あなたが保健所や病院でHIV抗体検査を受ける場合、まずスクリーニング検査です。

そこでもしも陽性判定を受けると次に確認検査を受けることになります。

その確認検査でも陽性判定が出ると、あなたのHIV感染が確定します。

しかし、ほとんどの人はスクリーニング検査だけで終わり、確認検査を受ける人はごくまれです。

どんなものか知ってる人は少ないと思います。

そこで今回は私が調べた確認検査について、甥っ子の陽介に説明したいと思います。

あなたのHIV検査情報としてお読み頂けれれば幸いです。

(甥っ子陽介)おじさん、HIVの確認検査ってどうやるんですか? (私)陽介、それはいい質問だね。今まで話してなかったからいい機会だ。
陽介 私

(陽介)前に「HIV検査とは?検査の受け方とは?」と言うお話の時に、チラっと確認検査についても教えてもらいました。

(私)そうだったね。その時に保健所や病院で行うHIV抗体検査の手順を話したんだけど、もう1回簡単におさらいしておこう。こんな話だったよね。

HIV検査の手順
図1.HIV抗体検査の手順

 

(陽介)はい、覚えています。HIV検査はスクリーニンツ検査と確認検査の二段階があって、もしもスクリーニング検査で陽性判定を受けると次に確認検査を受けるんですよね。

そこでも陽性判定になるとHIV感染が確定するんですよね。

(私)その通り。なぜこんなふうに二段階になっているかは「HIV検査とは?検査の受け方とは?」で説明した通りだ。

陽介、覚えてるかい?

(陽介)覚えてますよ。

スクリーニング検査とはHIVに感染した可能性がある人と、感染の可能性がない人を振るい分ける検査です。

だから非常に感度の高い検査で、少しでもHIV感染の可能性がある人は陽性判定にします。

決してHIV感染者を見逃すことがないようにしてるんですよね。

(私)その通り。だから本当はHIVに感染していないんだけど、ごくまれに間違って陽性判定を受ける人が出てしまう。

その代り陰性判定を受ければHIVには感染していないことが確定する。

(陽介)そうでした。確か、「HIV検査の偽陽性とは?」って話で教えてもらいました。

本当はHIVに感染していないのに陽性判定が出ることを偽陽性って言うんですよね。

通常検査だと陽性判定の50%、即日検査だと77%は偽陽性だって教えてもらいました。

(私)そうだった。さて、ここから今回の本題である確認検査の話だよ。

今も説明した通り、スクリーニング検査で陽性判定を受けた人が本当にHIVに感染しているのか、それとも偽陽性で感染していないのか、それをハッキリさせるのが確認検査の目的だ。

(陽介)はい。そうですね。

(私)と言うことは、確認検査に要求されることは何だ?

分かるかい?

(陽介)そうですねぇ・・・。普通に考えれば、偽陽性が出ない検査精度ってことですか?

ここでまた偽陽性が出たら意味ないですしね。

むろん、かといって偽陰性は絶対困ります。

(私)そうだよね。偽陰性も偽陽性も出ない検査精度が要求されるよね。

(陽介)でも、そんなこと可能なんですか?

すごく難しそうですけど・・・。

(私)う~ん、確かに難しいというか、ややこしいと言うか、慎重というか。

スクリーニング検査で使われる検査方法は、PA法、ELISA法、IC法といったもので、どれか1種類だけで検査を行う。

でも確認検査ではウエスタンブロット法と核酸増幅検査法の両方で行われるんだよ。

(陽介)うわぁ~、何だか知らない名前ばかりですね。いったいどんな検査方法なんですか?

(私)そうだなぁ、私も詳しい説明は出来ないから簡単に言うね。

まずスクリーニング検査だけど、ざっと説明するとこんな感じかな。

●PA法(ゼラチン粒子凝集法)
通常検査のHIV抗体検査として使われていた(現在はない?)。郵送式のHIV検査キットではこの方式が多い。

●ELISA法(酵素免疫測定法)
通常検査のHIV抗原・抗体検査に使われている。(第四世代)

●IC法(イムノクロマト法)
即日検査のHIV抗原・抗体検査として使われている。(第四世代)

まず、これらがスクリーニング検査で使われている検査方法だね。

これらの検査方法で検出しているHIV抗体というのは、実はHIVを構成するタンパク質のうち、1種類か2種類に対する抗体なんだよ。

(陽介)はぁ・・・。HIVというウイルスのタンパク質を見つけるんじゃなくて、そのタンパク質に対する抗体を見つけてるわけですね。

(私)その通りだよ。だからHIVのタンパク質と似たようなものを間違えて検出し、陽性判定してしまうことがある。これが偽陽性だね。

(陽介)なるほど。

(私)そこでお次は確認検査だ。

確認検査ではウエスタンブロット法でHIV抗体を検査し、リアルタイムPCR法でウイルスのRNA遺伝子を検査するんだよ。

この2つの検査を同時にやるんだ。

確認検査
図2.HIV検査方法

●ウエスタンブロット法
HIVを構成する全てのタンパク質に対する抗体を検出する。

●核酸増幅検査法
HIVのRNA遺伝子を抽出し、それを人工的に増幅させて存在するかどうかを検査する。

検体にRNAが微量でも含まれていれば増幅することによって正確な検査が出来る。

HIV検査の中で最もウインドーピリオドが短く、HIV感染から11日目以降で検査可能とされている。

この検査方法にはNAT検査、リアルタイムPCR法などがあり、確認検査ではリアルタイムPCR法が使われる。

(陽介)確認検査はウエスタンブロット法とリアルタイムPCR法の両方を同時にやるんですね。

この方法だと偽陽性が出ないんですか?

(私)そうだよ。

まずウエスタンブロット法はスクリーニング検査で使ってるHIV抗体検査よりも検出項目が多いし、リアルタイムPCR法ではHIV抗体ではなくウイルスのRNA遺伝子、すなわちウイルスそのものを検出するんだ。

(陽介)ふ~ん、でも2種類の検査を同時にやるってことは、両方とも陰性だったらHIVに感染していないってことですか?

(私)そう、基本的にそうだけど組み合わせがいっぱい出来る。それを表にしたのがこれだよ。

HIV-1 検査結果  

判定

ウエスタン

ブロット法

リアルタイ

ムPCR法

 

陽性

陽性 HIV-1の感染者
検出せず HIV-1の感染者
 

保留

陽性 急性HIV-1の感染者
 

検出せず

HIV-2の確認検査を実施。陽性ならHIV-2の感染者。陰性なら保留として2週間後に再検査。⇒詳細①
 

陰性

陽性 急性HIV-1の感染者
 

検出せず

HIV-2の確認検査を実施。陽性ならHIV-2の感染者。陰性なら保留として2週間後に再検査。⇒詳細①

表1.確認検査の判定

詳細①
再検査でスクリーニング検査が陰性であればHIVには感染していない。

あるいはHIV-1、HIV-2の確認検査で陰性/保留であればHIVには感染していない。

実はこの判定方法にはもっと細かい注釈がついてる。

詳しくは『HIV-1/2感染症の診断ガイドライン』に載ってる。

(陽介)う~ん、ほんとややこしいですね。

確認検査はウエスタンブロット法とリアルタイムPCR法を両方同時にやって、まずウエスタンブロット法で陽性判定が出たらリアルタイムPCR法の結果にかかわらずHIVに感染してるってことですね。

それから両方とも陰性、検出せずだったらHIVには感染していないってことですね。

ややこしいのはウエスタンブロット法で保留、陰性の時にリアルタイムPCR法が検出せずと出た場合ですね。

(私)そうだね。そこはさっきも言ったけど『HIV-1/2感染症の診断ガイドライン』を見て欲しいね。詳しく載ってる。

(陽介)正直、ピンとこないとこもありますが、要するに確認検査ではスクリーニング検査よりも精度高く検査をやってる訳ですね。

(私)そうだね。HIV抗体検査の精度を高め、かつHIVのRNA遺伝子も検出する。

これで偽陽性が出ない信頼性の高い検査を実現してる。

(陽介)HIV-1はむろん、HIV-2の可能性もしっかり検査してるんですね。

(私)当然だね。ただ、さっき紹介したガイドラインは  日本エイズ学会、日本臨床検査医学会が推奨する2008年版なんだよ。

もう8年も前のガイドラインだから現在も全く同じやり方、基準なのかどうか、それは分からない。

一応私が調べた限り、『エイズ治療・研究開発センター』『HIVマップ』でも同様の説明が載ってた。 (2016年2月調査)

(陽介)分かりました。

(私)今回はHIV検査のスクリーニング検査で陽性になった場合に受ける確認検査について説明した。

難しいこともあったけど、イメージは分かってもらえたかな?

(陽介)はい。それから改めてスクリーニング検査で陽性判定を受けても、まだ確認検査の結果が出るまではHIVに感染しているかどうかは分からないってことですね。

(私)その通りだよ。それじゃ今回はこれでお終いだ。

(陽介)おじさん、ありがとうございました。

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