HIV感染、エイズ発症に関して中高年が危ないという記事を過去に何本か掲載しました。
なぜ中高年が危ないか、その最も大きな理由は「いきなりエイズ」になる確率が高いことです。
そして今回、HIV感染症治療委員会の資料から、新たな危ない理由を見つけました。私同様、50歳以上のあなたにぜひ読んで頂き、HIV感染予防、そしてHIV検査のお役に立てればと思います。
では例によって私の調べたことを甥っ子の陽介に話します。あなたもいっしょに聞いて下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、今日のお話しは何ですか? |
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(私)陽介、50歳以上のHIV陽性に注意しようって話だよ。 |
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(陽介)え?それって以前にも話してくれましたよね。
確か・・・
こんなお話でしたよね。
(私)うん、そうだったね。まぁ、どちらの話も基本的には同じことを言ってて、50歳以上、中高年に「いきなりエイズ」が多いから、HIV感染予防と早期のHIV検査に注意して欲しいってことだった。
(陽介)はい、そうでしたね。厚生労働省エイズ動向委員会のデータからハッキリその傾向が出てました。
(私)さっきの話はもう2年、3年前のデータだったので、ここで最新のデータを見てみよう。2015年までのデータだよ。
まずはHIV陽性者全体の件数に占める50歳以上の割合だ。
グラフ1.HIV陽性者に占める50歳以上の割合
グラフを見ても分かるように、HIV陽性者全体に占める50歳以上の割合ってだいたい15%~20%の間なんだよ。
(陽介)そうですね。このHIV陽性者ってエイズ患者も含まれてるんですよね?
(私)そうだよ。HIV感染者とエイズ患者を合計したものだ。HIV感染に年齢は関係ないことが改めて分かるよね。
(陽介)はい、本当にそうですね。
(私)そして前にも話したけど50歳以上、中高年が注意すべきは何といっても「いきなりエイズ」なんだ。次のグラフを見てもらおう。
グラフ2.50歳以上の「いきなりエイズ」
HIV陽性者全体では約30%くらいが「いきなりエイズ」なんだけど、これが50歳以上だけで見ると50%以上となっている。それも何年もずっとその傾向が続いている。
(陽介)そうですね。要するに、50歳以上ではHIV感染者の2人に1人は自分がHIVに感染してると分かった時にはすでにエイズを発症していたってことですね。
(私)そうだ。いかに抗HIV医療が進んで、エイズで亡くなる人が減ったとはいえ、今でも「いきなりエイズ」になってしまってからの治療では予後が悪い。生存率が下がったり後遺症が出たりすることがある。
(陽介)前にもそう話してくれましたね。早期のHIV検査を受ければ「いきなりエイズ」を防ぐことが出来る可能性が高いから、ぜひ検査をって話でしたよね。
(私)うん、そうだった。そして今回陽介に話したいのはもっと別のことなんだよ。
(陽介)別のこと?
(私)そうだ。50歳以上がHIV感染に注意すべき点がもっと他にもあるって話だよ。
(陽介)へぇ、そうなんですか。いったいどんなことですか?
(私)これはHIV感染症治療委員会の資料に載ってた記事なんだけど、
『50歳を超える患者には、CD4陽性リンパ球数に拘らず、ARTが強く推奨される。これは、年齢の高いHIV感染患者では免疫回復能が低下し、非AIDS関連合併症のリスクが高まる可能性があるためである。(中略)年齢が高くなるとART開始後のCD4陽性リンパ球数の回復は若年者に比べ概して遅い』
ってことなんだよ。
(陽介)う~ん、ちょっと読んだだけではよく分かりません。もっと分かりやすく説明してもらえませんか?
(私)そうだね。え~っと、50歳以上のHIV陽性者については、免疫力の指標であるCD4リンパ球数にかかわらず、ARTの開始が推奨されるって訳だね。
通常だとCD4数が500以下とか350以下とかいった目安があって、そこを下回るとART、すなわち抗HIV薬の投与を開始するんだ。つまり、免疫力が下がっていよいよ日和見感染症が危ないとなって薬を使うんだね。
(陽介)なるほど。でも、50歳以上については免疫力の指標であるCD4リンパ球数によらず抗HIV薬の投与開始が推奨されるってことなんですね。
(私)そうだ。そしてその理由は、50歳以上のHIV陽性者においてはARTを開始しても免疫回復力が低下して、非エイズ関連合併症のリスクが高いからなんだよ。
(陽介)ふ~ん、非エイズ関連合併症とは何ですか?
(私)うん、非エイズ関連合併症とはね、HIV感染が原因で発症したエイズ指標疾患以外の病気を言うんだ。例えば動脈硬化性疾患・腎疾患・肝疾患・悪性腫瘍などだね。
(陽介)そうなんですか。
(私)ARTで抗HIV薬を使っても若い人と比べるとCD4リンパ球数の回復が遅いってことだ。
(陽介)だからCD4リンパ球数が高い状態でもARTを開始して、なるべく免疫力の高い状態を維持するってことなんですね。
(私)そうだよ。そうしないとさっき言ったような非エイズ関連合併症を発症するリスクが高くなってしまう。
(陽介)でもおじさん、50歳以上ってさっきのグラフを見ると「いきなりエイズ」が多いんですよね。
(私)そうなんだよ。50歳以上はもしもHIVに感染してるなら出来るだけ早期に抗HIV治療を開始しなくちゃいけないのに、実際には「いきなりエイズ」が多い。
(陽介)「いきなりエイズ」ってすでにCD4数が減って免疫力が低下しているんですよね。
(私)むろんそうだ。だからエイズを発症してるわけでね。
(陽介)う~ん、そうですか。前におじさんが話してくれたのは、50歳以上に「いきなりエイズ」が多いってことで、今日話してくれたのは50歳以上はART開始後の免疫力回復が遅いってことですね。
(私)そうだよ。これはまぁ、普通に考えて年齢と共に私たちの免疫力は段々低下していくからある意味仕方ない。
(陽介)そうですね。だからこそ、50歳以上では若い人より早期のHIV検査が大事って言えますね。もしもHIVに感染してたら若い世代より早く治療を始めなくちゃいけない。
(私)そうそう、その通り。まずはHIVに感染しないよう注意することが第一で、その次に早期のHIV検査だね。
(陽介)どの世代でも早期のHIV検査は大事だし、「いきなりエイズ」は注意しなくちゃいけないけど、特に50歳以上では更に要注意ってことですね。
(私)うん、それが今日の結論だな。
(陽介)おじさん、分かりました。
(私)では今日はこの辺でお終いにしよう。
(陽介)ありがとうございました。
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