ネット上の複数のメディアですでに報じられていますが、20代の新規HIV感染者が増加しています。全体では横ばい状態の中、なぜ20代だけは増加し続けるのでしょうか。
私が調べたことを甥っ子の陽介に話しますので、あなたもぜひいっしょに聞いて下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、20代にHIV感染者が増えているってホントですか? | (私)陽介、それは本当だよ。全体は横ばい状態なのに20代だけは増え続けてる。 |
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(陽介)そうなんですか。ネットの色んなニュースやブログでけっこう目につくんですよ。20代にHIV感染者が増えているって。
(私)そうだね。厚生労働省エイズ動向委員会の岩本委員長のコメントにも「20代で新規HIV感染者が増加中」として注意を呼び掛けているね。⇒『平成26年エイズ動向委員長コメント』
(陽介)本当ですね。
(私)それから国内全体でも20代の感染者が増えているんだけど特に東京ではこの傾向が強くてネット上で取り上げられているね。
(陽介)はい、僕も見ました。「東京都 HIV感染者」で検索するといっぱい出来ます。
(私)では、実際にはどう増えているのか、エイズ動向委員会が発表したデータを検証してみよう。私が作ったグラフがあるんのでそれを見てもらおう。
(陽介)はい、お願いします。
(私)下のグラフを見てごらん。2012年、2013年、2014年と、過去3年間の新規HIV感染者の年代別推移だよ。
このグラフを見てもらうとよく分かるだろう?20代の新規HIV感染者は増加傾向にある。30代は減少、40代は横ばいなんだけど20代は増加だ。
(陽介)そうですね、他の年代に比べると20代の増加ぶりが目につきますね。それで色んなニュースに取り上げられたんですね。
(私)そう言うことだね。国や東京都では若者にHIV感染予防の知識が足りないのではないかと対策を考えているらしい。
(陽介)そうなんですね。でもおじさん、これって新規HIV感染者の動向ですよね?ではエイズ患者の動向はどうなんでしょうか。どこかの年代で特に増えているとかありませんか?
(私)ふむふむ。たぶん陽介がそう聞いてくると思ったから、新規エイズ患者の動向についても年代別に過去3年のデータをグラフ化したみたよ。それが下のグラフだ。
このグラフを見ると40代で新規エイズ患者の増加が目につくね。他の世代は横ばいかやや減少って感じだね。
(陽介)ふ~ん・・・。新規エイズ患者って、いわゆる「いきなりエイズ」ですよね。検査でHIV感染が見つかった時にはすでにエイズを発症していた患者さんですね?
(私)そうだよ。いつも言ってるけど、日本ではここ数年、新規にHIVに感染したとして報告された患者のうち30%以上がエイズを発症している。中でも40代に多く、しかも年々増えているということだね。
(陽介)エイズ発症前にHIV検査で見つかれば、エイズを防げた可能性が高いんですよね。
(私)その通りだよ。だから早期のHIV検査は救命的検査って言われるんだね。
(陽介)それじゃおじさん、今回のこの2つのグラフからどんなことが言えるんですか?
(私)そうだね。若い人はもっとHIV感染予防に関心を持つこと、中年の人は他人事だと思わずHIV検査を受けること、これが大事ってことかな。
(陽介)なるほど。予防と検査の重要性ってことですね。
(私)それはむろん、すべての世代にとって重要なんだけど、特に今回のグラフからはそう言えると思うよ。
(陽介)はい、分かりました。多くのネット上のニュースで取り上げられている話がこのグラフで確認出来ました。
(私)では今回はこれで終わりにしよう。
(陽介)おじさん、ありがとうございました。
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補足資料
①日本国内全体の新規HIV感染者、新規エイズ患者の推移
②日本国内における新規HIV感染者における「いきなりエイズ」の割合
厚生労働省エイズ動向委員会資料からグラフ化