クラミジア感染症は日本で最も感染者の多い性感染症です。しかもHIVへの感染確率が高くなってしまう性感染症でもあります。
HIVとの重複感染が多いクラミジア感染症について甥っ子の陽介に説明したいと思います。あなたのクラミジア感染予防にお役立てください。
(甥っ子陽介)おじさん、クラミジアってどんな病気ですか? |
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(私)陽介、クラミジアは日本で一番感染者が多い病気だよ。 |
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◇クラミジアとはこんな性感染症です
(陽介)クラミジアは日本で一番感染者が多いって、どのくらい多いんですか?
(私)症状の出ている人、出ていない人を合わせて100万人以上感染者がいるって言われている。
(陽介)100万人!すごい多いですね。
(私)それも若い女性に感染者が多いのが特徴なんだ。このグラフを見てごらん。
(陽介)あちゃー!ホントですね。10代、20代の女性に感染者が多いですね。
(私)しかもクラミジアは感染しても症状が出ないことが多く、女性の80%、男性の50%は気づかないと言われているんだ。
(陽介)そうなんですか!
(私)クラミジアは感染者が多いのに感染していることに気付かない、困った病気なんだよ。
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◇クラミジアの感染ルート
(私)クラミジア感染症の病原菌は、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)と言う細菌だよ。そしてクラミジアの感染ルートは2つある。1つは性行為感染、もう1つは母子感染だ。
●性行為感染
性行為による感染ルートで特に要注意なのがオーラルセックスによる咽頭感染。ファッション系の性風俗だけに限らず、オーラルセックスは一般的な性行為として定着しており、咽頭感染も広まっている。
●母子感染
母親がクラミジアに感染したまま出産した場合の赤ちゃんへの感染率は50%~75%と言われておりかなり高率となっている。
(陽介)おじさん、クラミジアの感染予防はどうすればいいんですか?
(私)これはもう、コンドームを着用することだね。むろん、咽頭感染の予防のためにオーラルセックスにもコンドームだよ。
(陽介)分かりました。でもおじさん、クラミジアは性行為、母子感染、この2つ以外で感染することはないんですか?例えばお風呂やトイレの便座や、タオル、衣料とかは大丈夫ですか?
(私)今陽介が言ったようなものからは感染しないよ。
(陽介)了解です。
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◇クラミジアの潜伏期間と症状
(私)クラミジアは感染して3日から3週間くらいして症状が出る。ただし、さっきも言ったように無症候の場合も多く、症状がないからといって安心出来ないよ。
(陽介)男性の50%、女性の80%は症状が出ないんでしたね。
(私)そうなんだ。しかし、症状が出なくても感染はどんどん進行してしまう。まず、症状が出た場合を説明しよう。
●男性の症状
・オシッコをするときに痛みやかゆみ、しみる感じがある。
・オシッコの回数が増えたり、残尿感や違和感がある。
・睾丸が腫れる。
・性行為で射精すると痛みがある。
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●女性の症状
・おりものの増加(白い粘液状の場合が多い)
・軽い下腹部痛
・排尿時の痛み
・不正出血(月経以外の出血)
こんな症状だよ。
(陽介)でも、症状が出ない場合が多いんですよね。その場合はどうなってしまうんですか?
(私)問題はそこだ。自分がクラミジアに感染していることに気付かないまま進行すると思いもよらず重症化することがある。
●男性の場合
尿道に炎症を起こし、排尿時におしっこが少ししみたり、濃い汁が出る。しかし、感染に気が付かずに放置すると、副睾丸炎や慢性前立腺炎などを引き起こすことがある。男性起因の不妊症の原因となる可能性もある。
●女性の場合
子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎、腹膜炎と進行する。高い熱が出て、下腹部に痛みが出ることもある。不妊症や子宮外妊娠、早産、流産などの原因になることもある。また男性ほどではないが、尿道炎になることもある。
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クラミジア感染が進行した場合に大きな問題になっているのが女性の不妊症だよ。卵管に炎症を起こして管がふさがってしまったり、狭くなったりして妊娠できなくなる。
不妊治療を受けて初めてクラミジア感染に気付く女性も珍しくないんだ。
(陽介)うーん、クラミジアは若い女性に感染者が多く、しかも不妊症の原因となるんですね。要注意の性感染症ですね。
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◇クラミジアの検査方法
(私)クラミジアの検査方法には大きく分けて2種類ある。1つは血液を採取してクラミジア抗体を調べる検査。もう1つは男性の尿や女性の膣分泌物を採取してクラミジア抗原を調べる検査だ。
(陽介)どう違うんですか?
(私)クラミジア抗体検査はクラミジアに感染したことによって生成される抗体の有無を調べるんだ。病原菌であるクラミジアを見つけるんじゃなくて抗体を見つける検査だね。
それに比べて抗原検査は直接クラミジアそのものが存在するかどうかを調べる検査だよ。
(陽介)どう使い分けされるんですか?
(私)クラミジア抗体検査は保健所などのスクリーニング検査として使われているね。男女ともに血液を採取するだけで検査できるんだけど、実はクラミジア抗体は一度生成されると病気が治っても消えないんだ。
だからクラミジア抗体検査で陽性になっても現在感染しているのか、過去に感染して今は完治しているのか、区別が出来ない。
(陽介)えー!それじゃ困りますね。陽性になったときどうすればいいんですか?
(私)抗体検査じゃ分からないから抗原検査を受けることになるね。要するに抗体検査はクラミジア感染の可能性を検査するだけで感染を確定させることは出来ない。スクリーニング検査なんだよ。
(陽介)それじゃ抗原検査は感染が確定出来るんですか?
(私)出来るよ。病院でよく使われるのはPCR法といって、クラミジアの核酸を人工的に増幅させて調べる検査方法だね。
(陽介)何だか難しいですね。もっと簡単に教えてください。
(私)PCR(Polymer Chain Reaction)法は核酸増幅検査の一種だよ。男性なら尿、女性なら膣分泌物を採取して、その中にクラミジアの核酸(この場合はDNA)が含まれているかどうかを調べるんだ。
このとき、尿や膣分泌物にほんの微量でもクラミジアのDNAが含まれていると、それを人工的に何万倍にも増幅することが出来るんだ。だから検査精度は非常に高い。
(陽介)そうなんですか。でも、なぜ男女共に尿検査じゃダメなんですか?
(私)それはね、女性の場合は男性に比べて尿道が短く、クラミジアが存在する確率が低い。そして女性の場合は性器と尿道が別だよね。一番感染しやすいのは尿道じゃなくて膣なんだよ。
(陽介)なるほど。男女の体の構造上の差が理由だったんですね。分かりました。
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◇クラミジアの治療方法
(私)クラミジアは抗生物質を投与すれば2週間ほどで治るよ。ただし、のどへの感染、咽頭感染は治療が長引くことがあるらしい。
(陽介)そうそう、おじさんその咽頭感染ですけど、それってどの病院へ行けばいいんですか?
(私)お、いい質問だね。これがけっこうやっかいなんだ。普通に考えるとのどへの感染だから、耳鼻咽喉科だね。実際に耳鼻咽喉科で検査や治療もしてくれるんだ。
ただ、耳鼻咽喉科の中にはクラミジアなどの性感染症の患者をあまり得意としていない病院があってね。検査が出来なかったり不適当だったりすることがある。ネットの相談コーナーで困っている人を多数見かけるね。
(陽介)そうなんですか。それじゃ咽頭感染は泌尿器科や婦人科ですか?
(私)それがねぇ・・・今度は泌尿器科や婦人科ではのどの感染は専門じゃないって言われることもある。
(陽介)えー!それじゃいったいどうすればいいですか?
(私)まずは泌尿器科、婦人科の医師に相談だね。のどもいっしょに診てもらえれば1回で済んで都合がいいしね。もしものどの感染は検査出来ないと言われたら耳鼻咽喉科に行くしかないね。ちょっと勇気が要るけど電話で事前にクラミジア診療が可能か確認しておけば門前払いにならずに済むね。
(陽介)わぁ~、それってちょっと恥ずかしいですね。でも、病院まで行ってうちでは診れませんって言われるよりましかも知れませんね。
(私)そうだね。出来れば性感染症科みたいな病院、クリニックが近くにあれば性器感染、咽頭感染、両方を診てくれると思うよ。
(陽介)うーん、そうですか。そこは自分で探すしかないですね。ところでおじさん、クラミジアの治療は性器感染でも咽頭感染でも同じ治療法なんですか?
(私)同じだよ。どちらも抗生物質を使う。ただし、完治したかどうかは別々に検査が必要だ。性器感染が治っても咽頭感染は治っていないかも知れない。自分でかってに治ったと判断するのは危険だね。
(陽介)だけど今は性器とのどの両方に感染している人が多いんでしょう?
(私)その通りだ。片方だけ治療しても片方が感染したままでは意味ないね。
(陽介)おじさん、他にクラミジアの治療で注意することがありますか?
(私)そうだね。クラミジアに感染していることが分かったら必ずパートナーもいっしょに検査を受けて感染していれば同時に治療する必要があるね。そうしないとピンポン感染になって、いつまで経っても治らないよ。
(陽介)なるほど、それは言えてますね。もっとも、それっておじさん、全ての性感染症について言えますよね。
(私)いかにもそうだ。パートナーもいっしょに治療は性感染症の治療の原則だね。
(陽介)後は何かありますか?
(私)そうだな。クラミジアに感染しているとHIVにも感染する可能性が高くなる。これも注意して欲しいね。
(陽介)やっぱり性器に炎症が起きるからですか?
(私)そうだよ。クラミジアに感染すると健康な人の3倍から5倍くらいHIVに感染しやすくなると言われている。要注意だね。
(陽介)クラミジアについて、だいたい分かりました。とにかく感染者が多いのに自覚症状が少ない病気ですね。そして女性の不妊症の原因になったり、HIVにも感染しやすくなってしまう病気ですね。
(私)そうだよ。だから陽介もくれぐれも用心して欲しいね。何も症状が出ていなくても、感染行為に心当たりがあれば早めに検査を受けて欲しいね。では今回はこの辺でお終い。
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