国連合同エイズ計画(UNAIDS)が掲げる目標の1つに、

「90-90-90」

があります。

今回はこの目標を甥っ子の慎太郎に説明したいと思います。そこには日本のHIV検査事情も絡んでいます。

ぜひあなたもご一緒に聞いて下さい。

(甥っ子慎太郎)おじさん、「90-90-90」の目標って何ですか?
陽介
(私)慎太郎、それは国連合同エイズ計画が2020年までに達成しようと掲げた目標だよ。
私

(慎太郎)国連合同エイズ計画って・・・前にも教えてもらいましたね。

(私)そうだね。「UNAIDS用語ガイドラインとは? 」や、「世界エイズデー AIDS IS NOT OVER 」で話したね。

(慎太郎)はい、そうでした。国連のエイズ対策の総合調整を行ってる組織ですね。

(私)そうだよ。そのUNAIDSが2020年までに達成しようと計画しているのが「90-90-90」という目標だ。

(慎太郎)どんな目標なんですか?

(私)それはね、

1.世界中のHIV陽性者の90%がHIV検査を受けてHIVに感染していることを知る。

2.そのうちの90%が抗HIV治療を受ける。

3.更にそのうちの90%が治療の効果で体内のウイルスを検出限界以下にする。

っていう目標だ。

(慎太郎)え~っと・・・90%の90%の、そのまた90%だから・・・HIV陽性者全体の72.9%がウイルス検出限界以下になるようにって目標ですね。

(私)そうなるね。

(慎太郎)ウイルス検出限界以下って、どのくらいなんですか?

(私)前に「HIV RNA量の検出限界とは?」って話したよね。

(慎太郎)そうでした。

「血液中のHIV RNA量が20コピー/ml」

これが検出限界でしたね?

(私)そうだ。厚生労働省が出している「抗HIV治療ガイドライン 2016年7月版」でもそう書いてあるね。

ただ、UNAIDSが目標に設定している検出限界がこの値と同じかどうか分からない。もしかしたら、もう少し多い値かも知れない。

(慎太郎)確か日本でも数年前までは検出限界は50コピー/mlとか40コピー/mlでしたよね?

(私)その通りだよ。

(慎太郎)それでおじさん、UNAIDSがHIV陽性者を検出限界以下にする、その狙いは何ですか?

(私)それはね、2つ狙いがあるんだよ。

1.HIV陽性者のエイズ発症を抑える。つまり、HIV陽性者本人の命と健康を守る。

2.ウイルスが検出限界以下になることで感染力が極めて小さくなり、二次感染防止の効果が期待できる。

この2つだよ。

(慎太郎)なるほど。

(私)2016年にアフリカのダーバンで開かれた国際エイズ会議では、ウイルス量が200コピー/ml以下のHIV陽性者からはコンドームを使用しなくても感染しないという報告があったんだ。

(慎太郎)そうなんですか!

(私)それも888カップルを対象に調査した結果というから、かなり信ぴょう性は高いよね。

(慎太郎)それじゃ、検出限界以下のHIV陽性者からは感染することはないと思っていいんですか?

(私)う~ん、まだ100%感染しないとまでは言えないようだ。たぶん、体内からウイルスが完全に駆除出来ない限り、100%安心だって言えないと思うよ。

(慎太郎)そうかも知れませんね。

(私)ではこの、「90-90-90」って目標だけど、日本だけで見るとどうなっていると思う?

(慎太郎)そうですねぇ・・・

1.90%が検査・・・達成していない。

2.90%が治療・・・達成している。

3.90%が検出限界以下・・・達成している。

こんな感じですかね。

(私)そう、その通り。私が調べてみた結果も慎太郎が今言った通りだ。

日本では医療制度も、HIV陽性者の支援体制も整っているから、最大の問題はいかにしてHIV陽性者を見つけるか。ここだね。

(慎太郎)確か、日本では毎年新規HIV感染者として報告される人の約30%がすでにエイズを発症しているんですよね。

(私)その通りだ。その30%のエイズ発症者の人たちはHIV検査を受けていない可能性が高いよね。

もし受けていればHIV感染が見つかり、治療によってウイルスが検出限界以下に抑えられてるはずだ。

だからエイズを発症するリスクも小さい。

(慎太郎)そして自分のHIV感染に気づかず、HIV検査も受けないままの人も大勢いるんでしょうね。

だから日本ではUNAIDSの目標である、「HIV陽性者の90%がHIV検査を受ける」ってことは達成出来ていませんね。

(私)そうだね。さっきも言ったけど日本ではそこが一番の課題だね。

「いきなりエイズ」の比率も30%からちっとも減らない。

保健所のHIV検査を受ける人も増えない。増えているのは自宅で使える郵送式のHIV検査キットだけ。

(慎太郎)「HIV検査普及週間」とか「世界エイズデー」とか、HIV検査の普及キャンペーンもやってますけどね。

(私)うん、そうだね。でも結果として大きな成果が出てるとは言えないように思うけどな。

(慎太郎)これからもっと啓蒙活動が必要ってことですね。

(私)私はそう思うな。UNAIDSは2020年までに「90-90-90」を達成し、世界中で3000万人のHIV陽性者が治療を受けられるようにしたいと計画してる。

更に、2030年までには「95-95-95」を目指しているそうだ。

(慎太郎)え~っと・・・HIV陽性者の85.7%がウイルスを検出限界以下にするって目標ですね。

(私)そういうことだね。

(慎太郎)日本では国内のエイズも関心が薄れつつあるって言われるし、ましてや世界のエイズには関心持ってない人が多いかも知れませんね。

(私)そうだね。たまには世界に目を向けて、その中で日本の現状を考えることも必要だね。

それじゃ今回はこの辺で終わりにしようか。

(慎太郎)はい、おじさんありがとうございました。

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