現在世間を騒がせている熊本の化血研という会社。
血液製剤を作って販売している会社なのですが、実は国が定めた方法とは異なる方法で不正製造し、40年にも渡ってその事実を隠ぺいし続けた会社です。
そしてこの化血研は今から約30年ほど前、1980年代の半ばに大きな社会問題となった「薬害エイズ」で訴えられた製薬会社の1つでもありました。
当時表に出てきたのはエイズだけでしたが、何とその時すでに血液製剤の不正製造をやっていたことになります。
まさに「常軌を逸した隠ぺい体質です」
今回化血研の問題で引き合いに出された「薬害エイズ」について、私の調べたことを甥っ子の陽介に話したいと思います。
たぶん30代までの若い人はリアルタイムではご存知ないはずで、かつて日本で何が起きたのか、これを機会に知って頂きたいと思います。
(甥っ子陽介)おじさん、「薬害エイズ」ってどんな事件だったんですか? |
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(私)陽介、それは今から30年ほど前、大きな社会問題になったエイズに関する薬害事件だよ。 |
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(陽介)エイズに関する薬害事件って、どんな事件だったんですか?
(私)一言で言うなら、「HIVに感染する危険性があると分かっている血液製剤を血友病患者に投与した事件」なんだよ。
(陽介)え!そうなんですか!それってあり得ない危険な犯罪行為じゃないですか!
(私)う~ん、事件が起きたのは1980年代の半ば、まさに世界中にエイズが拡散を始めた時期だった。
日本でも初めてエイズ患者が報告されたような時期だったんだよ。
だからHIVとエイズの区別もよく分かっていない人が普通だった時代なんだ。
(陽介)HIVやエイズのことがよく分かってない時代だったんですね?
(私)そうなんだ。後に薬害エイズは裁判で争われることになるんだけど、その争点の1つは当時どこまで危険性を知っていたかってことだ。
結果から言えばHIVに汚染された危険な血液製剤を血友病患者に投与したんだけど、当時はその危険性を予知出来なかったという被告側の主張なんだよね。
(陽介)ふ~ん、話はややこしいですね。
(私)もう少し当時の状況を分かりやすく説明しよう。
まず、血友病という病気だ。この病気は怪我などで出血したときに血を止める働きをする凝固因子が生まれつき不足している病気なんだよ。
(陽介)と言うことは、いったん出血すると血が止まりにくいってことですか?
(私)そうなんだ。健康な人ならすぐに止まってしまう程度の出血でも血友病患者だとすぐには止まらず血腫になったりする。
だから不足している凝固因子を補うため血液製剤を注射していたんだ。
(陽介)自分の凝固因子が足りなから、他の人の血液から凝固因子を補っていたんですね。
(私)その通りだ。多くの人の血液を集めて凝固因子を補う血液製剤を作るんだけど、この時集めた血液がすでにHIVに汚染されていたんだ。
つまり血液製剤の原料が汚染されていたって訳だ。
(陽介)確かHIVの感染確率って、血液感染が最も高かったですよね?
(私)そうだよ。厚生労働省のエイズ関連サイトによると、HIVに汚染された血液を輸血すると、1回あたりの感染確率は90%だ。
(陽介)血友病患者の人たちはどのくらいの頻度で注射するんですか?
(私)うん、ちょっと調べてみたんだけど、定期補充療法を行っている患者さんは週に2回とか3回打つらしい。
定期補充じゃない患者さんは出血した時や、内出血が起きたと思われるときなどにすぐ打つらしい。
いずれにしても回数は多いよね。
(陽介)それじゃ運悪くHIVに汚染された血液製剤を使った患者さんは非常に高い確率でHIVに感染してしまったのですね。
(私)そうだね。
私の調べた記録によると、1982年から85年あたりにかけて薬害エイズで感染した患者さんの数は1800人以上、亡くなった患者さんは500人以上だ。
血友病患者の4割がHIVに感染してしまったそうだ。
(陽介)うわぁ、大変な被害ですね。
(私)それで血液製剤がHIVに汚染されてそれを使った患者にHIVが感染するってことが分かってきた。
そこでそれまで非加熱で作られていた血液製剤を加熱することでHIVを不活性、すなわち感染しない状態にして使用するようになったんだ。
(陽介)それならHIVに感染しないから安全ですね。
(私)そうだね。ところがこの危険な非加熱製剤から安全な加熱製剤への切り替えがスムーズにいかなかった。
これが薬害エイズの最大の問題点だった。
(陽介)どういうことですか?
(私)当時マスコミが伝えたのは、製薬会社の利益優先で、危険と分かっている非加熱製剤を回収せずに売り続け、その結果HIV感染を広めてしまった。
つまり安全な加熱製剤への切り替えを故意的に遅らせたという問題だ。
(陽介)それはひどい話ですね!
(私)この薬害エイズ事件には製薬会社、厚生労働省(当時厚生省)、大学のエイズ研究者の三者が関わっていたんだ。
裁判はそれぞれ「ミドリ十字ルート」、「厚生省ルート」、「帝京大学ルート」として、3つの刑事裁判で争われた。
いずれのルートもHIV感染の危険性を予知できたかどうかが争点だった。
(陽介)その裁判はどうなったんですか?
(私)うん、まず1989年に東京と大阪で被害者の血友病患者が製薬会社5社と厚生省(当時)を相手に民事訴訟を起こしたんだ。
この裁判は1996年、被告である国と製薬会社が非を認め和解が成立した。
(陽介)和解ですか。
(私)そうだ。でも初めからすんなり国や製薬会社が非を認めた訳ではなく、色々騒動があったな。
前の管直人総理が当時は厚生大臣でこの問題解決に大活躍し、国民から大きな支持を受けた。
(陽介)へぇ、あの菅直人総理がですか?今じゃ全然人気ないですけど、当時は人気があったんですか?
(私)そうだよ。知らぬ存ぜぬで責任回避しようとした厚生官僚に対して最後は責任を認めさせた。
(陽介)ふ~ん、そんな時代もあったんですね。
(私)そして民事裁判の和解が成立した同じ年、1996年、さっきも言った「ミドリ十字ルート」、「厚生省ルート」、「帝京大学ルート」で業務上過失致死罪によって関係者が逮捕・起訴されたんだ。
(陽介)そうなんですか。
(私)私は同時のことをよく覚えているよ。連日テレビのワイドショーで放送してたし、新聞、雑誌などマスコミが大々的に取り上げた。
(陽介)大事件だったんですね。
(私)なにせ当時はHIV感染症は致死的疾患であり、HIVに感染することは数年先の死を意味してた。
治療法のないまさに恐怖の感染症だったんだ。
(陽介)そうか、エイズそのものが今よりずっと怖いと言う点で関心が強かったんですね。
それでこの3つの刑事裁判はどうなったんですか?
(私)「ミドリ十字ルート」は2005年に元社長2人に実刑判決が確定した。
「厚生省ルート」は2008年に村松被告の有罪が確定した。
「帝京大学ルート」は被告の帝京大安部医師が2005年に裁判中に亡くなって控訴棄却になったんだ。
(陽介)そうなんですか。
(私)ただね、亡くなった帝京大の安部医師については、その後裁判に関する本が出版されている。この2冊だよ。私も読んでみた。
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『薬害エイズ事件の真実』⇒補足資料①
武藤 春光、弘中 惇一郎 現代人文社(2008年)
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『薬害エイズ「無罪判決」、どうしてですか?』⇒補足資料②
櫻井よしこ他 中央公論新社(2001年)
(陽介)これはどんな本なんですか?
(私)うん、さっきも言ったけど当時毎日のようにワイドショーに薬害エイズ問題は登場してたんだけど、その中で安部医師は完全に悪者扱いだった。
HIV感染の危険性を知りながら血液製剤の使用を止めなかったとされた。
(陽介)マスコミ先行って雰囲気だったんですね。
(私)しかし、2001年の一審判決では安部医師は無罪だった。
(陽介)え!無罪判決だったんですか!
(私)そうだよ。安部医師にHIV感染の責任はないとされた。
でも検察側は控訴して裁判は続き、2005年に安部医師が亡くなって控訴棄却となった。
一審無罪にも関わらず、世間やマスコミの印象は安部医師完全クロ、と言うままで終わってしまった。
それで当時の安部医師の弁護団にいた弘中氏、武藤氏が、本当はシロなんですと分かって欲しくて書いた本が『薬害エイズ事件の真実』なんだよ。
(陽介)ふ~ん・・・、そうなんですか。
(私)一方、その一審判決はおかしい、どうして無罪なのか、と言う観点から書かれた本が『薬害エイズ「無罪判決」、どうしてですか?』なんだね。
この2冊は全く異なる結論に至る本であり、薬害エイズを知る上ではとても興味深い本だよ。
(陽介)この2冊を読んでみて、おじさんはどう思ったんですか?
(私)正直、私には安部医師が有罪なのか、無罪なのか分からなかった。
ただ、この2冊を読んで当時のワイドショーやマスコミによって知らされることのなかった事実がいっぱいあったことは分かったよ。
やはりワイドショーは信用出来ないと思ったね。
(陽介)そうなんですか。おじさん、僕も読んでみたいのでその本貸して下さい。
(私)いいとも。すごく勉強になると思うよ。
ところで、1989年に起きた民事裁判では製薬会社5社が被告だったんだけど、その中の1社が今世間を騒がせてる化血研なんだ。
(陽介)え~!!!!血液製剤を不正製造して40年以上も組織ぐるみで隠ぺいしていた、あの化血研ですか!
(私)そうなんだよ。1996年に和解が成立したとき、化血研は原告の患者たちに謝罪したのに、その謝罪した時期にすでに不正製造をやってたんだ。
(陽介)う~ん、謝罪の裏で不正ですか。薬害エイズ事件が全く教訓になってないですね。患者を裏切り続けてますね。
(私)だからまさに「常軌を逸する」会社なんだよ。
(陽介)本当ですね。
(私)今日は薬害エイズを説明したんだけど、全部話してると長すぎてとても終わらない。
要点だけを話したけど、分かってもらえたかな?
(陽介)はい、要点は分かったと思います。おじさん、ありがとうございました。
(私)それじゃ今日はこの辺でお終いだ。
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