日本性感染症学会より、「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」がネット上で無料公開されています。

今回はこの中から、HIV感染症、エイズに関する情報をピックアップしてあなたにもご紹介したいと思います。

例によって私の甥っ子陽介に説明しますから、いっしょにお聞きください。

(甥っ子陽介)おじさん、今日はどんなお話ですか?
陽介
(私)陽介、今日は「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」からの話だよ。
私

(陽介)「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」って何ですか?

(私)うん、このガイドラインはね、日本性感染症学会というところが出している様々な性感染症の検査や治療法についての指針となるものだよ。

初めて作られたのが2002年で、それまで日本では性感染症に関するこうした検査、治療に関するガイドラインってなかったんだね。

(陽介)そうなんですか。

(私)2002年から2年おきに、2004年、2006年、2008年と改定されてきた。そして本来なら2010年予定のところが1年遅れで2011年に改定があり、そして今回の2016年版となった。

(陽介)2011年から2016年まで、えらい間が空いていますね。

(私)そうだね。5年ぶりの改訂になるね。なぜ5年間も改定されなかったのか、ちょっと理由は分からない。

とにかく、今回久々に改定されたということで、ガイドラインの中からHIV、エイズに関する記事を全部読んでみた。

(陽介)そうでしたか。何か新しい情報が書かれていましたか?

(私)いや、それが残念ながら特別目新しい情報はなかったよ。すでにネット上で公開されている情報だったり、専門書に書かれているような情報ばかりだった。

(陽介)そうなんですか。それじゃ、今日のお話は・・・?

(私)まぁ、目新しさはなくても大事なことは沢山か書かれてあった。だからここでは過去の話と重複するかも知れないけど、改めて話してみたい。

(陽介)なるほど、分かりました。ぜひお願いします。

(私)同ガイドラインの中では、97ページから105ページまで、9ページに渡ってHIV感染症やエイズのことが書かれている。

一応、順を追って、私なりにピックアップしたものを話してみようと思う。

(陽介)はい、お願いします。

(私)まずは、これだ。

『HIV感染症の治療法はめざましく進歩し、ほぼ100%の症例において治療は成功し、一般人とほぼ同等の生命予後を期待し得るまでに至っている』

(陽介)これは過去に何度も話してもらいましたね。1997年頃から始まったARTと呼ばれる抗HIV治療によって、劇的に予後が改善され死亡者が減ったんですよね。

(私)そうなんだよ。かつては致死的疾患であったHIV感染症は慢性疾患に近づきつつあるとさえ言われている。

ただし、それには条件があって・・・

(陽介)はい、分かってます。エイズ発症前の早期発見、早期治療が条件ですよね。

(私)その通り!

同ガイドラインの中にもこう書かれている。

『エイズを発症した場合には死亡率10~20%と、まだ致死的疾患であり、早期検査が不可欠である。』

(陽介)う~ん、そうなんですか。死亡率10~20%って高いですね。

(私)そうなんだよ。今回のガイドラインを読んで、一番強く記憶に残ったのはこの死亡率だよ。まだこんなに高いのかと驚いた。

正直、数パーセント程度でもっと低いと思ってた。でもこれが現実なんだね。

それに死に至らなくても後遺症が残ることもある。いずれにしても早期のHIV検査は救命的検査になるね。

(陽介)でも、HIV感染って特異的な症状がないので、検査を受けない人も多いですよね。

(私)そうだね。ただ、ガイドラインにも出て来るけど、HIV感染の急性期には症状が出ることが多い。

『HIV感染後2~6週間に、50~90%の感染者に何らかの症状が出たと報告されている。』

ということだ。

どんな症状が出るかは、『これって、HIV感染症の初期症状かな?』この話を思い出して欲しいね。その時に話したデータと今回のガイドラインのデータは全く同じものだよ。

(陽介)発熱、リンパ腺の腫れ、頭痛、下痢など、風邪や体調不良の症状と区別がつかないんですよね。

(私)そうだよ。さっきも言ったけどHIV感染特有の症状はない。だから症状からHIV感染を疑うのは止めて、何も症状がなくても不安があればHIV検査を受けて欲しいね。

(陽介)それもこれまで何度も教えてもらいましたね。

(私)そうだったね。それから、ガイドラインには偽陽性の記述が載っていた。

『HIV検査の世代交代とは?』でも話した通り、現在は第四世代と呼ばれる抗原抗体検査がHIV検査のスクリーニング検査では多く使われるようになってきた。

(陽介)そうでしたね。抗体検査だけの場合より、早く検査が出来るメリットがありましたね。

(私)そうだね。

感染の可能性があった日から、HIV抗体検査なら3ヶ月、抗原抗体検査なら2ヶ月で検査可能だね。

ただ、この第四世代のHIV検査でも偽陽性は発生する。

その確率は、

●通常検査 0.3%

●即日検査 1.0%

こんなふうに書かれている。

(陽介)その確率も、以前に「HIV検査の偽陽性とは?」で教えてもらいましたね。

(私)そうだったね。だからスクリーニング検査で陽性になっても、決してまだHIV陽性が確定した訳じゃないってことを忘れないでもらいたいね。

(陽介)そうですね。

(私)毎年、保健所の即日検査で陽性になって、そのまま確認検査の検査結果を受け取りに来ない人が何人かいる。

理由は色々あるんだろうけど、自分はもうHIVに感染してるって自暴自棄になってしまった人もいるかも知れない。でも、確認検査の結果が出るまではHIVに感染しているかどうか分からない。

(陽介)そこ、正しく理解しておくことが大事ですよね。

(私)そうだね。

さて、ここまで話して随分時間がかかったな。今日はこの辺でお終いにしようか。ガイドラインにはまだまだ多くことが書かれているので、、ぜひ一度読んでみて欲しいな。

(陽介)おじさん、分かりました。

(私)こちらで無料公開されているからね。

「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」

(陽介)はい、ぜひ読んでみます。

(私)このガイドラインにはHIVやエイズだけでなく、梅毒、クラミジア、淋菌などほとんどの性感染症について検査や治療のことが書かれているよ。

(陽介)おじさん、今日はありがとうございました。

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