「国内の潜在的HIV感染者の推計は5,800人」

先日(3月末)厚生労働省はこのような数字を発表しました。

今回はこのニュースを甥っ子の慎太郎と話してみたいと思います。

ぜひあなたもいっしょに聞いて下さい。

(甥っ子慎太郎)おじさん、HIVに感染しているのに気付かない人って、どのくらいいるんですか?
陽介
(私)慎太郎、ちょうど厚生労働省がその推計値を発表しているよ。
私

(慎太郎)そうなんですか!それで何人くらいですか?

(私)厚生労働省の発表によると、HIVに感染しているのに気付いていない人は、2016年末の時点で推計5,800人ほどいるらしい。

(慎太郎)5,800人・・・

(私)そうだよ。

(慎太郎)おじさん、その数字って、正直少ないと思いました。僕はもっと多いと思ってましたから。

(私)そうか。それはどうしてだい?

(慎太郎)だって、これまでに僕が読んだエイズの本や、関連サイトでは、たいてい

「HIV感染者は検査で見つかった件数より、実際の数はその5倍から10倍は存在する。」

みたいな記事ばかりでしたよ。

だからイメージとしてHIVに感染しているのに、それに気付いていない人って数万人規模だと思ってました。

(私)確かにそうだね。慎太郎の言う通り、私が読んできたHIV感染やエイズ動向の記事も、たいていはそのくらいの規模を指摘していたね。

そうだなぁ・・少なくとも2010年まではそうした声が圧倒的に多かった。

さすがに最近でははそんな指摘、数万人規模という数字を見ることはなくなってきたけどね。

(慎太郎)それはなぜですか?どうしてそんな指摘が少なくなっていったんですか?

(私)そうだね。これは私の個人的な意見だけど理由は2つあると思うよ。

●毎年の新規エイズ患者の報告件数が横ばいである。

●献血で見つかるHIV陽性件数が年々減少している。

この2つだ。

この2つの指標を見ると、潜在的HIV陽性者が何万人もいるとは思えないね。

(慎太郎)ふ~ん・・・

(私)ちょっとこれを見てもらおうかな。

平成13年から平成27年までの新規エイズ患者の推移だよ。

エイズ概要
グラフ1.新規エイズ患者の推移

(慎太郎)平成22年くらいからほぼ横ばい状態ですね。

(私)そうだね。潜在的なHIV感染者は当然治療を受けない訳だから数年経つとエイズを発症する。それもかなりの高い確率で発症する。

しかも日本では感染症法で全国どこの医療機関でエイズ患者が見つかっても7日以内に保健所に届けることが義務づけられている。

いわゆる、全数報告って体制が敷かれてるんだ。

(慎太郎)なるほど・・・。もしも数万人規模の潜在的HIV感染者が存在するなら、とてもこんな件数のはずがないですね。

(私)そうだね。それから献血で見つかるHIV陽性者の件数が年々減っている。これを見てごらん。

献血の件数と、献血で見つかったHIV陽性の件数だよ。

献血とHIV陽性
グラフ2.献血とHIV陽性

献血で集めた血液は全数、HIV抗体検査とNAT検査をしているからね。

(慎太郎)年間に約500万件の献血で、HIV陽性が50件以下ですか。

(私)そうだね。この5年間は毎年HIV陽性件数が減っている。

むろん、これは献血を受けた人のデータだから、そのまま潜在的HIV感染者の動向と直結しているとは言えないかも知れない。

しかし、何せ母数が500万件だから、有力な目安にはなるよね。

厚生労働省のエイズ動向委員会でも献血におけるHIV陽性件数は動向の1つの指標にしてる。

(慎太郎)しかし、今回厚生労働省が潜在的HIV感染者を5,800人と推計した根拠は何でしょうね?

どんなデータを使って、どんな計算をしたんですかね?

(私)残念ながら私がニュースを調べた限りではどこにも載ってなかったね。そこは公表してないみたいだ。

ただ、「感染の広がり方や過去のデータなどを詳しく分析した」とだけあるね。

(慎太郎)そうですか。例えば、献血でHIV陽性が見つかる割合で計算するとどうなるんでしょうね。

(私)そうだな。献血は男女の性別や献血の種類によって年齢制限が違うけど、取りあえず18歳から69歳で考えてみようか。

この年齢層の人口は・・・約7,180万人だ。

そして2016年の献血でHIV陽性が見つかった割合で計算すると・・・HIV陽性者はざっと700人かな。

(慎太郎)なるほど。すると厚生労働省が推計した5,800人は約8年分ですか。

(私)現実はこうじゃないと思うけど、仮の計算で言えばそうなるね。

(慎太郎)よく分かりませんけど、色んな指標を使って専門家が推計したってことですね。

(私)そうだね。

(慎太郎)でも、5,800人と推計される潜在的HIV陽性者は、そのままだとやがて「いきなりエイズ」を発症することになりますね。

(私)残念ながらそうだね。早くHIV検査で気が付いて欲しいね。

(慎太郎)おじさん、国内にはHIV陽性者は何人いるんでしたっけ?

(私)えっとね、エイズ動向委員会の資料によると、2016年12月25日現在、

●新規HIV感染者の累計 18,851人(外国人を含む)

●新規エイズ患者の累計 8,493人(外国人を含む)

●合計 27,344人(外国人を含む)

となってるね。

(慎太郎)そうですか。それに、実際にはもう5,800人ほどのHIV陽性者が存在してるってことですね。

(私)そうだね。厚生労働省の推計ではそうなるね。

(慎太郎)何とかエイズ発症前にHIV感染が見つかるといいですね。

(私)そうだね。今回の厚生労働省の推計発表はかなり大手のメディアでも取り上げられた。こうしてメディアが大きく扱うとそれを見た人の中にはHIV検査を受けようと思う人も出て来るよね。

(慎太郎)僕が思ってたよりは少ないですが、それでも5,800人もの人が自分のHIV感染に気付いていないなんて・・・。

(私)こればっかりは強制的にHIV検査をするわけにいかないのでね。本人がその気になって保健所や病院に行ってもらうしかない。

あるいはどうしても保健所に行けない人は自宅で郵送検査を使う方法もあるけどね。とにかく少しでもHIV感染の心あたり、不安があれば検査を受けて欲しいね。

(慎太郎)おじさんがいつも言ってる、

「早期のHIV検査は救命的検査」

ってことですよね。

(私)その通りだよ。潜在的HIV感染者5,800人にとってはまさにそう言える。

(慎太郎)分かりました。

(私)それじゃ今日はこの辺で終わりにしよう。

(慎太郎)おじさん、ありがとうございました。

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