HIV感染者の累計が2万人を超えました。これは今年(2012年)第1四半期の厚生労働省の発表です。
日本国内におけるHIV感染者の累計が2万人を超えたと厚生労働省から発表がありました。今年の3月末までの実績報告の中で明らかになったことです。
・
(甥っ子陽介)おじさん日本ではHIV感染者が増え続けているってホント? | (私)陽介、それはホントだよ。残念だけど先進国で増加傾向にあるのは日本だけなんだ。 |
![]() |
![]() |
・
(陽介)おじさん、今日本ではHIV感染者やエイズ患者はどのくらいいるんですか?
(私)厚生労働省エイズ動向委員会の発表によると、2011年末時点で、HIV感染者の累計が13,704人、エイズ患者の累計が6,272人、合計で19,976人だった。⇒補足資料①
(陽介)約2万人ですね。
(私)そうだ。2012年の3月末の発表では2万人を超えたとされている。
(陽介)それってやはり増加傾向にあるんですか?
(私)そうだね。新規のエイズ患者はゆるやかだけど増加し続け、新規のHIV感染者はここ3年くらいは増加が止まったように見えるね。⇒補足資料②
(陽介)え?HIV感染者の増加が止まったんですか。それはいい傾向ですね。
(私)いや、そうは簡単に言えないんだよ。というのもHIV感染者の増加が止まった2009年から保健所のHIV抗体検査を受ける人もまた減っているんだ。⇒補足資料③
(陽介)あ~、それじゃもしかすると検査を受けた人が減ったからHIV感染者の見つかる件数も減ったかも知れないってことですか?
(私)その通りだよ。だから専門家もまだHIV感染者の増加傾向が止まったとは判断できないと言ってる。
(陽介)確かにHIV感染は本人に自覚症状がないから検査を受けない限り分かりませんね。本当はHIVに感染しているのに検査を受けていない人が表に出ている数よりずっと多いかも知れませんね。
(私)そうなんだ。色んな数値がネット上でも出ているけど、実際のHIV感染者は公表されている2倍から3倍以上だと言う人もいるよ。
(陽介)でも、HIV感染者は検査を受けない限り正確な人数は分からないけど、エイズ患者は症状が出て病院に行くから正確な数が分かりますよね。
(私)そうだよ。日本では全国どこの医療機関でHIV感染者、エイズ患者が見つかっても7日以内に保健所経由で都道府県知事に届け出るよう法律で義務付けられている。だからエイズ患者は必ず正確な人数が分かるんだ。
(陽介)すると、もしもHIV感染者が公表されている数の2倍も3倍も多ければ、今後はエイズ患者の報告件数がどんどん増えていきますね。
(私)その可能性もあるね。
(陽介)日本でHIV感染が広まっているのは、どんな感染ルートなんですか?
(私)HIVの感染ルートは大きく分けると性行為感染、母子感染、血液感染の3つだ。厚生労働省の発表だと、2011年の実績で新規のHIV感染者の87.9%、エイズ患者の81.6%は性行為による感染だよ。圧倒的に多い。⇒補足資料④
(陽介)そうなんですか。でも、なぜそんなに性行為で感染する人が多いのでしょう。
(私)やはり予防に対する認識が不足しているんだね。性行為の低年齢化も拡大理由の1つだと言われてるけど、HIV感染に年齢は関係ない。50代、60代の感染者も多くいる。自分だけは大丈夫だと思っている人が危ない。
それと性行為感染の中でも男性の同性間性的接触による感染がとても多いんだ。こうした現状に即した感染予防活動も必要だね。
(陽介)これから日本のHIV感染者はどうなるんですか?もっと増えるんですか、減るんですか?
(私)それはおじさんにも分からないよ。ただ、決して楽観視できる状況にないことは間違いないね。エイズの専門家もHIV・エイズに対する啓蒙活動をもっとやる必要があると指摘している。
まぁ、分かりやすい数字で言えば、日本のどこかで毎日、毎日4人以上がHIVに感染しているんだ。それも表に出ているだけの数字でね。これが日本の現状だよ。だからもっと予防や検査に力を入れていかなくちゃいけないと思う。
(陽介)分かりました。日本でエイズが話題なることって少ないけど、実態としては楽観視できないってことですね。
(私)そうだよ。何より大事なことは他人事だと思わないことだね。陽介だって、いつどこでHIVに感染するかも知れない。HIV感染は日常の中にあるリスクだよ。
(陽介)了解です!
■関連記事:この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。
『なぜHIV感染者は増え続ける?あなたの知らない意外な事実!』
■「HIV検査が怖い」3ヶ月間悩み続けた私がついに決心した3つの理由
・
補足資料
②新規HIV感染者・エイズ患者の推移
・
③保険所でのHIV抗体検査受検数
④2011年(平成23年)エイズ最新動向 (エイズ検査完全ガイド)