エイズ指標疾患とは、HIV感染者がこの疾患を発症した段階でエイズ患者と診断される、23種類の疾患を指します。

私が調べたエイズ指標疾患を甥っ子の陽介に話したいと思いますのであなたもいっしょに聞いて下さい。

(甥っ子陽介)おじさん、エイズ指標疾患って何ですか?どんな疾患なんですか? (私)陽介、それはHIV感染者がエイズ患者と診断される指標となる疾患のことだよ。
陽介 私

(陽介)エイズ患者と診断される指標?う~ん、どう言う意味ですか?

(私)そうだね。まず、陽介はHIVとエイズの違いは知ってるよね?

(陽介)はい。HIVは人の免疫機能を不全にするウイルスの名前で、エイズはそのウイルスによって免疫不全となり日和見感染症を発症する症候群の名前です。

(私)そうそう、そうだったね。『HIVとエイズの違いは?』で話したよね。でも、日和見感染症と言っても沢山種類がある。エイズと診断される日和見感染症は全部で23種類が決められているんだよ。HIV感染者がこの23種類のどれか1つでも発症したら、エイズ患者と診断されるんだよ。

(陽介)はぁ、そうなんですか。エイズ患者と診断される基準って、ハッキリ決まってるんですね。

(私)そうなんだよ。逆に言えば、HIVに感染していてもエイズ指標疾患を発症しなければエイズ患者ではないんだよ。だから前にも話した通り、HIVとエイズは全然違う。

(陽介)なるほど。でも、時々HIVとエイズを混同して使ってるのを見たり聞いたりしますね。

(私)そうだね。それも『HIV・エイズの正しい表現は?』で話したよね。

(陽介)はい、教えてもらいました。それでエイズ指標疾患なんですけど、具体的にはどんな病気なんですか?

(私)うん、さっきも言ったけど全部で23種類ある。大きく分けると次の6種類に分類されるんだ。

●真菌症(カビの仲間による日和見感染症)

●原虫症

●細菌感染症

●ウイルス感染症

●腫瘍

●その他

この6分類だよ。

(陽介)おじさん、具体的な病名も教えて下さい。

(私)分かった。これが病名だよ。

 分 類  病 名
真菌症 1.カンジダ症
(食道、気道、気管支、肺)
2.クリプトコッカス症
(肺以外)
3.コクシジオイデス症
①全身に番種したもの。
②肺・頸部・肺門リンパ節以外。
4.ヒストプラズマ症
①全身に番種したもの。
②肺・頸部・肺門リンパ節以外。
5. ニューモシスチス肺炎
原虫症 6.トキソプラズマ脳症
(生後1ヶ月以後)
7.クリプトスポリジウム症
(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの)
8.イソスポラ症
(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの)
細菌感染症 9.化膿性細菌感染症
(詳細別途)
10.サルモネラ血症
(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
11.活動性結核
(肺結核、または肺外結核)
12.非結核性抗酸菌症
①全身に番種したもの。
②肺・頸部・皮膚・肺門リンパ節以外。
ウイルス感染症 13.サイトメガロウィルス感染症
(生後1ヶ月以降で肝臓・脾臓・リンパ節以外)
14.単純ヘルペスウィルス感染症
①1ヶ月以上持続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの。
②生後1ヶ月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの。
15.進行性多巣性白質脳症
腫瘍 16.カポジ肉腫
17.原発性脳リンパ腫
18.非ホジキンリンパ腫
19.浸潤性子宮頸癌
その他 20.反復性肺炎
21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成
22.HIV脳症
(認知症、または亜急性脳炎)
23.HIV消耗性症候群
(全身衰弱、またはスリム病)

注)「HIV感染症診療マネジメント」(医薬ジャーナル社)を参考にさせて頂きました。

9.化膿性細菌感染症(詳細)

13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により以下のいずれかが2年以内に2つ以上多発、あるいは繰り返して起こったもの。

①敗血症 ②肺炎 ③骨髄炎 ④骨関節炎 ⑤中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿症

(陽介)うわぁ~!何だかあまり聞いたことない病名ばかりですね。

(私)そうかも知れないけど、これらの病気はHIV感染者特有のものではないよ。HIVに感染していなくても発症するケースがある。だからこうした症状が出たからと言ってエイズ患者ではない。あくまでもHIVに感染した人がこれらの病気を発症したらエイズと診断されるんだ。

(陽介)なるほど。分かりました。でもおじさん、23種類あっても発症例の多い、少ないはあるでしょう?

(私)それは当然あるね。厚生労働省エイズ動向委員会の資料によると、平成26年(2014年)はこんな分布になっているよ。私がグラフ化してみた。見てごらん。

エイズ指標疾患2014
グラフ1.2014年エイズ指標疾患分布

注)2014年のエイズ患者報告件数は455件。これに対して発症件数が650件と多いのは複数の疾患を併発しているためと思われる。

(陽介)うわぁ、23種類あっても上位3疾患でほぼ3/4ですね。特にニューモシスチス肺炎が多いんですね。

(私)そうだね。この肺炎はニューモシスチス・イロヴェチ(Pneumocystis jirovecii)という真菌(カビの仲間)が感染することで発症するんだ。普通、健康な人ではめったに発症しない。HIV感染による免疫不全で発症するんだね。

(陽介)そうなんですね。

(私)余談だけど、ニューモシスチス肺炎は以前はカリニ肺炎と呼ばれてたんだよ。エイズが初めて世の中に知られた1980年代は「エイズ患者がカリニ肺炎で亡くなった」と報道されてた。

(陽介)どうして名前が変わったんですか?

(私)最初はプネウモキスチス・カリニという原虫が原因だと思われてたんだよ。だからカリニ肺炎と呼ばれてた。それが実はニューモシスチス・イロヴェチが原因と分かったので名前が変わったんだ。

(陽介)なるほど、分かりました。ところでおじさん、さっきのグラフは2014年の発症例ですよね。これって単年だけでなく、だいだいずっとこんな感じなんですねか?

(私)そうだね、それじゃ次に1985年から2014年までの約30年間の累計データを見てみよう。ここに日本国内のエイズ指標疾患発症例がほとんど全部入ってるはずだよ。

エイズ累計2014まで
グラフ2.1985年~2014年累計

30年間の累計データを見ても2014年の単年データとほぼ変わらないことが分かるよね。

このように、

●ニューモシスティス肺炎

●カンジダ症

●サイトメガロウィルス感染症

この3疾患は特に要注意ってことだね。

(陽介)本当ですね。そうするとこうした病気を発症した時はHIV感染の疑いを持った方がいいんですね?

(私)そうだね。ただ最初にも言ったけど、エイズ指標疾患はHIV感染者特有の病気ではない。だからこれらの病気を発症したからと言って即エイズだという訳ではない。HIV検査を受けることが大事だよね。

(陽介)そうですね。それじゃこうしたエイズ指標疾患を発症して病院に行った場合、病院側では当然HIV感染を疑ってHIV検査をするんですか?

(私)うん、最終的はHIV検査にいきつくね。ただ、私がHIV陽性者の体験記を読むと、最初からすぐにHIV検査を受けるとは限らないようだ。色んな治療、検査を行って病気の原因を追究するうちにHIV検査にいきついた、と言う事例もあったよ。

(陽介)なるほど。真っ先にHIV感染を疑うとは限らないってことですね。

(私)その通りだ。

(陽介)それじゃおじさん、こうした病気ってHIV以外の原因で発症することもあるんですね。例えばどんな場合ですか?

(私)うん、結局日和見感染症は免疫力、抵抗力が落ちている人なら誰でも可能性がある訳だ。そして免疫力を低下させる原因はHIV感染以外にもある。例えばこんな場合だね。

●広範な火傷や外傷

●癌・白血病・悪性リンパ腫など悪性腫瘍

●膠原病

●抗腫瘍剤、副腎皮質ステロイドやその他の免疫抑制剤の使用、抗菌剤の長期連用

●臓器移植や放射線治療等の医療行為

これらの場合も免疫力が低下し、日和見感染症を発症することがあるよ。

(陽介)なるほどです。HIV感染だけが原因じゃないんですね。

(私)そうだね。ただ、今上げたHIV感染以外の原因って、どれも普通の日常生活ではないよね。入院してるとか、通院してるとか、何かしらすでに治療を受けている可能性が高い。

(陽介)そうですね。

(私)だから当然医師としても免疫力が低下してることは承知のはずだから、日和見感染症には注意してると思うよ。

(陽介)分かりました。

(私)まぁ、エイズ指標疾患の個別の詳しい情報まで知る必要はないと思うけど、HIV感染者がエイズ患者と診断される基準があるってことだけは知ってて欲しいね。

(陽介)はい、今日のお話しでよく分かりました。

(私)そして何より大事なことは、仮にHIVに感染してもエイズ指標疾患を発症する前に抗HIV治療を受ければ発症を未然に防げるってことだ。

(陽介)HIVに感染してもエイズ発症を防げるってことですね。

(私)その通り。医学の進歩でエイズで亡くなる人はすごく減ったけど、それでもエイズを発症してからの治療だと重症化して命が危なかったり、後遺症が残ったりすることがある。だから早期のHIV検査は救命的検査と呼ばれるんだ。

(陽介)おじさん、よく分かりました。

(私)それじゃ今日の話はこの辺でお終いにしよう。

(陽介)ありがとうございました。

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