厚生労働省エイズ動向委員会から発表されるエイズ動向から、在留外国人のデータを検証してみました。
それを甥っ子の陽介に話しますので、あなたもいっしょに聞いて下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、今日はどんなお話ですか? |
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(私)陽介、今日は外国人のエイズ動向についてだよ。 |
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(陽介)外国人のエイズ動向ですか?
(私)そうだよ。厚生労働省のエイズ動向委員会から発表される新規HIV感染者、新規エイズ患者には在留外国人も含まれているんだよ。
(陽介)日本でHIV感染やエイズ発症が見つかった外国人ってことですね。
(私)そうだね。
(陽介)でもおじさん、以前「エイズデータ(国別・男女別・年代別・感染ルート別)」というお話で日本人と外国人を対比したデータを見せてくれましたよね。
(私)そうだったね。今回はまた少し別の角度からデータを見せてあげるよ。
(陽介)そうですか。ぜひお願いします。
(私)ではまず、1985年から2014年まで、新規HIV感染者の推移を日本人と外国人で分けてみてみよう。
下のグラフを見てごらん。
グラフ1.新規HIV感染者の動向
グラフを見れば一目瞭然、日本人は増加ペースで増え続け、ここ数年は高いところで横ばいって感じだね。一方、外国人はこの20年間、80人から100人程度でほぼ横ばいってところだな。
(陽介)本当ですね。
(私)新規HIV感染者の累計は以下の通りだ。(1985年~2014年)
●日本人 14,056
●外国人 2,847
つまり累計データにおける新規HIV感染者の約16.8%は外国人ってことになるね。
(陽介)う~ん、これって日本人と外国人の人口比からすると、かなり多いですね。
(私)うん、そんな感じがするね。ちなみに法務省のホームページによると、平成26年末における在留外国人数は212万1,831人だそうだ。
(陽介)HIV感染者は分かりました。ではエイズ患者はどうなんですか?
(私)そうだね、それじゃ次に新規エイズ患者の推移を日本人と外国人で比べてみよう。まずは次のグラフを見てごらん。
グラフ2.新規エイズ患者の動向
どうだい?新規エイズ患者もHIV感染者の動向に似てるよね。日本人は増加の一途をたどり、外国人はこの20年間30人から50人ほどで横ばい状態だね。
(陽介)そうですね。実数でいくとどんな感じですか?
(私)新規エイズ患者の累計は以下の通りだ。(1985年~2014年)
●日本人 6,434
●外国人 1,224
累計データでは全体の約16%は外国人だね。この数字もHIV感染者とほぼ同じだ。
(陽介)なるほど。これだけ外国人のHIV感染者、エイズ患者が多ければ日本人だけじゃなく外国人に対する予防、検査、治療の対応が絶対必要ですね。
(私)そうだね。保健所の中には外国人も無料でHIV検査が受けられるところもあるし、公的な窓口で外国人向けに無料電話相談を行ってるところもあるね。
(陽介)でもおじさん、一口に外国人と言っても色んな国がありますよね。実際のところどんな国の人が多いんですか?
(私)おっと、いい質問だね。それじゃHIV感染者とエイズ患者の多いのはどのあたりの国からきている外国人か見てみよう。国名までは分からないけど、国籍区分が公表されている。
●新規HIV感染者の多い国籍区分
1位 東南アジア 1,040人
2位 ラテンアメリカ 296人
3位 サハラ以南アフリカ 189人
4位 東アジア・太平洋地域(除く日本) 103人
5位 南アジア 96人
●新規エイズ患者の多い国籍区分
1位 東南アジア 422人
2位 ラテンアメリカ 201人
3位 サハラ以南アフリカ 99人
4位 東アジア・太平洋地域(除く日本) 43人
5位 南アジア 36人
こうした国籍区分の外国人が多い。
(陽介)ふ~ん、本当にいろんな国籍がありますね。こうした外国人のサポートには言語対応も必要ですね。
(私)そうだね。例えば、「外国語電話相談」(HIV検査相談マップ)では英語はむろん、タイ語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・フィリピン語・ベトナム語で相談の受付をしている。
(陽介)そうですか。それはいいですね。
(私)外国人相談窓口の数や利便性が十分かどうかは疑問だけど、こうしたサポート体制は絶対必要だろうね。
(陽介)何しろ国内の新規HIV感染者、エイズ患者の約16%は外国人なんですものね。
(私)その通りだね。ぞれじゃ最後に累計データから日本人と外国人の「いきなりエイズ」の割合を見ておこう。
グラフ3.「いきなりエイズ」の推移
ざっくり見ると日本人も外国人も似たような動向だね。新規HIV感染者として報告された患者の約30%はすでにエイズを発症している。
早期のHIV検査が必要なのは日本人だけじゃなく外国人も同じだ。
それじゃ今日の話はこの辺にしておこうか。
(陽介)おじさん、どうもありがとうございました。
注)補足資料として2014年の外国人・男女別・年代別HIV感染者、エイズ患者のデータを添付しておきます。
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『エイズデータ(国別・男女別・年代別・感染ルート別)』
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補足資料
●日本人・外国人男性の年代別新規HIV感染者推移
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●日本人・外国人女性の年代別新規HIV感染者推移
外国人の20代女性が目立ちます。女性のHIV感染者に関しては日本人より外国人の方が多いですね。まったく知りませんでした。
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●日本人・外国人男性の年代別新規エイズ患者推移
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●日本人・外国人女性の年代別新規エイズ患者推移
HIV感染者同様、女性のエイズ患者もまた日本人より外国人の方が多くなっています。これも知りませんでした。