当サイトでは過去に高齢者の「いきなりエイズ」を記事にしてきました。

今回は新しいデータに基づき、再度記事にしてみたいと思います。

私の調べたことを甥っ子の慎太郎に話します。あなたもいっしょに聞いて下さい。

(甥っ子慎太郎)おじさん、ちょっと気になる記事を見つけたんですけど。
陽介
(私)慎太郎、どんな記事を見つけたんだい?
私

(慎太郎)はい。僕が見たのは厚生労働省の関連サイトで、エイズに関する記事を集めたサイトなんです。

(私)ふんふん。それで?

(慎太郎)その中に、

『HIV感染者より、エイズ患者の方が上の年代の人の方が多いのはなぜか?』

って記事があったんですよ。

(私)ほほう。それで?

(慎太郎)その答えが、こんなふうに書かれていました。

『HIVに感染しても、感染に気づかないまま時間が過ぎ、いきなりエイズを発症する。だからエイズ患者の方が年代が上になる。』

(私)なるほど。

(慎太郎)この話って、以前おじさんにも何度か聞いた覚えがあるんですよね。それで今回、改めて確認したいなって思いました。

(私)そうか。確かに、過去にこんな話をしたよね。

『中高年にいきなりエイズが多いわけ?』

『最新エイズ事情「中高年が危ない!」』

『エイズは高齢者が危ない!』

どうだい?

覚えているかい?

(慎太郎)う~ん・・・あまりよく・・・。すみません。

(私)まぁいいよ。ちょうど私も新しいデータを調べ直したところだ。

新しいデータで説明してあげよう。

(慎太郎)お願いします。それでおじさん、本当に

『HIV感染者より、エイズ患者の方が上の年代の人の方が多い。』

なんですか?

(私)まずそこからだね。

では、厚生労働省エイズ動向委員会が発表した、2016年の速報値から見てみよう。

新規HIV感染者と新規エイズ患者の年代別分布の比率をグラフ化してみた。

これを見てごらん。

HIVエイズ年代分布
グラフ1.HIV・エイズ年代別分布

青棒グラフがHIV感染者、赤い棒グラフはエイズ患者だよ。

それぞれの年代にどの位分布しているか、その比率を示している。

(慎太郎)え~っと・・・棒グラフが示しているのは分布の比率であって、件数そのものではないんですね?

(私)そうだよ。そもそも2016年の新規HIV感染者は1003件、エイズ患者は437件だ。

だから件数を比較すれば当然HIV感染者の方が多くなる。そうじゃなくて、あくまで比率を比べてる。

(慎太郎)なるほど。え~っと、例えば20代のグラフを見ると、HIV感染者が30.9%、エイズ患者が10.1%になっていますね。

(私)そうだね。これは何を意味しているかと言うと、HIV感染者全体の30.9%が20代であり、エイズ患者全体の10.1%が20代ってことだよ。

(慎太郎)分かりました。そうして見ると、確かに高齢者になるほどエイズ患者の方が比率としては大きくなっていますね。

(私)確かにそうだね。例えば、50歳未満と50歳以上で比べてみるとこんな感じになるよ。

2016年速報データより

●50歳未満

・HIV感染者 86.7%

・エイズ患者 70.9%

 

●50歳以上

・HIV感染者 13.3%

・エイズ患者 29.1%

こうして見ると、確かに

『HIV感染者より、エイズ患者の方が上の年代の人の方が多い。』

これは言えてるね。

(慎太郎)そうなんですね。それはいったいなぜですか?

(私)最初に慎太郎が言ったように、

『HIVに感染しても、感染に気づかないまま時間が過ぎ、いきなりエイズを発症する。だからエイズ患者の方が年代が上になる。』

これが理由だよね。

つまり、HIVに感染した人がHIV検査を受けずに放置していれば数年先にエイズを発症する。いきなりエイズってやつだね。

近年、HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間が短くなって2,3年の例も多いって言うけど、一般には数年~10年くらいだよね。

(慎太郎)だから当然、HIV感染者よりもエイズ患者の方が年齢層としては高くなるって訳ですね。

(私)もっと分かりやすく言えば、ある人がHIVに感染したとして、

「どの時点でHIV検査を受けるか」

と言う問題なんだよ。

エイズ発症前に受ければ「HIV感染者」となるし、エイズ発症後に受ければ「エイズ患者」となる。

(慎太郎)なるほど。そこには数年間の時間差がある訳ですね。

(私)更に言えば、高齢者になるほどHIV検査を受けない。そう指摘されることが多いよね。

ただ、具体的にHIV検査を受けた人の年代別分布のデータは見たことがない。

あくまでも医療関係者の記事に出てくる推測って言うか、見解だね。

(慎太郎)潜伏期間が数年~10年くらいと長い上に、高齢者ほどHIV検査を受けない。

だからHIV感染者よりエイズ患者の方が年齢が上の人が多い、ってことになるんですね。

(私)そう言うことだ。ちょっとこのグラフも見てもらおうかな。

高齢いきなりエイズ
グラフ2.いきなりエイズ比較

このグラフは前にも見せたよね?今回は平成28年までの新しいデータになっている。

(慎太郎)はぁ・・・何となく覚えています。

(私)全体としては、HIV感染者として報告された人の約30%がすでにエイズを発症している。

ところが50歳以上に限って見ると、何と約50%が「いきなりエイズ」を発症している。

(慎太郎)50歳以上では、HIV感染が報告された人の2人に1人はすでにエイズを発症していたってことですね。

(私)その通りだよ。つまり、高齢者になるほどHIVに感染しているのにHIV検査を受けない人が多いってことだ。

今の抗HIV医療ではエイズ発症前にHIV感染が分かればエイズを未然に防げるからね。

つまり「いきなりエイズ」が多いってことは、それだけHIV検査を受けていないってことだ。

(慎太郎)それは何度もおじさんに教えてもらったことですね。

(私)そうだ。色んな話の中で繰り返し慎太郎に言ってきたよね。

(慎太郎)HIV検査って、若い人だけじゃなく、いくつになっても大事ってことですね。

(私)そうだね。データからすれば高齢者ほどよりHIV検査を受けて欲しいよね。

『HIV感染者より、エイズ患者の方が上の年代の人の方が多い。』

と言う事実があるからね。

(慎太郎)本当ですね。よく分かりました。

(私)それじゃ今回の話はこの辺にしようか。

(慎太郎)おじさん、ありがとうございました。

関連記事

中高年にいきなりエイズが多いわけ?

エイズは高齢者が危ない!

フッター新1

フッター新2