エイズの治療方法は1997年ごろにARTがはじまり、死亡者が激減しました。

かつてHIV感染症は致死的疾患でした。HIV感染は数年後のエイズ発症を意味し、その先には死がありました。例えHIV検査で陽性と分かっても有効な治療法はなかったのです。

しかし、現在ではHIV感染症は致死的疾患ではありません。慢性疾患に近い病気になりつつあります。

 

(甥っ子陽介)おじさんエイズの治療法はどんな方法なの?
陽介
(私)HIVが体内で増殖できないようにするのが基本的な治療だよ。でも、完全にHIVを駆除することはまだ出来ないんだ。
私


(陽介)おじさん、なぜ以前はエイズは治療が出来なかったの?ほとんどのHIV感染者はエイズを発症して亡くなりましたよね。

(私)それはね、おじさんが調べたところでは理由が2つあるんだ。1つはHIVが人間の免疫細胞に感染するウイルスであること。もう1つがひんぱんに変異を繰り返すウイルスであること。この2つの理由でHIV感染は治療が難しいんだよ。

(陽介)ふーん、なんだか難しい話ですね。もっと分かりやすく教えてもらえますか?

(私)いいよ。まず最初の理由から説明しよう。例えば陽介が風邪やインフルエンザにかかったとき、病院に行くと薬をくれるよね。

(陽介)はい。薬を飲むと熱が下がったり、咳が止まって病気が治ります。病院の薬はとてもよく効きます。

(私)ところが病院でもらう薬は直接ウイルスを攻撃してやっつけている訳じゃない。熱を下げたり、咳を止めるのは単なる対処療法に過ぎないんだ。症状を緩和して楽にしてくれるけど、病原菌を退治してくれる訳じゃない。

(陽介)えー!それじゃどうして病気が治るの?薬を飲むと風邪もインフルエンザも治りますよ。

(私)陽介の風邪やインフルエンザを治しているのは陽介の免疫力だよ。薬は症状を緩和するだけだ。だから風邪をひくと栄養のあるものを食べて休養することが一番大事っていうだろう。それは免疫力が低下しないようにするためで、実際一番大事なことなんだ。

(陽介)そうなんですか。でも、インフルエンザが大流行したとき、確かタミフルって薬が足りなくなって大騒ぎしたことがあったけどタミフルもインフルエンザウイルスをやっつける薬じゃないんですか。

(私)タミフルは体内でインフルエンザウイルスが増殖するのを防ぐ薬だよ。つまりそれ以上増えないようにする薬だ。そしてタミフルで増えないようにしている間に免疫細胞がウイルスを攻撃してやっつけてくれるんだよ。だから本当にウイルスを攻撃しているのは陽介の免疫細胞なんだ。

(陽介)あちゃー!知りませんでした。免疫力、免疫細胞って大事なんですね。

(私)そうだよ。免疫力が働かないとウイルスをやっつけることは出来ない。ところが、HIVはその肝心要の免疫細胞に感染して破壊していくんだ。本来、ウイルスを攻撃するはずの免疫細胞がHIVによって攻撃され、機能できなくなるんだよ。

それどころかどんどん免疫細胞は破壊されて減っていく。これが免疫不全になる理由だよ。⇒補足資料①

(陽介)HIVって、改めて恐ろしいウイルスなんですね。

(私)そうだよ。そして2つ目の理由。それはHIVがすぐに薬に対して耐性を持ってしまうことだ。さっきも言ったけどウイルスに対しては体内で増殖しないようにする薬を使う。ところがHIVは薬が効かないように自分の体を変えてしまうんだ。

(陽介)えー!そんなことが出来るの!

(私)そう、それがHIVというウイルスのやっかいなとこだ。1つの薬が効かなくなってまた新しい薬を開発するけど、それもまたすぐに効かなくなってしまう。この繰り返しだったんだね。だからいつまで経ってもHIVに対して有効な治療法がなかった。

(陽介)でも、今はHIVに感染してもエイズを防げるし、エイズで亡くなる患者も減ったんでしょう。

(私)そうだよ。それが1997年ごろから始まったARTと呼ばれる治療法だよ。これは3種類の薬を同時に使うんだ。薬の効き目はどれもHIVが体内で増殖することを防ぐことだ。

なぜ3種類も同時に使うかと言えば、さっき言ったようにHIVは簡単に自分の体を変えて薬が効かないようにできるからだ。1種類だとすぐに耐性を持ってしまうけど、3種類同時に使うとさすがにHIVも簡単には耐性を作れない。⇒補足資料②

(陽介)へぇー、そうなんだ。それでARTによってHIVが体内で増えるのを防ぐことが出来るようになったんですね。(私)そうなんだ。さすがのHIVも増えることが出来なければ時間と共にだんだんと減っていく。

HIVが減ると免疫細胞が増えるから免疫力が復活するって訳だ。すると免疫不全によって発症していた日和見感染症も治る訳だね。⇒補足資料③

(陽介)それじゃそのままARTを続けていれば最後には完全にHIVを駆除できるの?(私)確かに理屈の上ではそうなるね。おじさんが調べた本によると、専門家の推定ではARTを73年続けるとHIVを完全に駆除できるらしい。⇒補足資料④

(陽介)73年!それは事実上ムリですね。

(私)うん。残念だけど実際問題としては完治させることは出来ない。ただ、今は出来ないけどこれからもっと医学が進歩すればいつか完治させること出来る方法が見つかるかも知れないよ。

(陽介)そうですね。いつかそうなることを信じたいです。

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補足資料

①HIV増殖のメカニズム(HIV感染症の症状完全ガイド)

HIVが体内でどうやって増殖していくのか、詳しく図解してあります。

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②HIV・エイズの治療とは?(HIV感染症の症状完全ガイド)

抗HIV薬の働きを詳しく説明してあります。

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③エイズ関連疾患による死亡者推移

エイズ病変データ
エイズ動向委員会発表資料による

このデータはエイズ患者の病変データであり、報告は義務ではなく任意です。従ってエイズ関連疾患で亡くなった方全ての合計ではありません。しかし、1997年ART導入を境に死亡者が激減している傾向は読み取れます。

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④HIV感染症はなぜ完治出来ないのか?

HIV感染の完治には73.4年もかかると言われています。その根拠を説明してあります。

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