HIVは女性同士の性的接触でも感染することがあるのでしょうか?私の調べたことを甥っ子の陽介に説明するのでぜひあなたもいっしょに聞いてください。
そして女性のあなたはHIV感染予防にお役立て頂けると嬉しいです。
(甥っ子陽介)おじさん、HIVって女性同士でも感染することがあるんですか? | (私)陽介、結論から先に言えば感染するよ。つい最近、アメリカ発のニュースでも取り上げられてる。 |
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(陽介)えー!おじさん、女性同士でも感染するんですか!僕は女性同士は感染しないって思ってました。そんな話は聞いたことがないです。
(私)確かにね。感染例はほとんどないし、感染確率も低い。でも、ゼロではないんだよ。そして、さっきも言ったけど最近になってアメリカからニュースが届いてる。
(陽介)おじさん、それってどんなニュースなんですか?
(私)うん、それはねアメリカ疾病管理予防センター(CDC)が発行している「The Morbidity and Mortality Weekly Report」に載っている。テキサスで女性同士の性的接触によってHIVが感染したことが証明された、というニュースだよ。⇒補足資料①
(陽介)そうなんですか。でも、証明されたって、どうやって証明されたんですか?
(私)同記事によると、HIVに感染している女性と性的接触を持った別の女性がHIVに感染した。二人のHIVのDNAを調べたところ、完全に一致したそうだ。つまり、先に感染していた女性から、もう一人の女性に感染したことが証明されたって訳だ。
(陽介)そうなんですか。実際に女性から女性へ感染した例があるんですね。でもそれはアメリカの話ですよね。日本ではどうなんですか?
(私)うーん、ちょっと微妙だね。おじさんがエイズ動向委員会の過去の記録を調べたところ、感染ルートが「女性同士の性的接触」、という例がないこともない。
(陽介)え!日本でも過去に例があるんですか?
(私)そうなんだ。例えば、2013年(平成25年)第3四半期(7月1日~9月30日)のエイズ動向報告の中に、新規HIV感染者で女性同士の性的接触で1件の感染報告がされているんだ。⇒補足資料②
(陽介)それはまた、最近の話ですね。ちっとも知りませんでした。でもそれって、ネット上でもニュースにはなっていませんね?
(私)うん。それには理由があってね。エイズ動向委員会の「同性同士の性的接触」は、「異性との性的接触も含む」なんだよ。つまり、女性同士の性的接触で感染したのか、もしかしたら男性とも性的接触があったのか、はっきりしない。女性だけとは断定できないんだ。
(陽介)あ~、なるほど、そうなんですか。確かに本人にしか分からないことだから断定するのは難しいですね。
(私)さっきのアメリカテキサスの例は、HIVのDNAが一致したこともあるけど、感染した女性が男性との異性間性的接触がないことも判明してるそうだ。つまり、女性のみと性的接触を持ったことが分かってる。だから女性から女性へ感染したと言える。
(陽介)日本の場合はそこまでの断定は出来ないんですね。
(私)現状では断定するまでの調査はしていないようだね。恐らく、本人の自己申告どまりだと思うよ。極めてプライベートな問題だから、調べるのも難しいだろうね。
(陽介)しかし、今回アメリカで女性から女性に感染すると断定出来たってことは、当然日本においても可能性があるってことですね。
(私)そうだね。そもそも、HIV感染の基本は、HIV感染者の体液が相手の粘膜部に接触することで感染の可能性が出てくる。これは同性間であろうと異性間であろうと同じだ。
(陽介)そうでした。そして、男性同士の性的接触でHIV感染が多いのは、コンドームを使わないことが多い、アナルセックスで傷や出血が多い、という理由でしたね。
(私)その通り。では、女性同士の性的接触ではどうやってHIVが感染すると思う?
(陽介)えーっと、以前おじさんに教えてもらった話ではHIVはオーラルセックスでも感染するんですよね。だったら、女性同士のオーラルでも感染するんじゃないですか?
(私)そうだね。感染確率は低いけどゼロではないね。そして、今回アメリカでの報告では、女性二人で同じバイブを共有し、出血もみられたそうだ。これはもう、完全に体液と粘膜部の接触が発生しているね。HIVに感染しても不思議じゃない。
(陽介)あちゃ~、そうだったんですか。なるほど、HIV感染の発生理由があったんですね。では、おじさん、女性同士のセックスでHIVが感染しないようにするにはどうすればいいんですか?
(私)そうだね。基本は何度も言うけど体液と粘膜部の接触だから、それを断ち切ればいい。例えば、バイブの共有を止める。それぞれの専用を使う。どうしても1つを共有するならコンドームを使って、相手が使うときは新しいコンドームに取り換える。
(陽介)それじゃおじさん、女性同士のオーラルセックスによるHIV感染防止にはどうすればいいんですか?
(私)これは難しいね。おじさんが調べたところ、大阪にある「HIV/AIDS先端医療開発センター」のホームページに色々とアドバイスが載っている。例えば、女性用のコンドームを使ったり、デンタルダムを使ったり。
(陽介)えー!女性用のコンドームなんてあるんですか?
(私)女性用のコンドームは女性が膣の中に挿入して使うコンドームだよ、ちゃんと使えば避妊効果もあるし、HIV感染予防効果もある。ただ、値段が高い、装着が難しい、見た目が悪い、といった欠点もある。
(陽介)そうなんですか。ではデンタルダムって何ですか?
(私)ラテックスという素材で作られた薄いシートのことだよ。これを膣にあててオーラル行為をすればHIVが感染しない。
(陽介)ふーん、知りまでせんでした。色々あるもんですね。
(私)でも、多くの人に使われているとは言い難いね。
(陽介)今回のアメリカCDCのレポートから、女性同士の性的接触でHIV感染予防を気を付ける人が増えるでしょうか?
(私)どうかな。このニュースもほんの一握りの人しか見ないと思うし、仮に見ても自分のリスク管理として考える人は少ないかも知れない。
(陽介)でも、女性同士の性的接触でもHIVが感染することがあるのは間違いない事実なんですよね。
(私)そう、陽介の言う通りだ。男性同士であろうと女性同士であろうと、HIVに感染した人の体液が相手の粘膜部に触れればHIV感染の可能性はある。
(陽介)分かりました。当たり前だけど、どんなに感染確率の低い行為でも、可能性がゼロでなければ発生するってことですね。
(私)そうだ。それじゃ今回のお話はこれでお終いだよ。
(陽介)おじさん、ありがとうございました。
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補足資料