あなたが何かの病気で入院したとします。一応症状が治まって医師から退院の許可が出たので安心して家に戻ります。
しかし、家に戻ってしばらくするとどうも体調が変です。再び病院へ行って主治医に相談するのですが、「それは精神的なものですよ。」と、取り合ってくれません。
どうしても納得のいかないあなたは・・・
今回は「ぷれいす東京」のホームページで見つけた実話を甥っ子の陽介に話します。ぜひあなたも一緒に聞いて下さい。そして、あなただったらどうするか、お考え下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、今日はどんなお話ですか? | (私)陽介、ちょっと怖い話だよ。陽介だったらどうする?って話だ。 |
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(陽介)うへ!怖い話ですか?あまり好きじゃないんですけど、どんな話ですか?
(私)この話はね、「ぷれいす東京」っていうエイズ患者を支援する特定非営利活動法人のホームページで見つけた記事だよ。
(陽介)はい。
(私)ある、40代の男性が体験した話だ。体調不良を訴えて入院したんだけど、症状が治まって退院した。でも家に戻ってすぐまた体調が悪くなった。それで医師に相談したところ、「単なる精神的なものだ。」と片付けられてしまった。
(陽介)はぁ・・・精神的なもの、ですか。
(私)そうなんだ。でもその男性はどうにも納得がいかなくて、もしや・・・と思い自らの意思でHIV検査を申し出た。
(陽介)HIV検査ですか!
(私)そうなんだ。主治医は精神的なものと言ってるのに、その男性は自らHIV検査を受けたんだよ。
(陽介)それでどうなったんですか?
(私)HIV陽性だった。
(陽介)え!陽性だったんですか!何とまぁ・・・。
(私)病院では大騒ぎになって、その医師は男性に謝罪したんだって。
(陽介)それはそうでしょうね。本来は患者が言わなくても医師がHIV検査を勧めるべきですよね。全くHIV検査を思いつかなかったんでしょうか。
(私)どうもその病院はHIV感染者やエイズ患者に詳しくない病院だったみたいで、男性はすぐにもっとHIVに詳しい病院へ変ったそうだ。そしたらすぐに抗HIV薬の投薬が始まり、今は元気に生活している。
(陽介)はぁ、良かったですね。でも・・・
(私)でも?何だい?
(陽介)初めにおじさんが言った通り、怖い話ですね。もしもその男性が自分からHIV検査を言い出さなかったら、大変なことになっていたかも知れませんね。
(私)その通りだ。男性の話の状況からしてすでに体調不良の症状が出てた訳で、ひょっとするとエイズ指標疾患だったのかも知れない。ホームページには病名までは載ってなかったので分からなかったけどね。
専門病院へ移ってすぐに抗HIV薬が投薬されたってことは、CD4の値が350以下だった可能性が大であり、ホントにそのまま放置してたら危険だった可能性が高いね。
(陽介)う~ん、怖すぎますね!「精神的なもの」と「HIV感染」じゃ大違いですよ!
(私)しかしこれは現実に起きた実例であり、しかもそんなに特殊な例とは言えない。明日は我が身かも知れない。
(陽介)そうなんですか?
(私)前に、「HIV/エイズとプライマリ・ケア」と言う話をしたよね。覚えてるかい?
(陽介)あ~、ありましたね、そのお話し!HIV専門病院だけじゃなくて、一般病院における役割が大事なんだって。
(私)そうだよ。まさに今回の例がズバリ言えてるね。HIV感染症による日和見感染症やその他の症状は非常に多岐に渡るので診察が難しい場合がある。普通の町中の病院だと過去に一例もHIV感染者、エイズ患者を診たこともない医師だっているはずだ。
(陽介)そうでしょうね。僕が風邪や腹痛でいつもお世話になってる病院もきっとそうだと思います。
(私)だからこそ、HIVやエイズの専門医は「プライマリ・ケア」の重要性を指摘してるんだね。私はこれまでその指定を何冊もの書籍や医療サイトで見てきた。つまりそれは現状がまだまだ不十分だと言う事実の裏返しだと思うよ。
(陽介)医師の経験の問題もあるでしょうけど、やっぱりHIV検査と言う特異性もあるんでしょうか。
(私)まぁ、多少なりともあるだろうな。個人のプライバシーを配慮するあまりHIV検査を勧めにくいとかね。でも、問題は患者の命にかかわることだからね。そんな事、言ってる場合じゃないよね。
(陽介)本当にそうですね。
(私)だからね、これまでにもう何度も言ってきたけど、仮に医師がHIV検査を勧めなくても自分でHIV感染の心当たり、不安があればぜひHIV検査を受けて欲しいと思うね。自分の身は自分で守るって事だよね。
(陽介)はい。確かにそうですね。その男性は勇気がありましたね。僕ならどうするかなぁ。ちゃんと自分からHIV検査が言えたかなぁ。
(私)それは迷うかも知れないね。不安に思うと同時に怖いと思うかも知れない。でも、結局HIV検査の先延ばしはエイズ発症のリスクが増すだけで、何もメリットはない。それは今回の男性の例が物語っているよね。
(陽介)分かりました。必ずしも医師が常にHIV感染まで配慮して治療にあたってくれるとは限らないってことですね。不安を感じたら自分で勇気を出してHIV検査を受けることですね。
(私)そうだよ。それじゃ、今回の話はこの辺で終わりにしよう。
(陽介)おじさん、ありがとうございました。
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