国立感染症研究所から2016年のHIV感染者の速報値が公表されました。
今回は2016年のHIV・エイズ動向をお伝えしたいと思います。
例によって私が調べたことを甥っ子の陽介に話しますので、あなたもいっしょに聞いて下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、今日はどんなお話ですか? |
![]() |
(私)陽介、今日は2016年のHIV感染者、エイズ患者の動向についてだよ。 |
![]() |
(陽介)へぇ!もう2016年の動向データが公開されているんですか?
(私)いや、むろん正式版はまだだよ。
例年、2月末にエイズ動向委員会から前年のエイズ動向速報値が出て来る。そして8月末に正式版、確定値が発表される。
(陽介)そうなんですか。それじゃ今はまだ分からないのでは?
(私)そうなんだけど、国立感染症研究所が毎週発表している感染症週報を見ると、速報値が分かる。
ただし、とてもザックリしたデータで詳しいデータは8月まで待たないと分からない。
(陽介)それじゃ今日教えてもらえるのはザックリしたデータなんですね。
(私)そうなんだよ。まず、HIV感染者の動向からいこうか。
(陽介)はい、お願いします。
(私)国立感染症研究所の発表した2016年週報第51週によると、12月25日までのHIV感染者の累計は1,411件だった。
(陽介)1,411件・・・それって、HIV感染者の件数ですか?
(私)そう、12月25日までのHIV感染者の累計だよ。ただし、この中にはすでにエイズを発症している人も含まれる。
(陽介)いつもおじさんが教えてくれるエイズ動向では新規HIV感染者と新規エイズ患者を別々にカウントしてましたよね。
(私)そうだね。当然2016年もそうやってカウントしてるんだけど、国立感染症研究所の週報はそこまで分類されていない。合計値のみ公表してるんだ。
(陽介)すると、HIV感染者とエイズ患者の合計で1,411件ですね。
それって、増えたんですか、減ったんですか?
(私)前年の2015年が確定値で1,434件だった。それと比較すると減っている。
このグラフを見てごらん。過去15年間のHIV感染者の推移だよ。
図1.HIV感染者の推移
(陽介)なるほど。このグラフからは2016年は減っていますね。
(私)でも、さっきも言ったようにまだ速報値だからね。だいたい確定値になると10件から20件くらいは増えるんだよ。
それに速報値の期間は12月25日までだから、正確にはまだ6日分が足りない。
そうしたものを考慮すると、恐らく2016年のHIV感染者は前年横ばいって感じだと思うな。
(陽介)そうですか。それとおじさん、HIV感染者とエイズ患者を別々にチェックしたいですよね。
(私)そうだね。別々にみないと分からないことも多いね。例えばいきなりエイズの割合だとかね。
(陽介)あと、性別、年齢別、感染ルート別とかも知りたいですね。
(私)それは2月の速報、そして8月の確定版を待つしかないね。またデータが手に入ったらすぐに教えてあげるよ。
(陽介)はい、お願いします。
(私)それから、これは東京都のデータなんだけど、こちらはHIV感染者とエイズ患者が別々に分けられている。
●2016年東京都のエイズ動向(1月4日~12月18日)
・新規HIV感染者 356件(前年 345件)
・新規エイズ患者 95件(前年 68件)
・合計 451件 (前年 413件)
東京都福祉保健局の公表データによる
(陽介)う~ん、東京ではHIV感染者もエイズ患者も昨年同時期に比べて増加したんですね。合計では38件の増加ですか。
(私)そうだね。特にエイズ患者の増加が目立つね。
・新規HIV感染者 3.2%増
・新規エイズ患者 39.7%増
約40%も増えてる。
いきなりエイズの割合も、
・2015年 16.5%
・2016年 21.1%
こんな感じで増えている。
(陽介)本当ですね。
(私)あくまで速報値だから、確定版を見なくちゃ何とも言えないけどね。
しかし、今回見せた国立感染症研究所と東京都の2つのデータから見る限り、2016年もHIV感染者が減少傾向にあるとは言えないようだね。
(陽介)本当ですね。横ばい状態って感じですかね。
(私)そうだね。いずれにしても確定版を待ってチェックだね。
(陽介)分かりました。
(私)それじゃ今日の話はこの辺で終わりにしよう。
(陽介)おじさん、ありがとうございました。
■2016年第3四半期エイズ動向(姉妹サイト)