2016年も早いもので半分の6ヶ月が終わりました。この時点で2016年通期のHIV感染者の動向を予想してみたいと思います。

私が調べたことを甥っ子の陽介に話しますので、ぜひあなたもいっしょに聞いて下さい。

(甥っ子陽介)おじさん、今年のHIV感染者の動向は今の感じでどうですか?
陽介
(私)陽介、あまりいいニュースがない。どうも昨年よりもHIV感染者が増えそうなんだよ。
困った私

(陽介)え!そうなんですか。

(私)まず、昨年、2015年の数字を確認しておこう。

●2015年

・新規HIV感染者 990人(過去9番目)

・新規エイズ患者 423人(過去8番目)

・合計    1,413人(過去9番目)

こんな感じだった。数字としては過去8番目とか9番目で近年ではそう多い数字ではなかった。

2000年からの推移を見てもこんなグラフだからね。

HIV・エイズ推移
グラフ1.HIV感染者とエイズ患者の推移

(陽介)なるほど。やや減少傾向に見えますね。

(私)そうなんだよ。このまま2016年も減少してくれるといいんだけどね。

(陽介)2016年も半分が終わりましたけど、現時点ではどうなんですか?

(私)うん、3つの指標を見てみよう。1つはエイズ動向委員会の四半期データ、それから国立感染症研究所の週報データ、更に東京都福祉保健局のデータだ。

(陽介)はい。

(私)まずは厚生労働省エイズ動向委員会のデータだ。これは2016年の第1四半期(1月~3月)のデータだよ。

項目 1-3月 昨年同時期
新規HIV感染者数(人) 250 221
新規エイズ患者数(人) 102 100
合計数(人) 352 321

表1.2016年第1四半期エイズ動向

(陽介)新規のHIV感染者もエイズ患者も昨年同時期に比べると増えていますね。

(私)そうだね。では次は国立感染症研究所のデータだ。新規HIV感染者とエイズ患者の合計人数だよ。週報の第24週(6月13日~6月19日)までの累計と年間の数字を見てもらおう。

 年 第24週 年間
2016年 650人
2015年 617人 1,413人
2014年 632人 1,546人
2013年 688人 1,590人

表2.第24週までのHIV感染者(エイズ患者含む)累計比較

(陽介)第24週までの累計を見ると、2016年は2013年に次いで多いですね。昨年より33人も多いです。

(私)2013年の年間1,590人は過去最多の数字だからね。

(陽介)え、そうなんですか。でも、今の様子じゃ2013年までは行かないまでも、2015年の年間数を超えそうですね。

(私)そうだね。まだ分からないけどそんな感じだね。では最後の指標、東京都福祉保健局のデータを見てみよう。東京都における2016年1月4日から6月26日までのデータだよ。

項目 6/26まで 昨年同時期
新規HIV感染者数(人) 176 157
新規エイズ患者数(人) 53 40
合計数(人) 229 197

表1.東京都における6/26までのエイズ動向

(陽介)う~ん、このデータでも2016年は昨年より新規HIV感染者もエイズ患者も増えていますね。

(私)そうなんだよ。新規HIV感染者とエイズ患者の合計数で見ると、3つの指標ともに2016年は増加傾向にある。その増加倍率は、

●エイズ動向委員会 1.10倍

●国立感染症研究所 1.05倍

●東京都福祉保健局 1.16倍

こんな倍率で増えている。

(陽介)なるほど・・・。だいたい1割増って感じですね。

(私)もちろん、これらの途中経過が多くても、最終的に年間通して増加になるかどうか、それはまだ分からない。

(陽介)でも過去のデータから言えば、昨年より増える可能性の方が大きいみたいですね。

(私)そうかも知れない。とにかく、2016年が半分終わった時点でのHIV感染者、エイズ患者の動向データを調べてみた結果が以上だ。

(陽介)はい、分かりました。

(私)今後も随時発表されるエイズ動向データを見て行こう。

(陽介)また教えて下さい。

(私)では今日はこの辺でお終いだ。

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