日本国内におけるHIV感染症、エイズ治療の研究は「エイズ治療研究開発センター」を頂点にブロック拠点病院、中核拠点病院、拠点病院とピラミッド状に構築されています。
今回は私が調べた日本国内におけるエイズ治療・研究の体制を甥っ子の陽介に説明します。あなたもエイズの一般知識としてお読み下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、エイズ治療を行う病院って、どんな病院なんですか? | (私)陽介、それはねブロック拠点病院や中核拠点病院などだよ。 |
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(陽介)ブロック拠点病院?中核拠点病院?それって何ですか?
(私)HIV感染者やエイズ患者の治療を行っている専門的な病院だよ。
(陽介)ふ~ん、ブロック拠点病院と中核拠点病院ってどう違うんですか?
(私)そうだね、それを説明するには全体図が見えた方が分かりやすいよね。日本のエイズ治療はこんな体制になってるんだよ。
こんなふうに、国立国際医療センターにエイズ治療研究開発センターがあり、ここを頂点にして全国8ヶ所にブロック拠点病院があり、その下に59の中核拠点病院があって、更にその下に380ほどの拠点病院がある。そこから一般の病院や診療所とつながってるんだよ。
(陽介)ふ~ん、なるほど。だいたいのイメージは分かりますけど、ブロック拠点病院、中核拠点病院、拠点病院ってどう違うんですか?
(私)そうだね。まずブロック拠点病院だけど、これは全国が8つのブロックに分けられていて、それぞれのブロックでエイズ治療の中心的役割を担う病院だね。
8ブロックとは、北海道、東北、関東甲信越、北陸、東海、近畿、中国・四国、九州、この8ブロックだ。
(陽介)どんな役割、機能があるんですか?
(私)うん、そのブロックにおける診療レベルを向上させたり各拠点病院や協力病院との連携を強める役割があるんだよ。専門医や専任看護師はむろん、カウンセラーやソーシャルワーカー、情報担当官がいる。
そしてブロック拠点病院ではHIV感染者、エイズ患者の治療のために全身症状から呼吸器、消化器、眼科、神経科、歯科など全科の診療が可能なんだ。
(陽介)うわ、それはすごいですね。
(私)またHIVの検査や抗HIV医療の研究も行われている。検査技術も治療方法もどんどん進化しているよね。
(陽介)そうですね。
(私)一方、中核拠点病院は各都道府県に1ヶ所から3ヶ所あって全国をネットワークでつないでいる。これによって日本中どこでも同じ水準の抗HIV治療が受けられるんだよ。
(陽介)なるほど。
(私)私が中核拠点病院を調べてみたら、その都道府県の大学病院や大きな総合病院が多かったな。やはり中核としての役目を担えるだけの施設や人材、環境を持ってるね。
(陽介)おじさん、こうした体制っていつごろに整備されたんですか?
(私)そうだね、スタートは平成8年(1996年)に東京の国立国際医療センターにエイズ治療研究開発センター(ACC)を設立したことだね。このACCを拠点に日本のエイズ治療の向上を図ろうとしたんだよ。
(陽介)当然、それまではそんなHIVやエイズの専門病院なんてなかったんでしょうね。
(私)そうだね。日本で初めてエイズ患者が見つかったのが1985年だからね。96年と言えば急速にHIV感染者、エイズ患者が増え始めた頃だね。⇒補足資料①
そしてこうした日本のHIV医療の体制づくりに大きな契機となったのは、「薬害エイズ」だよ。
(陽介)前に「薬害エイズとは何だったのか?」って話してくれましたね。
(私)血液製剤によってHIVに感染してしまった血友病患者が国と製薬会社を訴えたんだよね。そして1996年に和解するんだけど、その和解案の中にエイズ医療体制の整備も入っていたんだよ。
だからACCは和解案によって設立されたと言える。その後の抗HIV医療には大きな契機となった訳だ。
(陽介)そうだったんですか。
(私)それにもうひとつ忘れちゃいけないのは、感染ルートを問わないHIV感染症の医療や福祉向上のきっかけにもなったんだよ。
当時、薬害エイズによるHIV感染者は気の毒な被害者であり、性行為感染によるHIV感染者は自業自得みたいな偏見がすごく強かったんだ。それを改めるきっかけなったんだね。この意義も大きいよね。
(陽介)なるほど。それは確かに大きな契機でしたね。ところでおじさん、このエイズ治療体制で何か問題点はあるんですか?
(私)そうだね、私が色んな本を読んでみると、これからはこうした中核病院と、一般病院、協力病院との連携がより求められるそうだ。今はまだ連携不足ってことだね。
(陽介)連携不足って、どういうことですか?
(私)陽介に何度も話してきたように、今の医学ではHIVに感染しても薬によってエイズを防ぐことが出来る。HIV感染者も長生きできる時代になったんだよね。
(陽介)はい。
(私)するとHIV感染者が日和見感染症以外の病気にかかることも当然起きてくる。風邪をひいたり、お腹を壊したり、虫歯になったりね。
(陽介)それはそうですよね。
(私)そんなとき、わざわざ中核拠点病院まで治療を受けに来なくても、患者の近くの一般病院で治療を受けられたら便利だろう?
(陽介)絶対便利です!中核拠点病院って数が少ないから患者が多くて順番待ちの時間もきっと長いでしょうね。それに病院が近所とは限らないし、出来れば近くの病院で治療を受けたいですね。
(私)そうだよね。難しい治療は中核拠点病院でしか出来ないだろうけど、比較的簡単な治療の場合は中核病院と一般病院が連携すれば近くの病院で治療が受けられるようになるね。
今じゃまだ歯の治療でさえ中核拠点病院じゃないとやってもらえないケースがあるんだよ。一般の歯科では診察を拒否されてしまうケースがある。
(陽介)そうなんですか。
(私)だから中核拠点病院が一般病院を支援、バックアップすることで患者の受け入れを可能にしていけばいいよね。
(陽介)ぜひそうなって欲しいですよね。
(私)HIV感染症になってもエイズを防ぐことが出来るようになり、患者は長生きが可能になった。しかし、新規のHIV感染者、エイズ患者は減らない。毎年増加し続けている。
だから間違いなく累計感染者も増え続け、今後はHIV感染者の一般病院での治療が必要になるんだよ。⇒補足資料②
(陽介)でも、そうなってくると一般病院での他科連携も重要ですね。
(私)その通りだね。確かに一般病院同士の連携も大事になってくるね。
今回は日本のエイズ治療がどんな体制で行われているか話してみた。分かってもらえたかな?そろそろこの辺で終わりにしようか。
(陽介)おじさん、ありがとうございました。
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補足資料
②中核拠点病院と一般病院の連携、他科同士の連携の重要性、必要性については多くのHIV・エイズ関連図書において専門家が指摘しています。
例えばこの本です。
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