当サイトでもご紹介しているHIV感染者やエイズ患者の動向は、「エイズ動向委員会」によって発表されています。では、この「エイズ動向委員会」とはいったいどんなものでしょうか?
(甥っ子陽介)おじさん、エイズ動向委員会ってなんですか? | (私)陽介、それはエイズの動向調査を行い国民に知らせる組織だよ。 |
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(陽介)「エイズ動向委員会」って、ときどにネットニュースに出てくるんですよね。HIV感染者が増えたとか、エイズ患者が過去最高だったとか。
(私)なるほど。そのときに陽介の目に止まったんだね。
(陽介)はい。「エイズ動向委員会」っていったい何者なんだろうと疑問に思いました。
(私)分かった。それじゃ今日はエイズ動向委員会について説明してあげよう。
(陽介)はい、ぜひお願いします。
(私)実はエイズ動向委員会というのはその前身が2つあるんだよ。
(陽介)え?そうなんですか?
(私)そもそも現在のエイズ動向委員会に至る履歴はこうだ。
●1984年、厚生省(当時)はエイズ患者の発生動向について、調査・分析を行うため、「エイズ調査検討委員会」を発足させた。
●この委員会が翌1986年、エイズ・サーベイランス委員会と名前を変える。より専門的な見地から、エイズの研究結果や、感染の動向を正しく国民へ情報提供することを役目としていた。
●1997年、エイズ・サーベイランス委員会はエイズ動向委員会へと名称を変えた。理由は、「サーベイランス」という言葉が日本人には馴染みが薄く分かりにくいから。
ちなみに、サーベイランスとは、「見張り。監視。監視制度。」と言う意味。
という訳なんだよ。
つまり、
エイズ調査検討委員会⇒エイズ・サーベイランス委員会⇒エイズ動向委員会
という訳だよ。現在では厚生労働省の管轄組織だね。
(陽介)ふーん、そうなんですか。エイズ動向委員会は元々はエイズ調査検討委員会だったんですね。それが発足した1984年というと、どんな年だったんですか?
(私)エイズの原因がHIVというウイルスだと確定した年だね。またHIV抗体検査が可能になった年でもある。この翌年にエイズ調査検討委員会は日本人初のエイズ患者を認定することになるんだ。
(陽介)エイズ患者の認定はエイズ調査検討委員会が行っていたんですね。
(私)そうだよ。全国の医療機関で見つかったHIV感染者、エイズ患者は7日以内に都道府県に報告する義務があり、そこから厚生省(当時)に報告され最終的にエイズ調査検討委員会が判定していたんだ。
(陽介)それはエイズ動向委員会になった今でも同じですか?
(私)うん、おじさんが調べた限りでは同じだね。
(陽介)エイズ動向委員会は他にはどんな仕事をするんですか?
(私)発足したときの目的はエイズの研究結果やHIV感染の動向を正しく国民に情報提供することだった。何しろエイズが初めて日本に登場した頃は情報も知識も少なくて大変なパニックだったからね。情報提供は非常に重要だった。
(陽介)なるほど。それじゃ僕にもその情報を見ることが出来ますか?
(私)もちろんだよ。こちらのサイトから見ることが出来る。
なお、現在の委員長は岩本愛吉東大教授・日本エイズ学会会長だ。
(陽介)どんな情報が見れるんですか?
(私)エイズ動向委員会では、エイズの動向を3ヶ月ごとに発表している。第1四半期(1月~3月)から第4四半期(10月~12月)まで、1年に4回だね。
それと1年を通した通期のデータも合わせて公開しているよ。
(陽介)具体的にはどんなデータが分かるんですか?
(私)該当期間における、こんなデータだよ。
●新規HIV感染者の報告件数
●新規エイズ患者の報告件数
●HIV感染者、エイズ患者の感染ルート
●HIV感染者、エイズ患者の年代別分布
●全国都道府県別の新規HIV感染者、エイズ患者の報告件数
●HIV感染者、エイズ患者の累計報告数
●全国の保健所におけるHIV抗体検査の受検数と相談件数
●献血におけるHIV陽性の発見件数
こんな感じかな。
(陽介)うわー、ずい分色んなデータが見れるんですね。
(私)先ほど教えたサイトでは2000年からのデータがあるよ。
(陽介)一番新しいデータはいつのデータですか?
(私)今のところ2013年の第2四半期(4月~6月)のデータだね。
(陽介)そうですか。それって、どんな概要ですか?
(私)あまりいい結果じゃないよ。
2013年第四半期(4月~6月)のデータ
●新規HIV感染者 294人(過去2位)
●新規エイズ患者 146人(過去最多)
新規HIV感染者と新規エイズ患者の合計440人も過去最多だった。
(陽介)そうなんですか。HIV感染者もエイズ患者も普段はあまり動向を目にする機会がないんですけど、実際には感染者は増えているんですね。
(私)そうだね。エイズ動向委員会のデータでは高齢者にエイズ患者が増えているそうだ。こうしたデータは感染予防にも役立つよね。⇒補足資料①
(陽介)ホントですね。全く知りませんでした。
(私)最近はエイズのニュースがメディアに登場する機会が少ないから、ぜひエイズ動向委員会のデータを見て欲しいね。
(陽介)はい。了解しました。
(私)それではエイズ動向委員会のお話はこれでお終い。
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補足資料
①新規エイズ患者の年代別分布 2013年第2四半期
姉妹サイト HIV(エイズ)検査完全ガイドより