HIVに感染してから、エイズ発症までの段階を解説した本、医療サイトは多数存在します。
どの情報源もほぼ同じ内容なのですが、中にはちょっと分かりにくい、首をかしげるような解説をする情報源もあります。
今回は私が調べた信頼できる情報をあなたにお伝えしたいと思います。
甥っ子の慎太郎といっしょに聞いて下さい。
【今回のテーマと内容】 ・ ●テーマ:HIV感染からエイズ発症まではどんな段階を経るのか? ・ 1.HIV感染からエイズ発症まで ・ 2.CD4値とHIV RNA量 ・ 3.ウイルス学的セットポイント ・ 4.まとめ |
(甥っ子慎太郎)おじさん、HIVに感染してからエイズ発症までの経過って、どうなんですか? |
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(私)慎太郎、それは以前にもう教えたよね。 |
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(慎太郎)え~、そうでしたっけ?
(私)そうだよ。こんな話をもう忘れたかい?
これらの話で教えたよね。
(慎太郎)う~ん、何となく覚えているような・・・
(私)おいおい、何とも頼りないね。
(慎太郎)実はおじさん、僕は最近ネットでちょっと気になる情報を見つけたんですよ。
それが気になるから今回質問したんですね。
(私)ほうほう、それはどんな情報だい?
(慎太郎)今回の質問、「HIV感染からエイズ発症までの経過」を段階的に説明した情報なんですよ。
それが過去におじさんに教えてもらった内容と違うような気がするんです。
(私)そうか。慎太郎が見つけた情報はどんな内容だったんだい?
(慎太郎)はい。実はHIV感染から、エイズ発症までを次の4段階に分けて解説しているんですよ。
●第一段階
感染初期で、無症候だったり発熱、リンパ節の腫れなどの症状が出ることもある。
●第二段階
気道の感染症を繰り返したり、皮膚や口、性器の病気を頻繁に繰り返す。
●第三段階
下痢、体重減、肺結核、その他髄膜炎などの深刻な病気を発症する。
●第四段階
深刻な病気に加えて神経系に異常が現れ体が機能しなくなる。
こんな感じの分類なんですよ。
(私)ほほう、これはまた珍しい分類だね。
HIV感染からエイズ発症までをそんなふうに四段階に分けた説明って、私も見たことがない。
しかしこの説明だと、どの段階でエイズを発症するのか、それがハッキリしないね。
(慎太郎)そうですよね。僕もそう思いました。
(私)まぁ、私も相当多くのHIV/エイズ専門書を読んできたし、ネットの専門サイトも見て来た。
普通はHIV感染からエイズ発症まではこんなふうに3つの段階に分けて説明されている。
1.感染初期
2.無症候期
3.エイズ発症期
こんな感じだね。この分け方が一番多いと思うよ。
(慎太郎)はい、僕もそう思います。前におじさんに教えてもらった内容もそんな感じでしたよね。
(私)先ほどの四分類だと、第一段階はまぁ普通だけど第二段階からはちょっと異例だね。
と言うか、私の知ってる限りでは必ずしも先ほどの説明通りじゃない。
恐らくだけど、第二段階がエイズ前の免疫力低下による日和見感染症が始まる時期で、第三段階がエイズ発症状態、そして第四段階がエイズが進行した状態、そんなイメージかな。
(慎太郎)するとおじさんが教えてくれた経過に出て来る、無症候期がありませんね。
(私)そうだね。第二段階ではすでに日和見感染症を繰り返すと言う説明みたいだからね。
まぁ、そこは解説者の意図が何かあるんだろうな。直接聞いてみないと分からないね。
(慎太郎)そうでしょうね。
(私)ここでもう一度、HIV感染からエイズ発症までをおさらいしておこうか。
こんなグラフを覚えているかい?
(慎太郎)はい、覚えています。HIVに感染した後、CD4数とHIV RNA量の推移をまじえてエイズ発症までの経過を教えてもらったと思います。
(私)そうだったね。CD4数と言うのは、人間の免疫力の指標の1つだね。
健康な人なら700~1300くらいある。それがHIVに感染するとどんどん減っていき、500、300、200と減っていくに連れて健康な人なら感染しない病気になっていく。
エイズを発症した段階では、CD4数が二桁の患者さんも珍しくないよ。かなり危険な状態だね。
(慎太郎)CD4数とは逆に、HIV RNA量は増えていくんですね。
(私)そうだよ。HIVは増殖していき、CD4数は減っていく。
これは前にも教えた通り、HIVは人間の免疫機能の中枢細胞である、CD4リンパ球に感染し、この細胞内で増殖していくんだ。
その増殖するとき、CD4リンパ球を破壊していく。
つまり、HIVが増殖するってことはCD4リンパ球を破壊するってことであり、CD4数も減っていく。
(慎太郎)そうでしたね。それからおじさん、グラフの中に出て来る、「ウイルス学的セットポイント」って何でしたっけ?
(私)これはとても大事なことだよ。HIV感染後、体内では増殖しようとするHIVと、それを阻止しようとする免疫細胞が闘っている。
そして免疫力がある程度保たれている状態では、増える方と阻止する方のバランスが取れて、あるレベルでウイルス量が見かけ上一定となる。
この状態が「ウイルス学的セットポイント」って言うんだ。
(慎太郎)つまり、新しいHIVがCD4リンパ球を破壊しながら増殖している。
その一方で、CD4リンパ球も新しく生まれ、HIVを駆除している。
この増殖と駆除のバランスが取れた状態ですね。見かけ上は何でもなく一定に見えるんですね。
(私)そうだ。本当はHIVと免疫細胞が常に闘っている。その上で、一定値に保たれている状態だね。
(慎太郎)はいそうでした。思い出しました。
(私)厚生労働省の「抗HIV治療ガイドライン2017年3月版」によると、このウイルス学的セットポイントについてこんな説明が載っている。
1.ウイルス学的セットポイントのレベルが低い状態で治療を開始した方が予後が良い。
2.近年、HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間が短くなっているのは、ウイルス学的セットポイントのレベルが高くなっていることと関連がある。
この2つだよ。
(慎太郎)だから抗HIV薬の投与開始時期も早まって来てるんでしたね。
(私)その通り。以前ならCD4が350以下になったら抗HIV薬の投与開始を推奨していたけど、今では500以下、あるいはHIV感染が分かった段階で即治療開始なども推奨されている。
(慎太郎)エイズ治療の研究結果から分かって来たんですね。
(私)そうだね。
って話もしたよね。
(慎太郎)そうでした。
(私)それじゃ今回の話をまとめようか。
慎太郎が見つけたHIV感染からエイズ発症までの情報は、私からするとちょっと分かりにくい。
最も一般的な経過としては、
1.感染初期
2.無症候期
3.エイズ発症期
この三段階だろう。
そして大事なことは、エイズ発症前に抗HIV治療を開始することだ。
それも出来るだけ早期の治療が生存率や後遺症のリスクに対して有効だ。
(慎太郎)早期の治療開始の為には早期のHIV検査ってことになりますね。
(私)その通りだ。毎回、毎回同じ話になってしまうけど、やはり早期のHIV検査は救命的検査になるね。
(慎太郎)日本では第三段階のエイズ発症期まで行って、初めてHIV感染が分かる人が多くいるんですよね。
(私)その通り。ここ数年、新規にHIV感染者として報告された1,400人から1,500人の中で、すでにエイズを発症していた人は約30%もいる。
更に年齢が50歳以上だと、約50%にも達している。いかにHIV検査を受けていない人が多いかってことだね。
(慎太郎)分かりました。
(私)それじゃ今回はこの辺で終わりにしよう。
(慎太郎)おじさん、ありがとうございました。
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