つい最近見つけたネット上のHIV相談から、記事にしてみました。

「HIV感染の初期症状かも知れない!」

と、不安になった女性が、HIV抗体検査を受けたのですが・・・

その女性相談者は検査結果「陰性」を信用出来ません。

信用出来ない理由があったのです。

今回はHIV感染の初期症状が出ている最中のHIV抗体検査について、私の調べたことを甥っ子の慎太郎に話します。

ぜひあなたもいっしょに聞いて下さい。

(甥っ子慎太郎)おじさん、ちょっと気になる書き込み見つけたんですけど、話を聞いてもらえませんか?
陽介
(私)慎太郎、そりゃどんな書き込みだい?話してごらん。
私

(慎太郎)はい。実はネットで見たHIV感染の相談に関する書き込みなんです。

(私)ほほう~。いったいどんな書き込みだい?

(慎太郎)30代の女性が書き込んだ相談なんですよ。

相談者はHIVに感染した可能性のある行為から半月くらいして様々な症状が出て来たそうです。

それがネットで調べたHIV感染の初期症状とピタリ合致して、不安になったそうです。

(私)ふむふむ。それで?

(慎太郎)それらの症状は発症しては消滅を繰り返したそうです。それもまた初期症状に合致しているようで増々不安になったそうです。

そんな症状が出たり消えたりを繰り返す中、危険行為から1ヶ月後にHIV抗体検査を受けたところ、陰性だったそうです。

(私)ふ~む、1ヶ月目に抗体検査か。まだウインドー期を抜けてないな。

(慎太郎)そうですね。ウインドー期のこともあるんですが、その相談者の女性は初期症状のことを気にしているんです。

(私)と言うと?

(慎太郎)もしも彼女に現れた様々な症状がHIV感染の初期症状だとしますよね。

すると、そうした初期症状が出てる時期はまだHIV抗体が作られていない時期のはずだって言うんですね。

HIV抗体が作られていないからこそ、初期症状が出てるわけで、そんな時期に抗体検査を受けても陰性になるのは当然だと。

(私)ふ~ん、すると初期症状が出ている時期に受けたHIV抗体検査の陰性は信用できないってことだね?

(慎太郎)そうです。だから相談者は3ヶ月経ってから再検査を受ける積りなんですけど、HIV感染が不安でたまらないらしくて。

「私はやっぱりHIVに感染している可能性が高いでしょうか?」

って言う相談なんです。

(私)なるほどね。要するに相談者の質問は2つってことか。

1.HIV感染の初期症状らしきものが発症しては消滅を繰り返している。HIVに感染している可能性は高いか?

2.初期症状が出ている時期のHIV抗体検査は陰性になっても信用できないのか?

この2つだね?

(慎太郎)はい。そう言うことになりますね。

(私)まず1番目だけど、具体的にどんな症状が出たのか書かれてないのかい?

(慎太郎)そうなんです。ただ、HIV感染の初期症状と合致していると書かれてました。

恐らく、頭痛、発熱、咽頭炎、リンパ節の腫れ、みたいな症状だと思います。

(私)ふ~ん、まぁ、いずれにしてもこの手の相談、書き込みは過去に山ほどあるよね。

そして、その答えはただ1つ。

(慎太郎)はい。分かってます。

「HIV感染は症状からは分からない。不安ならHIV検査を受けるしかない。」

これですよね。

(私)まさにその通り。どんなに怪しい症状であっても絶対にそれだけでは分からない。

(慎太郎)すると、2番目はどうでしょうか?

(私)これもね、初期症状が出ていようが、出ていまいが、要はウインドー期中に受けたHIV検査は信用出来ない。

今回の場合はHIV抗体検査と言ってるから、危険行為から3ヶ月経過して受けないとね。

それまでにHIV抗体検査を受けて陰性になっても100%の信頼性はないね。

(慎太郎)今回の相談者の場合は1ヶ月目に受けてますね。

(私)まぁ、1ヶ月後だとHIV抗体が現れて来る時期なので、陰性でも100%安心とはいかないけど、感染していない可能性が高いとは言えるね。

(慎太郎)では、相談者が心配している、

「初期症状が出てる間はHIV抗体が作られていない。」

これはどうですか?本当ですか?

(私)私が調べたところ、HIV感染の初期症状は感染して2週間後から6週間後に発症することが多い。

多くの専門書、HIV/エイズ関連サイトではそう解説している。

一方、HIV抗体が現れるのは個人差もあるけど感染後30日前後あたりからだね。

だからHIV抗体が作られていても初期症状が出ることもあるんだよ。

この図を見てごらん。

マーカーの現れる時期

(慎太郎)なるほど。HIV抗体検査で調べるIgG、IgMは感染して30日前後くらいから現れるんですね。

(私)そうだね。

そしてもうひとつ、この図を見てごらん。

CD4数とHIV RNA量

HIV感染の急性期に体内のHIVは急激に増えるんだ。そして血液中にウイルスが入り、高レベルのウイルス血症を起こす。

これが急性期に現れる初期症状の原因と言われている。

(慎太郎)なるほど。HIV抗体が現れる時期と初期症状が出る時期は重なる可能性もあるんですね。

(私)そうだね。だから初期症状が出ているうちはHIV抗体はまだ作られていないとは言えない。

6週目辺りで初期症状が出てHIV抗体検査を受けたら陽性判定が出る可能性もあるね。すでにHIV抗体が現れてるかも知れない。

(慎太郎)なるほど。相談者が不安に思った、

「初期症状が出ている時期にはまだHIV抗体は作られていない。」

というのはちょっと間違いなんですね。

(私)そういうことだ。さっきも言ったけど初期症状があろうと、なかろうと、それには関係なしにHIV抗体は感染後30日くらいから現れる。

初期症状があるからHIV抗体はない、とは言えないってことだ。

(慎太郎)分かりました。

(私)だから、HIV感染の初期症状ではないかと不安になった時は、出来るだけ早くHIV検査を受けて欲しい。

ただし、正確な検査を行う為にはウインドー期を過ぎてから検査を受ける必要がある。

(慎太郎)今回の相談者みたいにどうしても不安が強いときは、取りあえず1ヶ月目あたりで検査を受けて、そして3ヶ月以上経ってから再検査と言う方法もアリですね。

(私)むろんそれはアリだね。取りあえず1ヶ月目で陰性判定なら感染していない可能性が高いと言えるからね。

(慎太郎)毎度のことですけど、症状からHIV感染を不安に思ったり、逆に安心したりって、それは間違いですね。

(私)そう。症状はアテにならない、これはHIV感染の鉄則だね。

(慎太郎)初期症状と思われる症状がある、なしに関わらず、HIV感染の不安があったり、感染に心当たりがあればHIV検査を受けるってことですね。

(私)その通り。それに尽きるね。それじゃ今回はこの辺で終わりにしようか。

(慎太郎)おじさん、ありがとうございました。

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