世界中にHIV感染者、エイズ患者はいったいどのくらいいるのでしょうか。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)が2012年末時点での世界のエイズの流行に関する報告書を発表しました。(2013年9月23日)
当サイトでは日本国内におけるエイズ動向はすでに記事していますが、今回は世界の動向についてあなたに情報発信したいと思います。情報元はこちら⇒『世界の状況』
◇2012年末までの世界のエイズ
国連合同エイズ計画(UNAIDS)の発表によれば、2012年末までの累計のHIV陽性者は、
●HIV陽性者数 3530万人(3220万~3880万人)
そして2012年のエイズ動向としては、
●年間新規HIV感染 230万人(190万~270万人)
●年間エイズ関連死者数 160万人(140万~190万人)
となっています。
この2012年の新規HIV感染者、エイズ関連死者数は動向としては増えているのか、減っているのか?
これに関しては以下の説明があります。
●新規HIV感染者数 ピークだった2001年から33%減少。
●エイズ関連死者数 ピークだった2005年から30%減少。
●子供の新規HIV感染者 26万件で2001年から52%減少。
なのだそうです。
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ついでに私が調べて分かった海外各国のエイズ事情も書いておきます。
世界各国の新規HIV感染者(エイズ患者含む)
国名 | 新規HIV感染者 | 調査時期 |
日本 | 1,449 | 2012年 |
アメリカ | 64,187 | 2009年 |
カナダ | 2,661 | 2009年 |
オーストラリア | 1,140 | 2009年 |
イギリス | 7,177 | 2009年 |
フランス | 3,810 | 2009年 |
ドイツ | 3,082 | 2009年 |
中国 | 48,000 | 2011年 |
韓国 | 744 | 2011年 |
台湾 | 3,571 | 2006年 |
フィリピン | 2,349 | 2011年 |
タイ | 17,290 | 2012年 |
調査年がまちまちなので参考程度に見て下さい。それにしても、人口が13億人を超える中国で新規HIV感染者が48,000人とは・・・意外です。もっとも、正確な調査は極めて難しく推計での数値です。あんなに広い国土じゃ調査も大変でしょう。
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◇抗レトロウイルス薬の普及
このように新規HIV感染者やエイズ関連死者数が減ったのは抗レトロウイルス薬が広く普及したことが大きな要因の1つです。
あなたもすでにご存じの通り、HIVに感染してもエイズ発症前に抗レトロウイルス薬で治療を受ければエイズを防ぐことが出来ます。
これは薬によって体内のHIV増殖を抑え、検出限界近くまでウイルスを減少させることが可能になったからです。
HIV感染者の体内のウイルスを検出限界近くまで減らすことが出来れば、当然二次感染の可能性も減らすことが出来ます。
つまり、抗HIV治療は個人にとってはエイズ発症を防ぎ、社会(世界)にとってはHIV感染者を減らす効果が期待できるのです。
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ただ、世界中の国にまんべんなく抗レトロウイルス薬が普及しているかと言えばそうではありません。
経済力が乏しく、医療環境が整っていない国は沢山あります。
日本のように無料でHIV検査が自由に受けられ、仮に陽性であっても医療費支援を受けながら治療が可能な国はそう多くはないのです。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)では2015年までに1500万人が抗レトロウイルス薬の治療を受けられるようにすることを目標にしているそうです。
逆に言えば、HIVに感染しても治療を受けていない人がそれほど多くいると言うことです。
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◇世界から見た日本
日本では年間に約1500人ほどの新規HIV感染者が報告されています。この数字は世界的にみれば非常に小さな数字だと言えます。
ただし見つかった人が1500人であり、HIV検査を受けない潜在的な感染者数はこの何倍も多いと言われています。
そして2012年末までの累計新規HIV感染者数は21,425人です。
前述した通り世界的に見ればHIV感染者数は減少しており、日本国内の感染数も小さいものです。しかし小さいとは言え国内のHIV感染者数は減っていません。
ここ数年は横ばい状態でしたが、最新のデータではまた増加しています。
厚生労働省エイズ動向委員会のデータによれば、
●2013年4月1日~6月30日(第2四半期)
新規HIV感染者 294人 過去第2位
新規エイズ患者 146人 過去最多
となっています。この数値は日本ではまだHIV感染者が増加している可能性を示しているし、HIV検査を受ける人が少ないことも示しています。
HIV感染者として報告された人の実に33.2%がすでにエイズを発症していたのです。HIV検査を受けていればエイズ発症を防げた可能性が高いだけに残念なことです。
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今回ご紹介した世界のエイズ動向や日本のエイズ動向は知識として大事かも知れませんが、あなた個人のリスク管理と直結するデータではありません。
つまり、世界的にみればHIV感染者が減っているかも知れませんが、だからと言ってあなた個人のHIV感染リスクが減っている訳ではありません。
ましてや日本国内では新規エイズ患者数が過去最多となっているのです。HIV感染リスクは増えているかも知れません。
間違いなく言えることは、HIV検査を受けるべき人が受けていない、ということです。
あなたご自身はHIV検査を受けるべき人か、受けなくてもいい人か。100%受けなくてもいい人、なんてほぼいないでしょう。
何かの性感染症の本に書いてありましたが、
「誰かと一度でも性行為を持てば、それはHIV検査を受ける理由には十分だ。」
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