保健所で行っているHIV抗体検査には偽陽性が出ることがあります。同じように妊婦健診でもHIV検査の偽陽性が出ることがあります。
ただし妊婦健診におけるHIV偽陽性は保健所とはちょっと違う意外なデータがあります。
(甥っ子陽介)おじさん、妊婦健診でのHIV検査について教えてください! | (私)陽介、いい質問だね。過去の統計から意外なデータがあるよ。 |
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(陽介)え~!意外なデータって何ですか?
(私)うん、厚生労働省の調べによるとね、妊婦健診におけるHIVスクリーニング検査の陽性確率は1万人に31人だそうだ。つまり、0.31%だね。⇒補足資料①参照
(陽介)それが意外なデータなんですか?
(私)まぁまぁ、待ちなさい。その1万人の中の31人のうち、ホントにHIVに感染している人はわずか1人であり、残りの30人は偽陽性で感染していないんだ。
(陽介)え!それは意外ですね。すると、妊婦健診のスクリーニング検査でHIV陽性になった人がホントにHIVに感染している確率は、わずかに3.2%ってことですね。逆に言えば偽陽性率は96.8%ってことになりますね。
(私)31人中1人だからそうなるね。
(陽介)あれ?おじさん、ちょっと待って下さいよ。
(私)どうした?
(陽介)以前におじさんに教えてもらった保健所での偽陽性と比べるとえらい差がありますね。
(私)おー!いいところに気付いたね。そしてよく覚えていたね。
(陽介)そりゃそうですよ!確か、「HIV検査の偽陽性とは?」ってお話でしたよね。
(私)そうだね。内容も覚えているかい?
(陽介)ええーっと、確かこんなお話でしたね。
●保健所の迅速(即日)検査で陽性となる確率
100人中1人(1000人に10人)
ホントのHIV感染者 1000人に3人
偽陽性率 13人中10人=77%
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●保健所の通常検査で偽陽となる確率
1000人中3人
ホントのHIV感染者 1000人に3人
偽陽性率 6人中3人=50%
(私)確かにそうだね。⇒補足資料②
(陽介)そうすると、HIVスクリーニング検査の偽陽性率の確率はこうなりますね。
●迅速(即日)検査 77%
●通常検査 50%
●妊婦健診 96.8%
うーん・・・妊婦健診ではなぜこんなに偽陽性が出やすいんですか?
(私)それがまだよく分かっていないんだよ。妊娠することによって何か影響があるんだろうね。
(陽介)でもまぁ、こんなに偽陽性の確率が高いなら、決して慌てたり悲観的になることもないですね。
(私)その通りだよ。圧倒的にHIVには感染していない可能性が高いのだからね。
(陽介)もう確認検査を受けなくてもいいくらいですね。
(私)いやいや、それは違う。例えわずかな可能性であっても赤ちゃんのため、自分のためちゃんと確認検査を受けないといけない。万一本当の陽性なら赤ちゃんに感染する可能性があるからね。
(陽介)確かにそうですね。ところでおじさん、もしも母親がHIVに感染していて、治療を受けないまま出産した場合、赤ちゃんがHIVに感染する確率はどのくらいですか?
(私)うん、その場合の感染確率は30%だと言われているね。
(陽介)そうなんですね。それじゃしっかり確認検査も受けないと危ないですね。
(私)そうだよ。妊婦健診は大事だね。
(陽介)了解しました。
(私)では今回のお話はこれでお終い!
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補足資料