保健所や病院でのHIV検査は1回だけ受ければ安心できるものでしょうか?あなたはご存知ですか?
私が調べたことを甥っ子の陽介に話ますので、ぜひあなたもごいっしょに聞いて下さい。
(甥っ子陽介)おじさん、HIV検査って1回だけでは危ないんですか? | (私)陽介、それはHIV検査を受ける人によって答えが異なるよ。 |
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(陽介)人によって答えが変わるんですか?
(私)そうだよ。その人がどんなタイミングで検査を受けるかによる。しかし、そもそも陽介はなぜそんな疑問を持ったんだい?
(陽介)実はつい最近、「HIV検査は一度の検査では危ない」って書いてるサイト見つけたんですよ。
(私)ほほう。どんなことが書いてあったんだい?話してごらん。
(陽介)はい。そのサイトに書いてあったHIV検査に関する指摘は2つあって、
1.HIV検査を受けるなら、その辺の病院じゃなくて、検査精度の高い病院や専門機関で受けないと検査結果は信用出来ない。
2.それでもHIV検査は100%ではなく、HIVに感染しているのに陰性判定が出る可能性がある。従ってHIV検査を一度受けただけで安心せず、二度、三度と受けなくてはいけない。
こんな指摘だったんですよ。
(私)ふ~ん・・・
(陽介)その指摘の中で具体例が書いてあって、2013年に献血で集めた血液からHIV感染が発生した事件をあげていました。
その時も事件前のHIV検査では陰性だった血液が、事件後に二度目のHIV検査では陽性になっていたと言うんです。
だからHIV検査は一度では危ないって。
(私)そうか。陽介、その指摘は半分は正しい。当たってる。しかし、半分は正しくない。間違っているよ。
(陽介)半分正しくて、半分間違ってる?どういうことですか?
(私)まず、さっきの指摘の1番目。HIV検査は病院を選ばないと信頼性に問題があるとする指摘。
これは完全に間違い。HIV検査は日本中どこの保健所、病院で受けても信用出来るよ。
(陽介)そうなんですか。病院を選ばなくてもいいんですか?
(私)そう、選ばなくてもいい。HIV抗体検査の信頼性は病院に寄らない。どこで検査を受けても信用出来る。
もしも不安な病院が存在するとしたら、それはHIV検査だからじゃなくて、病院そのものが信用出来ない場合だね。
(陽介)あ~、もぐりの医師がいるとか、素人の看護師使ってるとか、そんな無茶な病院みたいな?
(私)そうだよ。そんな病院が本当にあるかどうか知らないけどね。ともかくHIV検査を受けるのに病院によって信頼性が違うなんて聞いたことがない。
どこの病院でも大丈夫だよ。それに人や設備のない小さな病院では自分のところで検査せず、登録衛生検査所などの外部に委託してるからね。
(陽介)なるほど。それじゃ指摘の1番目が間違ってるということは2番目の指摘は正しいってことですか?半分は正しいんでしょう?
(私)いや、2番目の指摘も無条件に全て正しい訳じゃない。正しい場合もある、と言うことだ。
(陽介)HIV検査が一度だけじゃ信用出来ず、二度、三度受けた方が安心できる場合があるってことですか?
(私)その通りだよ。まさに指摘の中で上げている献血によるHIV感染がその例だね。
(陽介)そうなんですか。やっぱりHIV検査は一度だけで安心できる検査精度じゃないんですね。二度、三度検査しないと危ないんですね。
(私)いやいや、ちょっと待ってくれよ。HIV検査の精度が低いから一度だけじゃ危ないと言う訳じゃない。検査を受ける条件が満たされていれば一度だけの検査で大丈夫、問題ない。
(陽介)そうなんですか!でも検査を受ける条件って何ですか?
(私)それはもう何度も陽介に話してきたね。ウインドーピリオドの問題だ。
(陽介)あ~!そうか!HIV検査を受けるときは、必ずウインドーピリオドが明けてからでないと検査精度が保証されないんですよね。
(私)その通り。保健所などのHIV抗体検査の場合はウインドーピリオドは3ヶ月だね。中には2ヶ月としてる保健所もあるけど。
(陽介)ウインドーピリオドって、検査対象が体内から見つかるようになるまでの期間ですよね。HIV抗体検査だと体内にHIV抗体が生成されるまでの期間ですね。
(私)そうだ。先の献血からHIV感染が発生した事件では、HIVに感染した直後に男性が献血を受け、HIV検査をすり抜けてしまった。
完全にウインドーピリオドが明ける前だったんだ。もしウインドーピリオドが明けていれば必ず見つかっていた。
(陽介)でも、その時にHIV感染と分からなくて、保存してあった同じ血液で二度目にHIV感染が分かったのは何故ですか?
(私)それは検査方法を変えたからだよ。そもそも献血の場合のHIV検査は保健所などとは違って、HIV抗体検査じゃない。
NAT検査と呼ばれるウインドーピリオドが最も短い検査なんだ。血液センターでは2週間程度だと言ってるね。
(陽介)事件が起きたときはHIV感染から2週間も経っていない、本当に数日後に献血を受けたんですね。
(私)そうだよ。だからNAT検査をすり抜けてしまった。しかも通常血液センターでは検査の効率化のために25人分をまとめてNAT検査していたんだ。
つまり検査で陽性になれば25人の中の誰かが陽性の疑いがあり、そこから個別検査するんだね。
(陽介)なるほど。
(私)先の事件発生後、二度目の検査ではそれを始めから個別検査してやっとHIV感染が見つかった。
だから日赤血液センターでは、2013年の事件を受けて2014年8月から献血で集めた血液は全て個別検査に切り替えたんだよ。
(陽介)それで万全なんですか?
(私)いいや、残念だがそれでもHIV感染直後であればNAT検査をすり抜ける可能性がある。だから献血をHIV検査代わりに使うのは厳禁だね。
(陽介)なるほど・・・。HIV感染はどんな検査方法にしろ、ウインドーピリオドが明ける前に検査を受ければ検査結果に対する信頼性は低くなってしまう訳ですね。
(私)その通り。でも逆に言えばどんな検査方法であってもウインドーピリオドが明けてから受ければその検査結果は信用出来るってことだ。
(陽介)二度検査を受けなくてもいいんですね?
(私)そうだよ。むろん、検査結果が陽性になった場合には「偽陽性」の可能性があるから確認検査を受けることになるけどね。
それは「陰性」判定の精度を高めるために感度上げているからであって、その分「陰性」の検査結果の信頼性が高まってる訳だ。
(陽介)それじゃ、おじさんに教えてもらったことをまとめみると、次の2つが言えるってことですね。
『ウインドーピリオドが明ける前にHIV検査を受けた場合は、検査結果の信頼性に問題があるのでウインドーピリオドが明けてから、再度HIV検査を受ける必要がある。』
『ウインドーピリオドが明けて受けたHIV検査はどこの保健所、病院であってもその検査結果は信用出来るものであって二度受け直す必要はない。』
こういうことですよね。
(私)そうだね。もうひとつ大事なことを付け加えようか。
『HIV抗体検査で陰性判定が出ても、それは検査3ヶ月前まではHIVに感染していないと言うだけ。それ以降にHIVに感染しているかどうかは、また検査を受けてみるしかない。』
(陽介)そうか。そういうことですよね。つまり、HIV抗体検査で分かるのは検査3ヶ月前がどうだったか、と言うことだけですね。
当たり前だけど、それ以降にHIV感染の可能性がある行為をすれば、またHIV検査を受けないと感染の有無は分からないってことですね。
(私)そうだよ。だからHIV検査を二度、三度受ける意味はそういう観点からあり得るね。
例えば性風俗で働いている人や不特定多数の人と性行為を繰り返すような人は二度、三度どころか定期的にHIV検査を受ける必要があるね。
(陽介)そんな場合だと怖いのはHIVだけじゃないですね。梅毒やその他の性感染症も検査しないと。
(私)うん、その通りだね。だから一番最初に言ったようにHIV検査が二度、三度必要だと言うのは半分は正しい。
一度だけ検査を受けたから金輪際安心、と言う訳では決してない。ここはしっかり覚えといて欲しいね。
(陽介)はい、おじさん分かりました。僕の疑問も晴れました。
(私)それじゃ今回はこの辺で終わりにしよう。
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