HIVやエイズに関する正しい表現方法を説明します。案外間違った使われ方をしているケースがありますよ!
(私)HIVやエイズについて正しい言葉の使い方を知ってるかい? | (陽介)うーん、何となく知ってるつもりだけど、本当に正しいかどうかと言われると・・・ |
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(私)こんな言葉の使い方は正しいか、間違っているか、陽介に分かるかな?
1.エイズに感染する
2.エイズ検査
3.エイズで死ぬ
4.エイズウイルス
5.HIVウイルス
さぁ、陽介分かるかい?
(陽介)う~ん・・・・。おじさん、どれも普通に見かける表現だよ。全部正しいと思うけど・・・?
(私)残念でした!実は5つとも全部間違った表現なんだよ。
(陽介)え!ホント?でも、よく見かけるよ。
(私)確かに陽介が言うようにこうした間違った使われ方はよく見かけるね。ただ、それは知らずに間違っているのではなく、読む人に理解しやすいように、分かりやすいようにわざと間違った使い方をしている場合もあるんだよ。
(陽介)それじゃおじさん、5つはどこが間違っているのか教えてくれる?
(私)いいよ。まず1番からだけど、
(×)エイズに感染する⇒(〇)HIVに感染する
ということだね。私たち人間が感染するのはウイルスに感染するんだよね。エイズはウイルスじゃないから感染しないんだ。
(陽介)なるほどそうか。言われみるとそうだね。これって、HIVとエイズの定義をはっきり知っていないと間違いに気づかないね。
(私)陽介の言う通りだよ。では、2番目。
(×)エイズ検査⇒(〇)HIV検査
これも1番と同じだね。検査するのはHIV抗体やHIV抗原なので、あくまでもHIV検査だ。
(陽介)でもおじさん、保健所の案内には「エイズ検査」って書いてるところがあるよ。
(私)そうだね。それがさっき言った、分かりやすいようにわざと間違った使い方をする例だよ。一般の人には「HIV検査」よりも「エイズ検査」の方が伝わりやすいという配慮だね。
(陽介)確かに「HIV」の意味をよく知らない人もいるしね。「エイズ検査」だとすぐにピンとくるもんね。それじゃ3番は?これこそ新聞やテレビでもよく見る表現だし、間違っていないと思うけど。
(私)そうだね。一般的によく使われている表現だね。でも、厳密に言えば間違いなんだよ。
(×)エイズで死ぬ⇒(〇)エイズ関連疾患で死ぬ
これが正しい表現だよ。もともとエイズという言葉の意味は、「後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)」なんだよね。あくまでも「症候群」を指すのであって、特定の病気を指すわけじゃない。
(陽介)おじさん、イマイチ意味がよく分からない。もう少し分かりやすく教えてもらる?
(私)いいよ。一言でいえばHIVに感染した人がだんだんと免疫力が落ちてきて、普通だったら発症しない日和見感染症を発症してしまう状態をエイズと言う訳だ。
(陽介)それってHIVとエイズの違いで教えてもらったことだよね。
(私)そうそう。日本ではエイズ指標疾患というのが23種類決められていて、HIVに感染した人がこの23疾患のどれかを発症するとその時点でエイズ患者と認定されるんだよ。
だからエイズで亡くなる人はこうしたエイズ指標疾患、エイズ関連疾患に感染することが直接の原因で亡くなるんだよ。例えばニューモシスチス肺炎やカポジ肉腫などだね。
(陽介)なるほどね。分かりました。でも、「エイズで死ぬ」、っていう表現の方がやっぱり分かりやすいね。
(私)確かにそうだね。それじゃ次はどうかな?「エイズウイルス」のどこが間違いか陽介分かるかな?
(陽介)これは分かるよ!1番、2番と同じだね。エイズはウイルスの名前じゃないから間違いなんでしょう?
(私)その通り!じゃ、5番はどうだい?
(陽介)うーん・・・エイズウイルスは間違いだけど、HIVウイルスなら正解じゃないのかな。どこが間違いなんだろう?おじさん、HIVウイルスは正しい使い方じゃないの?
(私)ちょっと細かい話になるけど、HIVはそもそも「Human Immunodeficiency Virus」の頭文字からきた単語なんだ。
Human ⇒人間の
Immunodeficiency ⇒免疫不全
Virus⇒ウイルス
なんだ。だからHIVにはウイルスと言う意味がすでに入っている。「HIVウイルス」と言う使い方はウイルスが二重表現になってしまうんだよ。だから間違い。
(陽介)そうか、分かりました。英語の意味を知らないと間違いが分からないね。
(私)まぁ、実際問題としてこうした使い方がそれほど重大な問題になることはないと思うよ。ただし、HIVとエイズの違いをしっかり認識して使う分にはいいけど、知らずに使うのは危険だね。
例えばHIVに感染したら即、エイズだ、なんて思うのは危険な間違いだ。
(陽介)おじさん、よく分かりました。
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補足資料
●エイズ指標疾患
日本では次の23種類がエイズ指標疾患に指定されています。HIV感染者がどれか1つでも発症すればその時点でエイズ患者と認定されます。
1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺など) 2.クリプトコッカス症(肺以外) 3.コクシジオイデス症 4.ヒストプラズマ症 5.ニューモシスチス肺炎 6.トキソプラズマ脳症(生後1ヶ月以後) 7.クリプトスポリジウム症(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの) 8.イソスポラ症(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの) 9.化膿性細菌感染症 10.サルモネラ血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く) 11.活動性結核 12.非結核性抗酸菌症 13.サイトメガロウィルス感染症 14.単純ヘルペスウィルス感染症 15.進行性多巣性白質脳症 16.カポジ肉腫 17.原発性脳リンパ腫 18.非ホジキンリンパ腫 19.浸潤性子宮頸癌 20.反復性肺炎 21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成 22.HIV脳症(認知症、または亜急性脳炎) 23.HIV消耗性症候群(全身衰弱、またはスリム病)
従って、HIVに感染していてもエイズ指標疾患を発症していなければエイズ患者ではありません。また、HIVに感染していない人が上記23疾患のどれかを発症してもエイズ患者ではありません。
●HIV
Human Immunodeficiency Virus=HIV=ヒト免疫不全ウイルス(ヒトめんえきふぜんウイルス)
●エイズ
Acquired Immune Deficiency Syndrome=AIDS=後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)
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