あなたが保健所にHIV検査に行ったとき、実は無料・匿名でその他の性感染症検査も出来ることをご存知ですか?

どうせ保健所まで足を運んだのならHIV以外の性感染症も検査をうけてみてはいかがでしょう。何しろHIVを始めとする性感染症はみな同じ感染ルートを持っているのですから。

HIV感染が心配なら当然のように梅毒やクラミジアが感染した可能性もあるはずです。

これから私が甥っ子の陽介に保健所で受けられる性感染症検査について説明しますので、ぜひあなたもいっしょに聞いてください。

(甥っ子陽介)おじさん、保健所でHIV以外の性感染症も検査できるんですか? (私)陽介、いい質問だね。実は無料、匿名でHIV以外も検査できるんだよ。
陽介 私

(陽介)おじさん、前回の『保健所でHIV検査を受けるときの注意点は?』というお話のときに、少しだけHIV以外の検査についても教えてくれましたよね。

(私)そうだったね。HIV検査が保健所で無料、匿名で受けられることは今では多くの人が知っていると思うけど、その他の性感染症については知らない人がまだまだ多いかも知れないね。

(陽介)おさらいになりますけど、保険所ではいったいどんな性感染症の検査が受けられるんですか?

(私)それは保健所によって違うんだよ。でも梅毒、淋菌感染症、クラミジア感染症、この3つが多いようだね。

(陽介)その3つともHIV検査と同じように無料で匿名なんですか?

(私)そうだよ。だから利用しない手はないね。ただ、1つだけ条件があるんだ。

(陽介)条件?何ですか?

(私)それはHIV検査と同時検査であることだよ。HIV検査を受けずに梅毒検査だけ、というのはダメなんだ。

(陽介)あ~、そういう条件ですか。なるほどです。要するにHIV検査とセットと言う訳ですね。

(私)うん。でも保健所によっては梅毒だけ、淋菌だけの検査も出来るところがあるよ。ただし別料金が必要だけどね。

(陽介)そうなんですか。では自分が行く保健所でどの検査が可能なのか、事前に調べる必要がありますね。

(私)そうだね。それは各保健所のホームページを見れば分かるよ。むろん電話で聞いても教えてくれる。

(陽介)そうですね。

(私)ちょっと古いけど、こんなデータもあるよ。

2010年に全国487ヶ所の保健所で行ったHIV以外の性感染症検査だよ。

保健所の性感染症検査の種類

(情報元はこちらです。⇒『HIV検査相談に関する全国保健所アンケート調査報告書(平成22年)』

梅毒、クラミジア、淋菌、B型肝炎、C型肝炎が受けられるね。

(陽介)なるほどです。B型やC型のウイルス性肝炎の検査もしてくれるんですね。

(私)そうなんだ。ただ、ウイルス性肝炎の検査は他の性感染症検査とはちょっと受け方が違うんだ。

(陽介)どう違うんですか?

(私)ウイルス性肝炎はほとんどの保健所で無料検査をしてくれるんだけど、匿名検査ではないんだ。HIV検査とは切り離して別に検査をしているんだよ。

(陽介)あ~、そうなんですか。

(私)例えば検査を受ける保健所の所在地の市民であることが条件だったりするんだよね。匿名検査だとそれをチェックできないからね。

それからウイルス性肝炎は保健所だけでなく、自治体の委託を受けた病院でも無料で検査を受けることが出来るんだよ。わざわざ保健所まで行かなくても近くの病院で検査が出来るんだ。ただ、この場合は保険証が必要な場合もあるよ。

(陽介)分かりました。B型肝炎、C型肝炎も無料で検査出来るけど、匿名検査ではないってことですね。

(私)うん。ただし、おじさんが色んな保健所を調べてみると、例外的に無料・匿名で検査してくれるところもあったよ。

(陽介)えー!ホントですか?それってどこですか?

(私)それは京都府の一部の保健所だよ。 『府保健所における検査』このページに載ってる。確かに「無料・匿名で検査ができます」と書いてあるよ。

(陽介)ホントですねぇ。こんな保健所もあるんですね。

(私)でもここは例外だよ。おじさんが調べた限りでは他に見当たらない。もしかしたらもっと無料・匿名で検査可能な保健所があるのかも知れないけどね。

(陽介)いずれにしても自分が検査に行こうと思う保健所で確認するってことですね?

(私)その通りだよ。

(陽介)よく分かりました。ところでおじさん、どうして保健所でHIV以外に梅毒やクラミジアなどの検査が無料なんですか?

(私)お、いい質問だね。どうして保険所ではHIVの他に梅毒やクラミジア、淋菌検査を勧めるのか?それは2つ理由があると思うよ。

(陽介)どんな理由ですか?

(私)まず1つめは、梅毒やB型肝炎はHIVと重複感染が多いこと。だからHIV検査を受けたときに梅毒も同時検査が望ましいんだ。仮にHIVに感染していなくても梅毒に感染していたら早急な治療が必要だし、梅毒に感染していることでHIVにも感染しやすくなるからね。⇒補足資料①

むろん、B型肝炎も早期発見、早期治療が大事だね。何しろ自覚症状がほとんどない病気だから。

(陽介)あ、その話は以前にもおじさんが教えてくれましたね。

(私)うん。今回はおさらいだね。では陽介、もう1つの理由は何だか分かるかい?

(陽介)はい、覚えています。それはクラミジア、淋菌は感染者が非常に多いということ、そして梅毒同様に感染するとHIVにも感染しやすくなるからです。⇒補足資料②

(私)その通りだよ。特にクラミジアの感染者は無症候者も入れると国内に100万人以上と言われている。その上女性の80%、男性の50%には症状が出ないんだ。

だからせっかく保健所まで行ったのならぜひ同時検査をうけて欲しいね。万一感染していればすぐに治療が出来る。

(陽介)クラミジア、淋菌というと、HIVや梅毒ほど怖くないってイメージもありますね。

(私)確かにそうだね。クラミジア、淋菌は致死的疾患とまでは言えないかも知れないね。HIVや梅毒は放置していればかなり高い確率で死に至るからね。

(陽介)どうしても積極的に検査を受けようと思わないかも知れませんね。

(私)でも、クラミジア、淋菌ともに不妊症の原因になることがあるし、男性には前立腺炎や副睾丸炎の原因になることもあり、感染が進むとやっかいなんだよ。⇒補足資料②

(陽介)そうなんですか。それじゃやっぱりHIVといっしょに検査してもらった方が安心ですね。

(私)そうだよ。何しろ性感染症はみな同じ感染ルートだからね。HIVが心配なら他の性感染症も危ないってことさ。

(陽介)よく分かりました。

(私)それじゃ今回はここまで。

(陽介)ありがとうございました!

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補足資料

①HIVと他の性感染症の重複感染

詳細はこちら⇒HIVとHBV・HCVの重複感染 (HIV検査完全ガイド)

HIV感染のリスクを高める性感染症(HIV検査完全ガイド)