当サイトでは過去に以下の2つの記事を掲載しています。
今回はこの2つの記事の補足となります。私が調べたHIVに関する2つの疑問について、甥っ子の陽介に話しますのであなたもいっしょに聞いて下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、最近ネットで見つけたHIVの記事が2つあるんですけど、どうも腑に落ちません。 |
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(私)陽介、それはいったいどんな記事なんだい?話してごらん。 |
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(陽介)はい。ある医師のブログに書かれていた記事なんですけどね、2つあります。
●平成25年から平成27年のデータを見て、女性のHIV陽性者が間違いなく増加している。
●HIV検査を受けていない潜在的HIV陽性者は相当数にのぼると推測される。
この2つなんですよ。
現役の医師が書いたブログ記事だからそれなりに信ぴょう性は高いのかなって思ったんですね。でも、前におじさんに聞いた話では必ずしもそうではなかったような・・・。それでもう一度確かめてみたいと思ったんですよね。
(私)なるほど。では、実際のデータを確認してみよう。本当に女性のHIV陽性者は増加しているのか、潜在的HIV陽性者は実は相当数いるのか。
(陽介)はい、お願いします。
(私)ただ、最初に1つ言っておくけど、潜在的なHIV陽性者がどのくらい存在するのか、その正確な人数は分からない。あくまでも色んなデータからの推測でしかない。
その意味では女性のHIV陽性者が増えているのか、減っているのか、それも正確には分からない。分かっているのはHIV検査を受けて陽性がハッキリした人だけ。そのデータからの推測だからね。
(陽介)まぁ・・・。それはそうですね。でも、最初にそれを言われると、結局のところ分からない、って結論なんですか?
(私)いやいや、100%正確には分からないがデータに基づく推測は可能だよ。全く根拠のないあてずっぽうではない。ただ、どこまでいっても推測には違いない。それを前提として聞いてもらいたい。
(陽介)分かりました。
(私)ではまず、女性のHIV陽性者が増えているのかどうか。これを見てみよう。平成12年から平成27年までの16年間の新規HIV陽性者の報告件数を男女別に表したものだよ。
グラフ1.男女別新規HIV陽性者報告件数
これはエイズ動向委員会が発表したデータをグラフ化したものだよ。平成27年は速報値なので後で多少訂正が入るかも知れない。
どうだい、陽介。このグラフを見て?
(陽介)う~ん、確かに記事に書いてあったように平成25年から27年の3年間は女性のHIV陽性報告件数は増えていますけど・・・。
(私)けど、なんだい?
(陽介)グラフ全体としてみれば女性のHIV陽性者が増加しているとは言えない気がします。
(私)そうだよね。私もそう思う。ただし、平成27年の速報値がエイズ動向委員会から出たときに、岩本委員長のコメントで、
『女性の新規HIV感染者報告数は過去3年間、46件、50件、58件と数は少ないが増加傾向を示した。』
と書かれてる。だからこれをもって先の医者も記事を書いたのかも知れないね。まぁ、確かに件数は過去3年分は増加してるし、それは間違いない。
(陽介)はい。でも、数値的には極めて微増だし、そもそも潜在的なHIV陽性者の件数を想像すると4件とか7件増えたからと言って増加傾向と言えるのかなって思います。
(私)まぁね。だからあくまでも報告された女性HIV陽性者が過去3年間増加している、と言う事実があるってことだね。それ以上でもないし、それ以下でもないと思うな。
(陽介)分かりました。
(私)ついでに男女別の新規エイズ患者の推移も見ておこう。
グラフ2.新規エイズ患者報告数
どうだい、このグラフを見て?
(陽介)う~ん、女性の新規エイズ患者はほぼ横ばいって感じですね。
(私)そう見えるよね。HIV陽性者は潜在的な陽性者が必ずいると思うけど、エイズ患者については潜在化するはずもなく、全数報告が義務化されているので正確な件数だと思う。
(陽介)そうですね。
(私)では、次に潜在的なHIV陽性者が実は相当な数いるのではないか、と言う話だ。以前、『HIV感染者は10倍も多いってホント?』という話をしたのを覚えてるかい?
(陽介)はい。覚えています。
(私)その話の時に使ったデータを最新版に更新したので、その新しいデータで説明しよう。
まずは、献血で見つかったHIV陽性者の件数だ。
グラフ3.献血におけるHIV陽性件数
何しろ献血は年間に500万件近くやってるので、潜在的なHIV陽性者がある程度反映されるよね。
(陽介)なるほど。自分でHIVに感染しているかも知れないと思う人は保健所か病院へ行くはずで、献血で見つかるのは潜在的なHIV陽性者ですね。
このグラフからは潜在的なHIV陽性者が少なくとも増加傾向にあるとは思えませんね。
(私)そう思うね。以前、エイズ動向委員会の岩本委員長もそう話してた。
(陽介)でも、おじさん。最近献血件数そのものが減っていますよね。HIV陽性件数が減ったのは単に献血件数が減ったからじゃないですか?
(私)そう言うと思ったよ。確かに近年は献血件数が減ってる。そこで、献血10万件当たりのHIV陽性件数をグラフ化してみた。
グラフ4.献血10万件あたりのHIV陽性件数
(陽介)なるほど。やっぱりここ数年は減少傾向ですね。
(私)ところで、この10万人当たりのデータを使って潜在的なHIV陽性者を計算してみよう。
(陽介)どうやるんですか?
(私)超大雑把な数字だけど、平成27年は10万人当たりのHIV陽性件数が1.039件だ。献血年齢は献血の種類によっても違うけど、一応16歳~69歳になってる。(ただし諸条件あり)
この年齢の日本の人口は81,579千人だ。これを10万人当たり1.039件で単純計算すると、847件になる。
(陽介)なるほど。もしも16歳から69歳までの全ての人が献血を受けたら、847件が見つかる計算ですね。それで実際に報告されたHIV陽性者は何人だったんですか?
(私)平成27年の新規HIV陽性者は990件(速報値)報告されている。さっきも言ったけど、自分でHIV陽性を疑ってる人は献血には行かず保健所や病院へ行くよね。だから今みたいに献血のデータで全体を推測するのは無理があるだろうな。
(陽介)う~ん、そうかも知れませんね。
(私)ただ、この献血のデータと、グラフ2の新規エイズ患者の推移をみる限り、報告されている何倍もの潜在的なHIV陽性者がいるとは思えない。
もしも何倍もいたら、エイズ患者はもっと件数が増加してるはずだし、献血でももっと多くHIV陽性が見つかっていると思うな。
(陽介)なるほど。
(私)最初に言った通り、あくまで私の推測だけどね。
(陽介)分かりました。少なくとも今日見せてもらったデータから言えば僕もそう思います。
(私)日本では女性のHIV陽性者が増加しているのか?潜在的HIV陽性者は実際に報告された件数より相当数多いのか?
今後もこの2つを新しいデータから調査してみよう。
(陽介)そうですね。おじさん、今日はどうもありがとうございました。
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