免疫抑制剤を使っていると、HIVに感染していてもHIV検査で「陰性判定」が出てしまう。そんな偽陰性を心配する人がいます。

HIV抗体検査に免疫抑制剤は影響するのでしょうか?私の調べたことを甥っ子の陽介に話します。ぜひあなたもごいっしょに聞いて下さい。

 

(甥っ子陽介)おじさん、免疫抑制剤を使うとHIV抗体検査で偽陰性の可能性があるってホントですか? (私)陽介、まず心配する必要はないよ。HIV抗体検査が免疫抑制剤の影響を受けることはない。
陽介 私

(陽介)そうなんですね。でも、そもそも免疫抑制剤って何ですか?僕はよく知らなくて心配してたんですけど。

(私)何だいそりゃ!陽介は免疫抑制剤を知らなかったのか。

(陽介)すみません!でも名前からして、たぶん人が持っている免疫力を薬の力で弱めるんだろうなとは想像したんですけど。

(私)ふむふむ、それで?

(陽介)だからHIVに感染しても本来なら免疫力が働いてHIV抗体が出来るところが、免疫抑制剤のせいでHIV抗体が作れず、結果としてHIVに感染しているのに「陰性」となってしまうのでは・・・と、心配したんです。

(私)なるほどね。陽介の心配は分かった。一応スジの通った心配だよね。ではまず、免疫抑制剤について説明しよう。これはさっき陽介の言った通り、人の身体の中で起きる過剰な免疫力を抑える薬だよ。

(陽介)過剰な免疫力ってどう言う意味ですか?

(私)陽介も知ってると思うけど、免疫力とは本来私たちの身体を外敵から守ってくれる働きをするよね。例えば外から侵入した細菌やウイルスを退治してくれる。免疫抗体を作って、一度感染した病気には二度感染しないようにしたりもする。

(陽介)はい、そうですね。それは分かります。

(私)ところがこの免疫力が正常に働かず、外敵ではないものまで攻撃してしまうことがある。そのために色んな症状が出てしまうことがあるんだよ。

(陽介)へぇ。例えばどんな症状ですか?

(私)すぐに思いつくのは膠原病だね。膠原病は「自己免疫疾患」と呼ばれ、自分の身体の正常な細胞や組織にまで免疫機能が働いて攻撃してしまうことで起きる。全身性エリテマトーデス、リウマチ熱、関節リウマチなどの症状が出る。

(陽介)他にはどんな症状があるんですか?

(私)臓器移植を行った場合だね。他人の臓器が移植されると、免疫機能はその臓器を外敵とみなして攻撃してくるんだ。これも過剰な免疫力だね。

(陽介)おじさん、前に花粉症も過剰免疫力だって聞いたことがあるんですけど。

(私)その通りだ。杉などの花粉が体内に入ってきたとき、これを外敵とみなし攻撃してくる。だからくしゃみが出たり涙や鼻水が出たりする。こうしたアレルギー反応も自己免疫疾患の一種だね。

(陽介)なるほど。それでこうした過剰な免疫力を抑える薬が免疫抑制剤なんですね。

(私)その通り。よく耳にするのがステロイド剤だね。

(陽介)あ~、ステロイド剤ってよく聞く名前ですね。アトピーの治療にも使われる薬ですね。僕の妹が使ってました。

(私)そうだね。アトピーだけじゃなく多くの皮膚疾患に使われるよね。ステロイド剤には炎症を鎮める働きがある。同時に免疫力抑制の働きもあるんだ。

(陽介)そうなんですか。ちょっと怖いですね。

(私)皮膚に塗って使う塗り薬だとそんなに心配ないけど、注射や飲み薬で服用した場合、長期に及ぶと免疫力が低下してすぐに風邪を引いたりする。そこは使い方に細心の注意が必要だね。むろん、ステロイド剤だけじゃなく、他にも免疫抑制剤の種類は色々あるからみな注意が必要だ。

(陽介)でも、おじさん。今のお話しからすると、免疫抑制剤って、やはり人の免疫力を弱めるんですよね。ならばHIVに感染したときに、HIV抗体を作る能力も弱ってるんじゃないですか?HIV抗体検査では偽陰性が出る可能性があるんじゃないですか?

(私)さぁ、問題はそこだ。実際に免疫抑制剤がHIV抗体の生成にどう影響するか、問題はそこだね。

(陽介)はい。実際のところ、どうなんでしょう?心配要らないんですか?

(私)結論から言えば、偽陰性の可能性はある。

(陽介)えーーー!!おじさん、一番最初に「HIV抗体検査が免疫抑制剤の影響受けることはない」って、そう言ったじゃないですか!

(私)それは普通に暮らしている場合だね。市販のステロイド剤を購入して使ってる、あるいは通院で薬をもらってる、こんな程度であればまず問題ない。HIV検査で陰性と出れば安心していい。

(陽介)なるほど。

(私)しかし、例えば入院して強い薬を長期間使用した場合などは極端に免疫力が低下してしまう。その為、通常だとHIVに感染して3ヶ月経てばHIV抗体が生成されるはずなのに、まだ生成されていない可能性がある。ステロイド剤を大量に使用した場合もそうだね。

(陽介)入院して治療中だったり、重い病気で大量に薬を使われた場合が偽陰性の可能性があるってことですね?

(私)その通りだ。HIV抗体検査はある程度の量、HIV抗体が生成されないと陽性判定出来ない。でも自宅で普通に暮らしていながら使用する程度の薬なら、まず問題ない。私も色々調べてみたけど、今説明したことを厚生労働省の関連サイトでも説明してある。ここを見てごらん。

『HIV検査相談マップ』

(陽介)なるほど。ステロイド剤を使っている人も、3ヶ月経過してHIV検査を受ければ正確な検査が可能と書いてありますね。やっぱりHIV抗体検査のウインドーピリオド3ヶ月って、相当余裕を見てるんですね。

(私)そうだね。ステロイド剤を使っている人でも3ヶ月経っていればHIV抗体検査は正確なんだ。ならばステロイド剤を使わない人の場合はもっと早くにHIV抗体が出来てるってことだよね。

(陽介)そうですね。

(私)それじゃ陽介、今日の話をまとめてくれるかい。

(陽介)はい、おじさん。

●免疫抑制剤は、体内の過剰な免疫反応を抑えるために使われる薬で、文字通り免疫力を弱める。

●入院中の治療で強い薬を長期に渡って使う場合、ステロイド剤を大量に使用する場合など、極端に免疫力が低下するとHIVに感染して3ヶ月経過してもまだHIV抗体が生成されていない可能性がある。その時HIV抗体検査を受けると「偽陰性」が発生する可能性がある。

●しかし、普通に生活しているレベルの治療、薬の使い方ならHIV抗体検査は問題ない。それでもHIV感染の可能性があった日から3ヶ月以上経過してから検査を受けるようにする。

こんな感じですかね。

(私)うん、そうだね。では今日の話はこれでお終いだよ。

(陽介)おじさん、ありがとうございました。

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