あなたもご存知のように、日本では妊婦検診の項目にHIV検査が含まれています。

では、実際に妊婦さんの中にどのくらいHIV陽性者が存在するのでしょうか。

今回、厚生労働省が調査結果を公表しています。

そのデータの一部をここにご紹介します。

私の調べたことを甥っ子の慎太郎に話しますのでなたもいっしょに聞いて下さい。

【今回のテーマと内容】

●テーマ:妊婦におけるHIV陽性者の存在

1.妊婦のHIV陽性者件数

2.HIV陽性者全体における妊婦の割合

3.まとめ
(甥っ子慎太郎)おじさん、今日のお話は何ですか?
陽介
(私)慎太郎、今日は妊婦さんのHIV陽性について話そうと思う。
私

(慎太郎)妊婦さんのHIV陽性?つまり、妊婦さんの中にどのくらいHIV陽性者がいるかってことですか?

(私)その通りだよ。以前、「HIVの母子感染は?」と言う話をしたよね?

(慎太郎)はい、覚えています。母子感染がどうして発生するか、また日本ではどのくらいの件数報告されているか、そんなお話でした。

(私)うん、そうだった。その時にも話したけど、妊娠中に妊婦さんのHIV陽性が見つかっても抗HIV治療を行った上で出産に望めばほとんど母子感染は発生しないとこまで来てる。

(慎太郎)そんなお話でしたね。だから母子感染が発生するのは飛び込み出産のように事前のHIV検査を受けていない妊婦さんでした。

(私)そうだね。それで日本でのHIV母子感染は年間通して0件か、1,2件ってとこだ。

しかし、それはあくまで結果的に母子感染の発生が少ないと言うことであり、妊婦さんのHIV陽性がどのくらい存在したかは示さなかったよね。

(慎太郎)はい、教えてもらってないです。

(私)今回ね、厚生労働省が妊婦のHIV陽性について調査を行い、その結果を公開してるんだ。

データは2017年5月に公開されていて、それによると全国の産科・産婦人科1,227病院に対してアンケート調査を行っている。

『HIV 母子感染全国調査研究報告書 平成28年度』(厚生労働省)

では、妊婦さんのHIV陽性者がどのくらい存在するのか2001年(平成13年)以降のデータを見てみよう。

年度 妊婦HIV
陽性者
母子感染 陽性率
H13 32 2 3.3%
H14 37 3 4.0%
H15 35 2 3.6%
H16 46 2 3.9%
H17 44 1 3.7%
H18 52 1 3.8%
H19 40 0 2.7%
H20 42 0 2.7%
H21 31 0 2.1%
H22 40 3 2.6%
H23 38 1 2.5%
H24 40 0 2.8%
H25 40 1 2.5%
H26 43 2 2.8%
H27 34 1 2.4%
合計 594 19 3.2%

年度別の妊婦HIV陽性件数は今回の厚生労働省の公表した数値だね。

母子感染の件数は厚生労働省エイズ動向委員会が毎年発表している動向データから拾ってる。

ついでに、年度毎に、全HIV陽性者(エイズ患者を含む)における妊婦さんの割合を計算してみたよ。

(慎太郎)ふ~ん、そうですか。妊婦さんのHIV陽性者ってだいたい毎年40人前後発生しているんですね。

それは全HIV陽性者の2%~4%程度ってことですか。

(私)そう言うことだね。年毎の変化をグラフで見てみよう。

妊婦HIV陽性

こんな感じだね。

(慎太郎)このグラフを見ると、妊婦さんのHIV陽性はほぼ横ばいって感じですかね。多少は減っているのかな。

それに全体に占める妊婦さんの割合(陽性率)は減少横ばい状態ですね。

(私)そうだね。

(慎太郎)それから母子感染も件数は少ないながら完全にゼロにはなりませんね。

これは妊婦検診を受けずにHIV感染が分からないまま出産しているんでしょうか。

(私)先ほどの報告書によると、平成27年(2015年)に妊婦検診を受けずに出産した妊婦さんは1,123件あったそうだ。

これは全国930の婦人科・産婦人科からの回答で分かった。

その930施設での分娩数の合計は433,890件だから、妊婦検診を受けずに分娩した割合は0.26%にあたるね。

(慎太郎)妊婦検診を受けずに出産してる妊婦さん、意外と多いんですね。母子感染が怖いのはHIVだけじゃないですよね。

(私)その通り。例えば、ここ数年梅毒感染者が急増している。若い女性にも広まっていて、母子感染も増えている。

梅毒、クラミジア、淋菌、カンジダ、全部母子感染の危険性がある性感染症だ。

(慎太郎)そうですね。

(私)当然ながら、先ほどの調査報告書の中でも妊婦検診を必ず受けるようにしていくことが重要だと書かれている。

何しろ繰り返しになるけど、妊婦検診でHIV感染を見つけることが出来れば、母子感染はほぼ防ぐことが可能だからね。

(慎太郎)本当にそうですね。

(私)では今回のまとめだよ。

●妊婦のHIV陽性者は毎年40人前後報告されている。

●HIV陽性者全体に占める妊婦の割合は2%~3%であり、ここ数年は減少横ばい状態である。

●妊婦検診を受けずに出産する妊婦は1,100人以上いて、全体の0.26%にあたる。(平成27年)

●妊婦検診でHIV陽性が見つかっていれば抗HIV治療によって母子感染を防ぐことが出来る。

こんなところかな。

早期のHIV検査によって母子ともに救うことが出来るね。

それじゃ今回はこれで終わりにしよう。

(慎太郎)おじさん、どうもありがとうございました。

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