エイズ予防財団が、『リアルに知るHIV・エイズ』という啓発ビデオを作成しました。
この啓発ビデオは全3部から構成されています。
●基礎知識編
●検査&治療編
●サポート編
それぞれが10分程度のビデオになっています。むろん、無料で動画再生してみることが出来ます。
私はさっそく全編を通して見ました。私の個人的な評価では、70点です。(ビデオを作った人、かってなこと言ってすみません!理由については後ほど書きます。)
このビデオは現役の大学生3人がHIVやエイズについて学んでいく、という構成になっています。男性の学生さんが2名、女性の学生さんが1名登場します。(本当の大学生だと思われます)
最初の基礎知識編ではエイズ予防財団へ話を聞きにいきます。ここで定番の「HIVとエイズはどうちがう?」という話から始まって、「こんなことでは感染しない」といったおなじみの話が出てきます。
例えば、
HIV感染者の血を吸った蚊に刺されたらHIVに感染する可能性があるか?
ピルを飲んでいればHIV感染の予防に効果があるか?
こんなことを大学生3人にクイズ形式で質問します。
どうです?あなただったら、きちんと正しい回答が出来ますか?
HIVは蚊で感染することはありません、ダニでも感染しません。そしてピルはHIV感染予防には全く効果がありません。
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次の検査&治療編では当サイトでも度々登場する国立国際医療研究センターに3人は話を聞きに行きます。そこでHIV検査の基礎を学びます。検査の受け方、タイミング、費用なども教えてもらいます。
3人の大学生も現在のサポート体制がかなり充実しているのに驚いていました。特に抗HIV薬が、学生ならほんのわずかな費用で手に入るし、社会人でも1万円くらいで手に入ると説明を受けてびっくりしていました。(患者によってはもっと高額の場合あり)
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最後にサポート編ですが、まずエイズ予防財団が行っているHIVやエイズに関する相談受付が紹介されます。次に東京都エイズ啓発拠点「ふぉー・てぃー」が登場します。ここではHIVやエイズの情報を知ることができるオープンスペースが用意されています。
そしてその次には新宿2丁目のakta(アクタ)が紹介されます。年齢、性別、職業などに関係なく、様々なセクシャリティの人たちが利用できるコミュニティだそうです。
その次に登場するのがぷれいす東京です。こちらは有名なNPO法人であり、私もずっと前から知っています。HIV陽性者やエイズ患者への支援活動では実績のある団体です。
そして最後がHIV陽性者のネットワーク、ジャンププラスです。専属スタッフの高久陽介さんが大学生3人と話をします。高久さんはテレビ出演をはじめメディア登場が多く、私も前からお顔と名前は知っていました。
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さて、ビデオの内容詳細については実際にご覧頂くとして、私が70点の評価をしたのは、もう少し突っ込んで情報提供して欲しかったと思うからです。
例えば、HIV感染者の感染ルートの説明では、性行為感染、母子感染、血液感染の3つのルートがあり、中でも80%は性行為感染によるものですと説明がありました。
でも、そこを説明するならぜひ、男性同士の性行為が中でも特に多いのだという情報も入れて欲しかったと思います。⇒『最新のエイズ動向は?』を参照ください。
また、HIV検査の重要性を説明する内容では、「いきなりエイズ」の割合についても説明が欲しかったと思いました。どれだけの人がHIV検査を受けないためにエイズを発症しているのかを知って欲しいと思うからです。
タイトルが、「リアルに知る」とついているのだから、もっと「リアル」な情報を突っ込んで欲しかったなと思うのです。
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私がこの全編30分あまりのビデオを見て一番印象に残ったのは、この説明です。
『HIV感染はいい薬が出来て死ぬ病気ではなくなりました。それでもエイズを発症した段階で治療を受けるのは色々と難しいことがあります。早期発見、早期治療が大事です。』
これ、すごく大事なことだと思います。当サイトでも色んな記事でこの点を訴えています。
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さて、今回の結論です。
すでにある程度のHIVやエイズ情報を持っている人にはあまりお勧めでないかも。
でも、ほとんど知らない、自信がない、というあなたにはお勧めです。まずは入門編として見て頂ければと思います。そして、当サイトの記事を読んで頂ければ幸いです。
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