全国の保健所では無料・匿名でHIV検査を受けることが出来ます。

そして、その保健所の多くはHIV以外の性感染症検査も行っています。

今回は保健所でどんな性感染症検査が受けられるのか、それを甥っ子の慎太郎に説明するのであなたもいっしょに聞いて下さい。

(甥っ子慎太郎)おじさん、今日のお話は何ですか?
陽介
(私)慎太郎、今日は保健所で受けられる性感染症検査の話だよ。
私

(慎太郎)保健所で受けられる性感染症検査って・・・。それは前に「保健所で可能な性感染症検査は?」ってお話で教えてもらいましたよ。

(私)そうだったね。今回はその続編ってところかな。

(慎太郎)へぇ~続編ですか。

(私)前回の話は2010年度の実績データを使った話だった。今回話すのは2010年から2015年までの6年間の話だよ。

(慎太郎)なるほど。2010年からどう変わったか、というお話ですね。

(私)そういうことだ。

厚生労働省では毎年全国の保健所を対象にアンケート調査を行ってる。ざっと565ヶ所ほどあるんだ。

でも全部の保健所がアンケートに回答してる訳じゃなくて、こんな感じだね。

アンケート調査で回答のあった保健所の数

年度 アンケート回答
2010 488/586
2011 460/560
2012 481/560
2013 493/579
2014 469/577
2015 484/565

⇒補足資料①

(慎太郎)なるほど。ざっと80%~85%の回答率ですね。

(私)ではさっそく、どんな性感染症をどの程度検査しているのか、見てみよう。

今回アンケート調査したのは以下の性感染症だよ。

●梅毒

●クラミジア

●淋菌

●B型肝炎

●C型肝炎

●HTLV-1(成人T細胞白血病)

(慎太郎)なるほど。

(私)ではさっそく、梅毒からいってみよう。

梅毒 検査実績
年度 保健所数 割合
2010 242(注) 49.6%
2011 294 63.9%
2012 312 64.9%
2013 320 64.9%
2014 310 66.1%
2015 319 65.9%

表1.保健所梅毒検査

注):2010年だけ、実績が以下のように書かれている。

●梅毒 31

●梅毒迅速 48

●梅毒通常 242

恐らくこの3つは重複しているはずで、結局梅毒検査をしている保健所の数はいくらか、不明。今回は最も多い梅毒通常検査の242件を2010年の実績として使用しました。

これをグラフにしたのが図1だよ。

保健所梅毒検査
図1.保健所梅毒検査

(慎太郎)なるほど。2011年からはほぼ横ばいって感じですね。

(私)梅毒はこの5年間で新規感染者が5倍に増えている。2016年には42年ぶりに4,000人を超えてしまった。

(慎太郎)うわ!すごい増加ぶりですね。今後は梅毒検査が出来る保健所がもっと増えるかも知れませんね。

(私)そうだね。それじゃお次はクラミジア検査だよ。

クラミジアは抗体検査と抗原検査の2種類に分かれてる。

クラミジア抗体 検査実績
年度 保健所数 割合
2010 240 49.2%
2011 226 49.1%
2012 225 46.8%
2013 209 42.4%
2014 180 38.4%
2015 151 31.2%

表2.クラミジア抗体検査

クラミジア抗原 検査実績
年度 保健所数 割合
2010 64 13.1%
2011 68 14.8%
2012 68 14.1%
2013 113 22.9%
2014 106 22.6%
2015 130 26.9%

表3.クラミジア抗原検査

保健所クラミジア検査
図2.クラミジア検査

こんな感じだね。

(慎太郎)ふ~ん、グラフを見ると、クラミジア抗体検査はどんどん減って、逆にクラミジア抗原検査がどんどん増えていますね。

(私)その通り!それには理由があるんだよ。

(慎太郎)どんな理由ですか?

(私)うん、クラミジアの抗体検査と抗原検査はこんな違いがあるんだ。

●クラミジア抗体検査

クラミジアに感染して治療を受け、完治してもクラミジア抗体が残るため、現在感染していなくても陽性になる。

つまり、抗体検査で陽性になっても過去の感染か、現在の感染か、あるいはその両方か、区別が難しい。

 

●クラミジア抗原検査

クラミジアそのものを見つける検査なので、この検査で陽性になると現在クラミジアに感染していることが分かる。

この違いがあるんだ。

(慎太郎)なるほど。それじゃクラミジア抗原検査が増えているのは当然とも言えますね。理由がよく分かります。

(私)それじゃお次だ。淋菌検査だよ。

淋菌 検査実績
年度 保健所数 割合
2010 32 6.6%
2011 42 9.1%
2012 34 7.1%
2013 48 9.7%
2014 41 8.7%
2015 49 10.1%

表4.淋菌検査

保健所淋菌検査
図3.淋菌検査

淋菌検査も少しずつだけど増えてる感じだね。

(慎太郎)そうですね。それにしても実施率は梅毒、クラミジアに比べてかなり低いですね。

2015年になって、やっとギリギリ二けたですもんね。

(私)確かに低いね。

じゃ次はB型肝炎だよ。このアンケート調査でもB型肝炎、C型肝炎は性感染症として位置づけされている。

B型肝炎 実施実績
年度 保健所数 割合
2010 126 25.8%
2011 278 60.4%
2012 313 65.1%
2013 333 67.5%
2014 298 63.5%
2015 309 63.8%

表5.B型肝炎検査

保健所B型肝炎検査
図4.B型肝炎検査

こんな感じだね。

(慎太郎)2012年からはほぼ横ばいってところですね。

(私)では最後にC型肝炎を見てみよう。

C型肝炎 検査実績
年度 保健所数 割合
2010 96 19.7%
2011 151 32.8%
2012 291 60.5%
2013 325 65.9%
2014 289 61.6%
2015 294 60.7%

表6.C型肝炎検査

保健所C型肝炎検査
図5.C型肝炎検査

C型肝炎検査もB型肝炎検査に似ている。2012年まで増えて、そこからほぼ横ばい状態だね。

(慎太郎)そうですね。

(私)ただね、B型肝炎、C型肝炎は他の性感染症と違って無料・匿名じゃない保健所が多い。

検査の実施要項が各自治体、保健所ごとに異なるから検査を希望するときは事前によく確認した方がいいね。

(慎太郎)なるほど。

(私)それじゃ最後に、全体をまとめてみよう。

現状、保健所における性感染症の検査実施率は以下の通りだ。

●HIV ほぼ100%

●梅毒 65%

●クラミジア 抗体 30% / 抗原 27%

●淋菌 10%

●B型肝炎 64%

●C型肝炎 60%

●HTLV-1(成人T細胞白血病) 3%

これはあくまでも全国調査の結果なので、実際に保健所で検査を受ける場合には最寄りの保健所で確認して欲しいね。

(慎太郎)保健所でやってない性感染症の検査は病院に行くしかないですね。

(私)そうだね。病院か、郵送式の検査キットを使うか、どちらかだね。

すでに症状が出ていれば迷わず病院へ行くことだね。

漠然とした不安、心配なら検査キットを使うのもアリだ。

(慎太郎)分かりました。おじさん、どうもありがとうございました。

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補足資料

①HIV検査相談に関する全国保健所アンケート調査報告書

出展は以下の通りです。

●平成22年(2010年)

●平成23年(2011年)

●平成24年(2012年)

●平成25年(2013年)

●平成26年(2014年)

●平成27年(2015年)