私が初めてHIVやエイズのことをネットで見たのはもう何年も前です。
出張先の風俗で遊んだ後に微熱や頭痛の症状が出て、あげくに帯状疱疹を発症しました。これはもう、てっきりHIVに感染したと思い込みました。
そのとき、HIV感染やエイズ発症のことをネットで調べたのです。
正直あの頃は私もエイズに関する正しい知識や情報は持っていませんでした。HIVに感染したら命は助からないと思っていました。
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その頃、ネットの相談サイトでは、
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「HIVとエイズはどう違うのですか?」
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みたいな質問がけっこう多く見られました。
さすがに最近はこんな初歩的な質問はまず見かけません。それだけ情報が周知されたこともあるでしょうし、ネットで簡単に情報が手に入ることも理由でしょう。
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しかし、そんな基本的な質問が多かった時代から今日に至るまで、ある種の質問はずっと繰り返されています。何年も同じ質問、同じ回答が繰り返されているのです。
いったい、どんな質問だと思いますか?
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それは・・・・
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『私は〇〇〇なのですが、HIVに感染した可能性があるでしょうか?』
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この質問です。
私が初めてネットでHIV感染の不安を書きこんだ何年も前から現在に至るまで、この手の質問は延々と繰り返されています。
質問の「〇〇〇」にはいろんなフレーズが入ります。
例えば、
〇初めて会った人とコンドームなしでセックスした
〇風俗でオーラルセックスを繰り返した
〇風俗で素股行為をした
こんな「行為」を心配しての理由が入ります。
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あるいは、
〇危険行為の後2週間ほどしてから微熱が続いている
〇寝汗をかくし、倦怠感がある
〇リンパ節が腫れた
こんな「症状」を心配する理由も出てきます。
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最初にあげた3つの理由はどれもHIVに感染している可能性があります。感染確率もいろんなデータが紹介されています。
また、後半にあげた3つの理由もHIV感染の可能性があります。それは症状から感染の可能性があるというのではなく、感染を心配するような行為を行った、という行為においてHIV感染の可能性があるのです。
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しかし、どんな理由からにせよ心配してネットに質問を書きこんでも、決して不安や心配が消えることはありません。
なぜなら、行き着く結論はただ1つ、
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「心配ならHIV検査を受ける」
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これしかないからです。
私のような素人が相談に答えても、どこぞの医学博士が答えても回答は同じです。
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「HIV感染が心配なら検査を受けてください。」
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これしか回答はありません。HIV感染を知る方法は唯一HIV検査のみです。
HIV感染症には特有の症状がなく、感染初期に風邪やインフルエンザに似た症状が出ることがあるだけです。それも必ず出る訳ではなく、何の症状も出ないままエイズ発症まで無症候の場合もあります。
だから血液を採取してHIV検査を行う以外に判定方法はありません。
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従って、この手のネット相談には、延々と同じ回答が繰り返されるのです。
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「HIV感染が心配なら検査を受けてください。」
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それなのに、いつまで経ってもこの相談、質問はネット上から消えません。過去の質問、回答を見れば同じ相談、同じ回答が繰り返されていることはすぐに分かるはずです。
でも、今日もまたどこかの相談サイトに同じ質問が書きこまれます。
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「私は〇〇〇なのですが、HIVに感染した可能性があるでしょうか?」
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なぜこの相談、質問がいつまで経ってもなくならないのか?消えないのか?
私が思うに、それは相談者、質問者の本心が別のところにあるからです。相談者が本当に望んでいるのは「感染確率」の回答ではないのです。
相談者が本当に望んでいるのは、
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「あなたの〇〇〇くらいではHIVに感染することは考えられません。」
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という回答なのです。
つまり、一般的な知識、情報が欲しいのではなく、自分のケースに特化したHIV感染を否定する回答が欲しいのです。
「HIV感染は検査を受けるしか判定方法はありません。」
という正論の回答が欲しいのではなく、
「あなたはHIVには感染していません。」
という回答が欲しいのです。それで安心したいのです。
だからこの質問、相談は決して途絶えることがありません。
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しかし、何度も書いているようにHIV感染は検査なしには判定できません。
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「その程度の行為ならHIVには感染していないでしょう。」
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と、そんな回答をいくら読んでみたところで何の気休めにもなりません。HIVに感染するかも知れない可能性がどんなに小さくても、可能性として存在する限り不安や心配は消えないからです。
私自身もいろんなネット上の相談サイトに書きこみを続けました。そしてやがてそれが何の役にも立たないことを思い知りました。
所詮、自分の身を守るのは自分なのです。HIVに感染しているかも知れないという不安より、いきなりエイズを発症するかも知れないという不安が大きくなったとき、ネットの相談サイトではなく保健所や病院に目が向くのだと思います。
つまり自分にとって最も怖れるべき事態は何か、それが分かったときです。その時始めて行動を起こすことが出来ます。ネットの書き込みではない、リアルなHIV検査を選択できるのです。
少なくともかつての私はそうでした。
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