HIVにはHIV-1とHIV-2の2種類が存在します。日本国内ではほとんどHIV-1の感染事例ですが、ではHIV-2の検査はどうすればいいでしょうか。必要ないのでしょうか。

今回はHIV-2をHIV検査の観点から考えてみたいと思います。私の調べたことを甥っ子の陽介に話しますからあなたもごいっしょに聞いて下さい。そしてあなたのHIV検査にお役立て下さい。

(甥っ子陽介)おじさん、HIV-2の検査って必要なんですか? (私)陽介、HIV-2は感染事例は少ないけど検査は受けた方がいいよ。
陽介 私

(陽介)でもおじさん、HIV-2って日本ではほとんど感染事例がないんでしょう?前にHIV-1とHIV-2はどうちがう?』ってお話しのときに教えてくれましたよね。

(私)そうだったね。でもね、あれから私も再度HIV-2の感染事例を調べてみたんだけど、諸説あってはっきりしないんだよ。

(陽介)へぇ~、そうなんですか。

(私)厚生労働省のデータと国立感染症研究所のデータが微妙に違う。それに私の持っているHIV関連の本ではまたデータが違うしね。どれが本当なのかさっぱり分からない。⇒補足資料①

(陽介)どう違うんですか?

(私)HIV-2に感染したとする件数と、その報告された時期が微妙に違う。もっとも、それほど大きな差じゃない。どのデータにしたって国内のHIV-2感染者は5名から7名だ。ただし外国人も含むけどね。

(陽介)おじさん、今現在、日本国内にはHIV感染者って何人いるんでしたっけ?

(私)厚生労働省エイズ動向委員会の発表では、平成25年末(2013年末)で新規HIV感染者と新規エイズ患者の累計合計が23,015件だよ。むろん、これは報告された件数だから、これ以外に潜在的なHIV感染者がもっといる。

(陽介)そうですね。でも、報告された件数だけみると、約23,000件、そのうちの7件がHIV-2ってことですよね。確率で言えばHIV感染者1万人に3人ですね。

(私)まぁ、数字の上から言えばそうなるね。

(陽介)しかもHIV-2って地理的に言えば西アフリカで広まってるんですよね。自分が西アフリカに行った経験があるか、あるいは西アフリカに行ったことのある人と接触した人が感染の可能性があるんですよね。

(私)うん、国内で過去HIV-2に感染していると報告された事例はみんなそうだ。

(陽介)だったらおじさん、西アフリカには行ったことも知り合いもいない僕みたいな人間はHIV-2の検査は事実上不要じゃないですか?

(私)う~ん、それはどうかな。どんなに確率が小さくても感染の可能性があるなら検査した方が安心出来るよね。それに保健所や病院で受けるHIV検査はHIV-1とHIV-2の両方を検査してるからね。

(陽介)はい、おじさんそれは知っています。でも、それはHIV抗体検査ですよね。HIV抗原検査やNAT検査(核酸増幅検査)ではHIV-1しか検査出来ませんよね?

(私)確かにそうだね。だからHIV抗原検査やNAT検査で陰性判定が出てもやっぱり再度HIV抗体検査を受ける必要があるね。

(陽介)おじさん、さっき保健所や病院ではHIV-1とHIV-2の両方を検査するって言いましたよね。

(私)うん、そう言ったよ。

(陽介)前におじさんに、『HIV検査の世代交代とは?』って話で教えてもらいましたけど、保健所や病院の検査は第四世代のHIV検査でHIVの抗原抗体検査ですよね。

(私)そうだよ。第三世代まではHIV抗体のみ検査してたけど、現在の第四世代はHIV抗原も同時に検査してる。そのおかげで感染の機会から1ヶ月でかなり正確にHIV検査が可能になってきた。

(陽介)だけど、そのHIV抗原検査ではHIV-1しか検査出来ないんですよね?

(私)そう。だから1ヶ月目にHIV検査を受けて陰性でも3ヶ月経ってから再検査を受けないと完全に安心は出来ない。

(陽介)やっぱりそうですか。HIV-2はまず心配ないから、再検査は不要って訳にいきませんか?

(私)さっきも言ったけど、可能性は低くてもゼロじゃないからね。HIV-2の検査もしないとね。これはNAT検査でも同様だ。

(陽介)う~ん、そうですね。やっぱりその方が安心出来ますね。

(私)ちなみにだけど、厚生労働省は過去3回にわたって全国の医療機関にHIV-2もしっかり検査するよう依頼書を発行してるんだよ。

『医療機関及び保健所に対するHIV-2感染症例の周知について(依頼)』

健疾発第1024001号(平成14年10月24日)

●健疾発第0811001号(平成18年8月11)

健疾発第0203001号(平成21年2月3日)

私が調べた限りでは、国内でHIV-2の感染者が報告された都度、依頼を出しているようだ。

(陽介)なるほど。厚生労働省としても件数は少ないけど検査の必要性をしっかり認識して欲しいと思ってる訳ですね。

(私)そういうことだね。幸い、日本国内では2008年の2件を最後にHIV-2の感染者は報告されていない。

(陽介)でも、HIV-2の検査は受けた方がいいんですよね。

(私)そうだね。どうしても早くHIV検査を受けたくてNAT検査やHIV抗原抗体検査を受けた場合、3ヶ月経ってから再度HIV抗体検査を受けて、それで完全に安心する方がいいと思うよ。

(陽介)分かりました。

(私)それじゃ今回のお話しはこれでお終いにしよう。

(陽介)おじさん、ありがとうございました。

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補足資料

①HIV-2感染事例のデータ

・厚生労働省のデータ

・国立感染症研究所のデータ

・『これでわかるHIV/AIDS診療の基本』

・こんな医療サイトもあります。『日本国内のHIV-2感染について』