あなたもご存知の通り、全国の保健所では無料・匿名でHIV検査を受けることが出来ます。
そして保健所でHIV検査を受けた件数は2008年(平成20年)をピークに下げ止まったまま横ばい状態が続いています。
一方で、自宅で使える郵送式のHIV検査キットは使用量が増える一方です。
これが保健所検査に影響しているのでしょうか?
私が調べたことを甥っ子の陽介に話すのであなたもいっしょに聞いて下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、保健所でHIV検査を受ける人って、減ってるんでしょう? |
![]() |
(私)陽介、ここ数年は横ばい状態だね。ただ、ピークの2008年からみると減ったままだね。 |
![]() |
(陽介)保健所のHIV検査って、2008年がピークだったんですか。
(私)そうだよ。このグラフを見てごらん。
グラフ1.保健所におけるHIV検査の受検数
2008年(平成20年)には全国の保健所、その他自治体の検査所で合計177,156件のHIV検査が行われてる。
それが翌年、翌々年と減ってしまい、そのままほぼ横ばい状態が続いてるんだ。
(陽介)おじさん、どうしてHIV検査を受ける人が減ったんですか?
(私)そうだね。ピークの翌年、2009年には新型インフルエンザが日本中で大流行し、保険所もそちらの予防や治療で手一杯になってHIV検査に力を入れることが出来なかった。
それが原因と言われたんだね。
(陽介)そうなんですか。でも、2010年以降も減ったままですよね。
(私)そうなんだよ。新型インフルエンザの流行が終わってもHIV検査の受検数は減ったまま、ピーク時には戻ってこなかった。
それで今度はHIV感染に対する世間の意識が薄れてきたのが理由だと言われてる。
(陽介)ふ~ん、そうなんですか。
でも、おじさんは以前に「HIV検査キット利用数は年間8万5000件以上! 」と言うお話で自宅で使えるHIV検査キットは年々使用量が増えてるって教えてくれましたよね?
(私)うん、確かにそう教えたね。
(陽介)もし本当にHIV感染に対する関心が薄れたのなら、お金を出して検査キットを買う人がどんどん増えてるって、おかしくないですか?
(私)するどいところを突くね。実は私もそう思う。HIV検査キットの利用数は増加の一途だからね。
グラフ2.HIV検査キットの使用量
私が思うに、HIV検査キットを購入して検査を受ける人はそれなりに強いHIV感染不安を持ってると思うんだ。
そう言う人達は以前は保健所に行ってたのが、HIV検査キットと言う非常に利便性の高いツールを知って、そちらに乗り換えたのかも知れないね。
それに比べて保健所のHIV検査って、そんなに強いHIV感染不安がなくても無料だから受けてみようって人が多いんじゃないかな。
そんな割と軽い気持ちでHIV検査を受けてみようって人が減ったのかも知れない。
そういう人たちに関して言えば、専門家が指摘してるようにHIV感染に対する関心が薄れたのが理由と言えるかも知れない。
(陽介)なるほど、両面からの理由があるってことですね。
(私)ところで2008年と2015年を比較してみると、こんな数字になるよ。
●2008年
・保健所のHIV検査受検数 177,156件
・HIV検査キットの使用量 50,672件
●2015年
・保健所のHIV検査受検数 128,241件(-48,915件)
・HIV検査キットの使用量 85,629件(+34,957件)
( )の数字は対2008年
(陽介)こうしてみると、やっぱりHIV検査キットを使う人が増えたせいで保健所の受検数が減ってるようにも見えますね。
(私)確かにね。むろん、それだけが理由じゃないとは思うけど、ある程度は影響していると思うな。
(陽介)検査キットはお金がかかるけど、わざわざ保健所を予約して、そこまで行って検査を受けるのが面倒だって思う人もいるでしょうね。
先ほどおじさんが言って通りだと思います。
(私)そうだね。検査キットなら仕事が忙しくて時間がない人も、無理して保健所に行かなくても自分の都合のいい時にいつでも検査出来るからね。
(陽介)なるほど。それじゃ今後もっと検査キットの利用者は増えるかも知れませんね。
(私)可能性はあると思うね。保健所のHIV検査も出来る限りもっと利便性を上げてもらいたね。例えば即日検査の更なる普及とか、休日、夜間対応などもね。
(陽介)ホント、そうですね。
(私)今日は保健所のHIV検査と自宅で使えるHIV検査キットの関係を考えてみた。
どの程度関係しているか定量的には分からないけど、検査キットの利用数増加と保健所の受検数減少は関係あると思うな。
これが私の結論だよ。
(陽介)はい。おじさん、どうもありがとうございました。
■関連記事:この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。