全国の保健所ではHIV検査を無料・匿名で行っています。同時に様々なHIVやエイズに関する相談にも乗っています。相談は保健所だけでなく、公的な支援機関などでも可能です。
では、そうしたHIVやエイズの相談とはいったいどんな内容が多いのでしょうか。そしてどんな対応を返しているのでしょうか。
私の調べたことを甥っ子の陽介に話しますのであなたもいっしょに聞いて下さい。
あなたがHIV感染の相談をしたいと思ったとき、参考なれば幸いです。
(甥っ子陽介)おじさん、保健所のHIV相談ってどんな内容が多いんですか? |
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(私)陽介、実はね意外な相談が多いんだよ。最近調べておじさんも驚いてるんだ。 |
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(陽介)へぇ、そうなんですか。いったいどんな相談なんですか。
(私)相談内容を話す前に相談件数から見てもらおうか。保健所への相談件数はこんな感じだよ。
図1.保健所HIV相談件数(姉妹サイトHIV検査完全ガイドより引用)
ここ数年でみると、ざっと年間に15万件ほどの相談が寄せられているんだ。
(陽介)ふ~ん、けっこう多いんですね。年間15万件ということは、1日に400件以上ですね。
(私)そういう勘定になるね。それにHIVやエイズの相談は保健所だけでなく、公的な支援機関にも寄せられるからね。
(陽介)前に「どこに相談すればいい?」って話で教えてもらいました。
(私)そうだったね。だからそうした機関への相談も入れると、相談件数はもっと多いよね。
(陽介)そうですね。いよいよどんな相談が多いのか気になりますね。おじさん、どんな相談が多いんですか?
(私)そうだね。実は「いしゃまち」というサイトに、岩室紳也氏が執筆した記事が掲載されている。『HIV感染症(エイズ)かもと思ったら、どんな検査を受ければいいの?』という記事なんだけど、この中にHIVやエイズの相談のことが出てくる。
(陽介)へぇ、そうなんですか。
(私)陽介はいったいどんな相談が多いと思う?
(陽介)う~ん、そうですねぇ・・・。前におじさんに教えてもらった話だと、HIVの最大感染ルートは男性同士の性的接触による感染でしたよね。だから一番多い相談もその延長線上にある内容じゃないですか?
(私)お~!するどい考察だね。なるほど、最大感染ルートに関する相談か。いかにもありそうだよね。
(陽介)ということは違うんんですか?
(私)残念ながら違う。岩室氏によると、実は最も多い相談は男性同士の感染不安に関する相談じゃないらしい。件数的にはもっと少ない男女間の感染に関する相談なんだって。
(陽介)そうなんですか!
(私)それもね、例えば、
「女性の性器を指で触れたのですが、これでHIVに感染する可能性がありますか?」
みたいな相談が多いらしい。
(陽介)はぁ?何ですか、その相談!そんなの感染するわけないじゃないですか。
(私)いやいや、絶対に感染しないとは言い切れない。まず相手の女性がHIVに感染していて、女性の性器に膣分泌物があって、男性の指に小さな傷でもあったらどうだい?
(陽介)え~、そこまで言いますか!それは・・・まぁ、HIV感染の可能性がゼロとは言い切れませんね。
(私)そうだよね。そもそも女性の性器を指で触れたという状況そのものがすでに怪しい。相談した本人が気づいてないだけで他に感染機会があったかも知れない。
(陽介)なるほど。それは言えてますね。
(私)だから岩室氏はそういう相談には「念のためにHIV検査を受けて下さいね。」と回答するらしい。他の相談員も同じように答えるんだって。
(陽介)なるほど。万一HIVに感染してると大変ですもんね。
(私)岩室氏の話だと、相談者の多くは、
「その程度ではHIVには感染していませんよ。」
と言って欲しくて相談するらしい。つまり安心したくて相談するんだね。
(陽介)なるほど。あれ?それっておじさん、以前話してもらった、「ネット上に見るエイズ相談 」と同じ話ですね。
ネットの相談サイトに書き込みする人は、本当は相談してるんじゃなくて「感染していませんよ。」と言って欲しいんだと。
(私)そうそう、そんな話をしたよね。だからネット上でも保健所でも相談する人の気持ち、心理は不安を何とか打ち消して欲しい、安心させて欲しいと思ってるんだね。
(陽介)でも、実際にはHIV感染の不安を打ち消すにはHIV検査を受けるしか方法はないということですね。
(私)その通り。ただ、岩室氏の話の中で、全く性的接触の体験がなく、他に血液感染、母子感染の可能性もない人からの相談もあるらしい。この場合は、「HIVには感染していませんよ。」と回答するらしい。
(陽介)へぇ、そんな人がなぜ相談してくるんですかね?
(私)いや、この手の相談、質問ってネット上でもあるよ。単にHIV感染、エイズ発症というイメージを怖がって相談してくるみたいだね。感染ルートを知らないんだよ。
(陽介)なるほど。そういう人も中にはいるんですね。
(私)結局、保健所や支援機関に寄せられるHIV感染の相談には、「念のためにHIV検査を受けて下さい。」とか、「不安ならHIV検査を受けて下さい。」って回答を返すケースが多いってことだね。
(陽介)少しでも安心したくて、専門家に感染の可能性を否定してもらいたいって訳ですね。
(私)そうだね。でも、さっきも言ったように実際にはHIV検査を受ける以外に安心する方法はないんだよ。
(陽介)なるほど。いつもおじさんが言ってる通りですね。
(私)そういうこと。早期のHIV検査は救命的検査になる。これに尽きるね。それじゃ今回はこの辺で終わりにしよう。
(陽介)はい、おじさんありがとうございました。
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