HIV検査を受けた理由とは、いったい何だったのでしょうか?
当サイトで、以前に『HIV検査を受ける理由とは?』という記事を書きました。これは国立国際医療センターのホームページに載っていた記事であり、医療の専門家から見た理由です。
そこで、今回はHIV検査を受けた当事者の立場でその理由を検証してみたいと思います。
今、私の手元にはHIV陽性者239人にアンケート調査を行った結果をまとめた冊子があります。この冊子の中に、HIV検査を受けることになった理由についてアンケートを行った結果が載っています。
従って、今からあなたにご紹介するHIV検査を受けた理由は、不特定多数のアンケート結果ではなく、検査結果がHIV陽性だった人たちのアンケート結果です。
では、さっそくどんな理由でHIV検査を受けたのか、みてみましょう。
1.原因不明の症状、体調不良があったため
これは恐らくHIV感染の初期症状、急性HIV感染症を疑っての検査だと思われます。HIVに感染して2週間から6週間くらいの時期に、発熱、リンパ腺の腫れ、下痢、頭痛、倦怠感などの症状が出ることがあります。これを急性HIV感染症と呼びます。
この情報はネットのエイズ関連サイトで多数取り上げられているため、多くの人が知っています。知っているからこそ、不安になってHIV検査を受けるのだと思います。
HIVに感染しても基本的にはエイズ発症までは何も症状は出ません。それだけに、こうした症状から自分のHIV感染を疑い、検査のきっかけにすることは意味のあることだと思います。
私自身も帯状疱疹や頭痛、下痢、発熱などの症状が続いたことで不安になり、HIV検査を受けました。
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2.エイズ関連疾患と思われる症状があったから
この理由は深刻です。すでにエイズではないかと思われるような症状が出て検査を受けています。具体的な症状の記載はありませんでしたが、何らかの日和見感染症だと思います。
例えばニューモシスチス肺炎や、食道、気管、気管支、肺などでのカンジダ症が考えられます。この時点で体内のHIVはかなり増殖しており、免疫力は低下しています。しかし、こうして発症するまで全く気が付かないのがHIV感染症の恐ろしいところです。
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3.定期的に検査を受けていたから
特に何かがあったからと言うのではなく、定期的にHIV検査を受けるようにしていた人たちもいます。保健所に行けば無料・匿名でHIV検査が可能なので、誰でも定期的な検査が可能です。
まぁ、普通に考えれば半年に1回とか、1年に1回とかのペースでしょうか。むろん、事情のある人は毎月1回の定期検査を受けている人もいるでしょう。
定期検査を受けていたからこそ、早期発見が可能になったとも言えます。
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4.HIV以外の病気で検査を受けたり、手術前の検査を受けたりした
これは本人がHIV検査を希望したのではなく、病院側が検査を指示したものです。例えば繰り返し再発する帯状疱疹でHIV感染を疑ったときや、原因不明の発疹など皮膚疾患が出たときです。
手術前検査も100%実施ではありませんが、院内感染防止、患者の保護目的で行われることが多いようです。
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5.HIV以外の性感染症に感染したとき
これも多くの人が経験している理由です。例えば梅毒やクラミジア、淋菌、性器ヘルペスなどに感染していた場合、HIVの感染確率は何倍にも高くなります。
従って重複感染の恐れがあるためHIVも検査されることが多いのです。特に梅毒とB型肝炎はHIVとの重複感染が多いので要注意です。
6.HIV感染の可能性がある行為をしたから
特に心配になる症状は何も出ていなくても、感染したかもしれない行為に心当たりがあって、検査を受けた人たちがいます。このように、行為から不安を感じてHIV検査を受ける人は多くいます。みなさん、HIV感染症は症状が出ないことをご存知なのです。
エイズの症状が出る前に、HIV検査を受けようとされているのだと思います。
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7.献血によって
これはここに書こうか、書くまいか迷いました。でも、すでに『献血でHIV感染が分かるか?』という記事を書いているので、書きます。
献血によってHIV感染が分かった人がいる、ということです。これ以上は書きませんので、先の記事をお読みください。
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8.性行為の相手がHIV陽性と分かったから
うーん、この理由も深刻です。心中おだやかではなかったと思います。自分がHIVに感染していたらどうしよう、という不安はむろんあるでしょうし、相手がHIVに感染していたというショックもあるでしょう。
とにかく、このケースは間違いなく強力なHIV検査を受ける動機になると思います。
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9.妊娠をしたから
これは母子感染予防のため、妊婦健診でHIV検査を受けるものです。日本では母子感染の発症例は少なくて、年間に1件とか2件、あるかないかです。
私が知っている限り、最近の例では母親のHIV感染が分からず出産したケースばかりです。分かっていて、対策したのにもかかわらずHIVに感染した例はないように思います。(あくまでも私の調べた範囲です)
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10.健康診断、人間ドックのオプションとして
たまにカン違いしている人がいますが、一般的な健康診断ではHIV感染は分かりません。血液を採取しますがHIV抗体検査はしません。特別仕様でHIV検査を追加する必要があります。
ちなみにウイルス性肝炎もまた、健康診断では分かりません。念のため。
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以上、HIV陽性の人たちがHIV検査を受けた理由をご紹介しました。いずれもなるほどと思い当たるものばかりです。
こうしてみると、やはり日頃からHIV感染に対する感度は必要だと思います。危険なものを危険と感じることが自分の身を守ることにつながるんだと思います。
一番怖いのは、何が怖いかを知らないまま最後のギリギリになって気が付くことです。もっと早く気づいていればと後悔しても遅すぎます。
早期のHIV検査は救命的検査だと改めて思います。
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