HIV検査が保健所では無料・匿名で受けられることはあなたもご存じでしょう。
では、1年間にどのくらいの人がHIV検査を受けて、どのくらいの人が陽性判定を受けているのでしょうか。
厚生労働省の関連サイトから私が調べた情報を甥っ子の陽介に話します。
ぜひあなたもごいっしょに聞いて下さい。あなたのHIV検査に役立てば幸いです。
(甥っ子陽介)おじさん、保健所でのHIV検査って、実績としてはどんな数字なんですか? | (私)陽介、それはいい質問だね。私が調べたデータを分かりやすく説明してあげよう。 |
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(陽介)はい、おじさんぜひお願いします。僕なんかの感覚だと、HIV検査と言ってすぐに頭に思い浮かぶのは保健所なんですよね。
でも、いったい保健所でどのくらいの人がHIV検査受けているのか、その結果はどうなのか、それが分かりません。
(私)なるほどね。分かった。それじゃ、保健所のHIV検査で、こんなことを話してあげるよ。
①年間のHIV検査受検者推移
②保健所HIV検査におけるHIV陽性率
③即日検査と通常検査の比率
④HIV検査に予約が必要か不要かの割合
⑤HIV検査を受けて結果が分かるまでの時間
⑥HIV以外の性感染症の検査について
⑦未成年者のHIV検査について
以上の7項目だよ。
(陽介)すごいですね!これだけ話してもらえれば保健所のHIV検査についてかなり詳しく分かりますね。ぜひお願いします。
(私)では、まずは年間の保健所でHIV検査を受ける件数から見てみよう。厚生労働省の発表した資料ではこうなっているよ。
図1.保健所におけるHIV検査の件数推移
グラフ見てすぐ分かるように、平成20年(2008年)をピークにここ数年は頭打ちだね。HIV検査を受ける人は増えていない。
およそ年間に13万人くらいが保健所でHIV検査を受けている。
(陽介)なるほど、本当ですね。でも、HIV感染者、エイズ患者は増加傾向ですね。なのにHIV検査を受ける人は減ったままですね。
(私)うんそうだね。HIV感染者は増加している、検査を受ける人は増えない、これはいつも指摘される問題点だね。
(陽介)HIV検査を受ける人が減った理由は何ですか?
(私)いつも言われるのはHIVやエイズに対する関心度が減ってしまったことだね。
だから2013年の年末に起きた献血によるHIV感染みたいな世間の注目を引くニュースが出ると、HIV検査の受検者はぐっと増えるんだ。
(陽介)でも一時的で長続きはしませんね。
(私)そうだね、残念ながら。では、次はその保健所での検査の結果だよ。これもネット上に公開されているデータがあるんだ。⇒補足資料①
保健所でHIV検査を行った結果はこんな感じだよ。
図2.2013年度保健所HIV検査
これは2013年度に全国の保健所で行ったHIV検査の実績だよ。全国579ヶ所の保健所にアンケート調査を行い、493ヶ所から回答を得たものだ。
(陽介)なるほど・・・。陽性件数が240件で、陽性率が0.26%なんですね。
(私)そうだ。厚生労働省エイズ動向委員会の発表では、2013年の新規エイズ感染者は1,106人だから、全体の21.7%がこのアンケートに回答した保健所で報告されたことになるね。
(陽介)ふ~ん・・・21.7%ですか。意外と少ないですね。最初にも言ったけど、僕はHIV検査と言うとすぐに保健所を想い浮かべるのでもっと多いかと思っていました。
(私)まぁ、アンケートの回答率が85%だから全ての保健所の総数ではないけどね。
(陽介)結局、保健所でこれだけしか報告されていないってことは、後は病院で報告されてる訳ですね?
(私)そうだね。病院でHIV検査を受けた人、あるいは本来それが目的じゃないけど見つかった人もいるしね。
例えば入院や手術前のスクリーニング検査で見つかった人もいる。
(陽介)なるほど。分かりました。
(私)では、次は即日検査と通常検査の比率だよ。この図を見て欲しい。
図3.即日通常検査比率
保健所のHIV検査には即日検査と通常検査の2種類があることは前にも話したよね?
(陽介)はい。即日検査は採血して1時間くらいで検査結果が分かるんですよね?だから二度行く手間がいらない。
でも通常検査は採血したその日には検査結果が分からず、1週間から2週間くらい後にもう一度保健所に行って結果を聞くんですよね。
(私)その通りだ。即日検査の方が利便性がいいよね。でも実際にはまだ通常検査しかやってない保健所が32%あるんだね。
(陽介)でもおじさん、即日検査は増える方向にはあるんでしょう?
(私)う~ん・・・それがねぇ。調べてみたら確かに増えてはいるけどほんの微増だね。
そんなにどんどん増えてるって感じじゃないね。即日検査の割合はこんな推移だ。(通常検査との併用も含む)
・2010年 63%
・2011年 67%
・2012年 65%
・2013年 68%
(陽介)ほんど、微増って感じですね。これからもっと増やして欲しいですね。
(私)確かにそうだね。では次は保健所のHIV検査に予約が必要かどうか。次の図を見て欲しい。
図4.HIV検査の予約要・不要
全体としては71%が予約必要なんだね。特に即日検査は81%必要と回答してる。
即日検査は採血から1時間以内に検査結果を出すから受検者が一度に押し掛けると対応出来ないんだろうね。
(陽介)なるほど、そうでしょうね。予約が必要ってことは、たまたま今日時間が空いてるからHIV検査を受けに行こう思ってもダメってことですよね。
(私)うーん、まぁ保健所に電話してみて聞くしかないね。でも予約してないと断れることも当然あるだろうな。
(陽介)分かりました。次はどんなデータですか?
(私)次はね、HIV検査を受けてから検査結果が分かるまでの時間だよ。
さっきも出てきたけど即日検査の場合は採血から1時間以内で結果が分かる。
では、通常検査ではどうだろう。次の図を見て欲しい。
図5.通常検査の結果が分かるまで
66%は1週間以内に分かるようだね。まぁ、結果が分かるまでは不安だろうね。出来るだけ早く結果が知りたいだろうね。
(陽介)本当ですね。僕だったら不安で眠れない、食事も喉を通らないかも知れないです。
(私)うん、冗談抜きで中にはそんな人もいるだろうね。では、次は保健所で検査が可能なHIV以外の性感染症についてのデータだよ。
(陽介)あ~、前におじさんが教えてくれましたね。保健所でHIV検査を受けるとき、同時に他の性感染症も無料、匿名で検査が出来るって。
(私)そうだよ。今回のアンケートでも、回答のあった493ヶ所の保健所のうち、422ヶ所でHIV以外の性感染症検査を実施している。
実施率で言えば実に85.6%だね。
(陽介)へぇ、そんなにやってるんですね。知りませんでした。これは利用しない手はないですね。
でも、いったいどんな性感染症の検査が出来るんですか?
(私)うん、実際に検査が出来る性感染症はこんなものだよ。下の図を見てごらん。
図6.保健所で検査可能な性感染症
(陽介)うわ!断トツで梅毒、B型肝炎、C型肝炎が多いですね。
(私)そうだね。それにはいくつか理由があるんだよ。
●梅毒、B型肝炎はHIVとの重複感染が非常に多い。従ってHIV検査を受けるときには同時検査が望ましい。⇒補足資料②
●梅毒、B型肝炎、C型肝炎は重複感染するとより症状の進行が早まったり重症化することがある。⇒補足資料②
●B型肝炎、C型肝炎の薬害感染について国が責任を認め検査の推進を図っている。
こうした事情だね。
(陽介)なるほど。そうなんですね。
(私)ただし、梅毒、クラミジア、淋菌はHIV検査との同時、無料、匿名検査が可能だけど、B型肝炎、C型肝炎については検査の受付条件が保健所ごとにかなり違うみたいだね。
必ず事前に最寄の保健所で確認しないとね。
(陽介)分かりました。それから、クラミジア検査には抗体検査と抗原検査の2種類がありますね。これってどう違うんですか?
(私)うん、それはね検査で調べるものがクラミジア抗体か、クラミジア抗原か、っていう差だね。簡単に説明するとこうだよ。
●クラミジア抗体検査
受検者の血液を採取して、クラミジア抗体がないかを検査する。
クラミジアが受検者のどこに感染していても抗体反応が出るので、その点では正確な検査と言える。
ただし、一度でもクラミジアに感染すると抗体はずっと残ったままになる。治療してクラミジアが体内から駆除されても抗体は残る。
従って、この検査で陽性になっても、現在クラミジアに感染しているのか、過去の感染履歴なのか判断が難しい。
あくまでもスクリーニング検査としての位置づけである。
●クラミジア抗原検査
男性なら初尿、女性なら膣分泌物を採取してクラミジアそのものが存在するかどうか調べる。
多くの場合、PCR法と呼ばれるクラミジアの核酸を人工的に増幅して検査する方法が使われる。
受検者が現在クラミジアに感染しているかどうかを調べることが出来る。
ただし、感染していても採取した検体にクラミジアが含まれていないと陰性になってしまう。
例えば咽頭感染しているのに尿検査だけしても見つからない。
(陽介)なるほど。そういうメリット、デメリットがあるんですね。よく分かりました。
こんなに色んな性感染症が検査出来るなら、やはり利用しない手はないですね。
(私)では最後に、未成年者のHIV検査についてだね。
HIV検査は未成年者だからと言って親の承諾がないと検査を受けられないとか、そんなことはないよ。
今回のアンケートに回答のあった493件の保健所で、未成年を理由にHIV検査を断った保健所は1件もない。
全ての保健所で受験者が未成年であっても検査は実施している。
●受験者が未成年でも通常通りの検査を行う 76%
●未成年の場合は特別な配慮を行う 24%
こうなっているんだね。
(陽介)ふーん・・・おじさん、疑問が2つあります。まず、未成年かどうか、どうやって分かるんですか?
それと24%の保健所では受検者が未成年の場合、特別な配慮を行うとしていますが、特別な配慮って具体的には何ですか?
(私)まぁ、当然その疑問は湧くよね。まず、未成年かどうかの確認だけどね。
保健所によっては検査前の問診票で年齢を質問している。
あるいは年代を質問する。だから正直に回答すれば未成年であることは分かるね。
(陽介)そうですね。でも、答で年齢をごまかせば分かりませんね。
(私)むろんそうだよ。匿名検査だからね。
でも、未成年でもHIV検査を受けることは出来るのだから、あえて未成年であることを隠す必要もないと思うけどね。
(陽介)それじゃ未成年に対する特別な配慮って何ですか?
(私)うん、それがね私も随分調べてみたけど具体的に明記している資料が見つからなかった。
ただ、たぶん間違いなく考慮項目に入ってるだろうと思われるのは陽性判定の告知だね。
(陽介)なるほど。HIVに感染していることが確定した場合に未成年者が一人で抱え込むのは危険だという配慮ですね。
(私)その通り。HIV感染は絶対に放置できない、治療を必要とするからね。それには保護者にも知らせた方がいいという配慮だね。
(陽介)確かに・・・。そういう配慮は必要かも知れませんね。
(私)さぁ、ここまで保健所におけるHIV検査の実態を紹介してきたね。陽介、分かったかい?
(陽介)はい、おじさんありがとうございました。保健所でHIV以外の性感染症検査も受けられること、知って良かったです。
(私)そうだね、案外知られていないようだね。ぜひ利用してもらいたいね。では、今回はこれで終わりだよ。
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補足資料
①『HIV検査相談に関する全国保健所アンケート調査報告書(平成25年度)』
保健所HIV検査2013年(姉妹サイト:HIV検査完全ガイド)
保健所HIV検査2014年(姉妹サイト:HIV検査完全ガイド)
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