つい最近の話ですが、ある有料登録制の医療相談サイトを見ていたら、海外からの書きこみが見つかりました。タイ在住の男性からのご相談でした。
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◇タイからネットで相談
タイ・・・
私にとっても忘れられない国です。かつては毎月出張していました。そして、バンコクの繁華街で遊びまわっていました。今思えば冷や汗もんです。よくもまぁ、病気の1つももらわずに済んだと自らの幸運に感謝です。(悪運でしょうか?)
いえ、私の話はどうでもいいのですが、今回見つけた男性の相談というのは例によってHIV感染の初期症状についての不安でした。タイの風俗で遊んだ後に気になる症状が出て、もしかしたらHIVに感染したのではないかと不安になったのです。
男性は風俗店ではコンドームを使っていたそうですが、それでも不安になったのです。その気持ちは分かります。何せタイです。日本とは比べものにならないくらい多くのHIV感染者がいます。
その男性の書きこみによると、こんな症状が出たそうです。
●全身の筋肉痛
●のどの痛み
●尿道の痛み・頻尿
●鼻水
これらの症状が風俗店で遊んでから数日後に出たそうです。そしてこの男性の相談はHIV感染の可能性についてです。で遊んでから数日しか経っていないのに、そんなに早く初期症状が出るものだろうか、という疑問も同時に相談しています。
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◇症状から判断はできない!
今回の男性の相談に対して、医師の回答は例によって例のごとくです。
『そのような症状からHIVに感染しているかどうかは判断できません。しかるべき時期にHIV検査を受けてください。』
こんな回答です。
当サイトでこれでもか、と言うほど記事にしてきましたが、HIVに感染しているかどうかはHIV検査を受けてみる以外に判定方法はありません。いかなる症状が出ていたとしてもです。
確かにHIVに感染した初期に様々な症状が出ることがあり、それでHIV感染が心配になる人は大勢います。私だってかってはそうでした。
全身の発疹、帯状疱疹、頭痛、発熱、下痢、咽頭炎、こうした症状が連発したのです。怪しい限りです。タイミング的にも風俗で遊んでからちょうど1ヶ月目くらいだったので、まちがいなくHIVに感染していると思い込みました。
しかし、私のHIV検査の結果は「陰性」でした。あれほど怪しい症状が連続していても「陰性」でした。まさに症状から判断は出来ないのです。
むろん、私のケースとは正反対に、全く症状が出ないまま「いきなりエイズ」を発症する人もいます。今の日本ではHIVに感染していると報告された人の約30%は「いきなりエイズ」をJ発症しているのです。
すなわち、あなたがHIV感染の心配をすべきは症状の有無を根拠にするのではなく、感染の可能性を根拠にすべきです。全く症状が出ていなくても、HIV感染の可能性に心当たりがあるなら、早期にHIV検査を受けた方がいいと思います。
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◇発症時期で判断するのは?
さて、今回の男性のもう一つの質問はどうでしょう。仮にHIVに感染していたとしても、初期症状が感染してわずか3日後や4日後に出るものでしょうか?
私が読んだエイズの本や公的医療サイトによれば急性HIV感染症は感染して2週目から6週目あたりに発症すると書かれています。
すると今回の相談男性のように感染の可能性があった日の直後に出てくる症状はHIVと無関係と思っていいのでしょうか?
結論から言えば無関係である可能性が高いと言うことになります。
しかし、何度も繰り返しますがそもそも症状からHIV感染を疑うことにあまり意味はありません。絶対に症状からは感染しているかどうか分からないのです。
ただし、たった一つ症状を気にすることが意味を持つことがあります。それはHIV検査を受けるきっかけになることです。初期症状ではないかと心配することが早期のHIV検査につながるなら、これは意義深いことだと思います。
ここ数年、保健所でのHIV検査は受検数が減ったままです。早期のHIV検査は救命的検査であることを考えると、初期症状を気にすることも悪いことではないと思います。
今回の相談者はタイ在住の男性でした。タイにも日本人がHIV検査を受ける場所はいくつもあります。もしも長期の滞在なら現地でHIV検査を受けるのもアリですね。もっとも、検査以前に危険行為を回避するのが最優先ではあります。日本以上に海外ではご用心ください。
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