。

(陽介)以前にもそう教えてくれましたね。

(私)実は北海道大学病院がネット上で公開している「HIV・HCV重複感染症診療ガイドライン」という資料がある。この資料によると、平成15年の全国拠点病院アンケート調査では、

「HIV陽性者の20%がC型肝炎にも重複感染していた。」

そうだ。

(陽介)うわ!20%ですか。それはすごく高い重複率ですね。

(私)まぁ今からもう10年以上も前の調査だから現状はどうか分からないけどね。

(陽介)でもおじさん、どうしてHIVと重複感染するとC型肝炎の進行が早まるんですか?

(私)うん、先ほど紹介した資料によると、C型肝炎に単独感染した患者に比べてHIVと重複感染した患者は、体内のウイルス量が多く、しかもウイルス遺伝子の多様性も広がっているそうだ。

(陽介)そうなんですか。

(私)単独感染だとC型肝炎ウイルスは肝臓の細胞内で増殖するだけなんだけど、これがHIVとの重複感染だとリンパ組織や末梢のリンパ球でも増殖するせいらしい。

ここは難しい話なので説明を読んでもよく分からないけどね。ともかくHIVと重複感染することによってウイルス量が増え、多様性も広がり病気の進行が早まるってことだ。

(陽介)ではおじさん、逆にC型肝炎と重複感染することによってHIV感染症の進行には影響は出ないんですか?

(私)そうだね、ずっと以前はC型肝炎に感染してもHIVには影響は出ないと言われていたんだけど、その後の研究によって段々と影響が出ることが分かってきたんだ。

(陽介)どんな影響ですか?

(私)やはりHIVの進行を早めてしまうという影響が出る。これはC型肝炎ウイルスが免疫力の回復を妨げる働きをしているのが原因らしい。

(陽介)なるほど。HIVとC型肝炎ウイルスは互いに影響し合ってどちらの病気も進行が早くなるって訳ですね。

(私)そうなんだ。かつてHIV陽性者のエイズ以外の死因では肝機の合併症が最多だった。

(陽介)うわ、そうなんですか。進行が早まることによって死亡率も高くなってしまうんですね。

(私)でも今では治療の方法も進んで、死亡原因の最多は非エイズ関連悪性腫瘍が最多になった。それでも肝臓の合併症は第2位だ。

(陽介)まだまだ怖いですね。

(私)そうだね。もっと治療法の研究が進んで死亡率が下がるといいね。

(陽介)HIVとC型肝炎ウイルスの重複感染、危ないってことがよく分かりました。

(私)何より注意して欲しいのは、HIV感染もC型ウイルス感染も自覚症状が出ないってことだ。感染したまま気付ない人も多い。

(陽介)そうですね。でも、お互いに病気の進行を早めてしまうので、本来ならば早期発見、早期治療しないと危ないですね。

(私)その通り。HIVもC型肝炎ウイルスも普通の健康診断では分からない。それぞれ専用の血液検査を受けないと感染が見つからない。

(陽介)今日のお話を聞いてると、HIV検査を受けるときにC型肝炎の検査も同時に受けた方がいいですね。

(私)そうだね。梅毒やB型肝炎、クラミジアなどは絶対に同時検査がお奨めだけど、C型肝炎もできればいっしょに受けたいね。

(陽介)C型肝炎の検査って、やはり病院ですか?

(私)むろん病院でもいいし、保健所でも検査してくれる。ただし、各保健所によって検査を受ける条件が異なるのでそこは事前に確認した方がいいね。たぶん、匿名検査は出来ないところが多いと思うよ。

(陽介)そうなんですか。それじゃ保健所でHIVとC型肝炎の同時検査は難しいですね。

(私)そうだと思う。別々になってしまうかな。後は自宅で使える郵送式の検査キットかな。これなら自由に組み合わせが選べる。

(陽介)なるほど、分かりました。

(私)それじゃ、今回のまとめだ。

●HIVとC型肝炎ウイルスは重複感染するとお互いに影響し合って病気の進行が早くなることがある。

●HIV陽性者の20%はC型肝炎ウイルスにも感染していたという調査報告もある。

●2つとも感染しても自覚症状が出にくいので、感染不安があれば症状がなくても早めに検査を受ける。

こんなところかな。

(陽介)はい、分かりました。おじさんありがとうございました。

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